米パワー・インテグレーションズ(Power Integrations)は、GaN(窒化ガリウム)トランジスタを内蔵したスイッチング電源(AC-DCコンバーター)IC「InnoSwitch 3ファミリー」を発売した(ニュースリリース)。全負荷範囲にわたって最大94%の変換効率が得られる。最大100Wの密閉型ACアダプターや充電器などを、ヒートシンクなしで実現できるという。「従来のSiトランジスタから,GaNトランジスタに置き換えたことで、スイッチング電源の導通損失とスイッチング損失の両方を削減できた。このため、当社従来品と同じInSOP-24Dパッケージに封止しながらも、変換効率の向上と電力供給量の大幅な増加が可能になった」(同社)という。USB PD(Power Delivery)仕様に対応したACアダプターや充電器のほか、セットトップボックスや液晶ディスプレー、ネットワーク機器、家庭用ゲーム機などのスイッチング電源に向ける。
電源回路トポロジーは、オフライン(絶縁)型のフライバック方式に対応する。1次側回路と2次側回路、フィードバック回路などを1つのパッケージに収めた。2次側のフィードバック信号の1次側への伝送には、同社独自の「FluxLink」技術を採用した。これは、磁性部品を使わずに絶縁バリアー層を介してフィードバック信号を送る技術である。従って、フォトカプラーは要らない。内蔵したGaNトランジスタは、同社が独自に開発したものである。耐圧は+750V、+725V、+650Vである。
すでに量産を始めている。1万個購入時の米国での参考単価は4米ドルである。新製品を使ったスイッチング電源の設計には、同社独自の設計ツール(ソフトウエア)「PI Expert」が利用できる。このほか同社のウェブサイトに、60〜100W出力のUSB PD対応充電器の設計事例を5つ掲載している。