米Google(グーグル)は2024年1月4日から自社ブラウザーChromeのユーザーの1%に対して、「サードパーティークッキー」の利用を無効にするテストを開始した。2024年後半にはサードパーティークッキーを使ったインターネットの行動ターゲティング広告などはほぼ不可能になり始めるだけに、ネット広告業界に変革を迫っている。
ChromeはパソコンのWebブラウザーとして国内外で6割のシェアを占める。使っているChromeでサードパーティークッキーの利用が無効にされている場合、「サードパーティ Cookie の段階的廃止のテストを有効にしています」と表示される。
まだテストの対象になっていないChromeも、アドレスバーに「chrome://flags/#test-third-party-cookie-phaseout」と入力して、「Test Third Party Cookie Phaseout(サードパーティークッキーの無効化テスト)」を「Enabled(有効)」にすれば、サードパーティークッキーの利用を無効にできる。様々なWebサイトでサードパーティークッキーを利用した広告の表示内容がどう変わるかを体験できる。
ネット広告を成長させた「サードパーティークッキー」
クッキーは、Webサイトが閲覧者のWebブラウザーに一時的に書き込む「メモ欄」のようなものだ。閲覧しているWebサイトが書き込むのは「ファーストパーティークッキー」と呼ばれ、メモの中身はサイト運営者によって保持される。これにより、例えば過去に訪問したWebサイトなら、利用会員のIDなどを入力しなくてもログインできるようになる。
これに対してサードパーティークッキーは、閲覧者が訪れたWebサイトとは別に第三者のネット広告会社などが書き込む。例えば閲覧者が訪れたWebサイトの管理者が広告を表示するタグを設置して、閲覧者ごとにクッキーを発行する。するとネット広告会社と閲覧者との間で新たなメモ欄ができる。
さらにネット広告会社が「クッキーシンク(Cookie Sync)」と呼ばれる手法を使えば、閲覧者のWebブラウザーがどんなWebサイトを訪れたかなどを追跡できる。