NEC
UNIVERGEシステム本部
基盤技術部兼IPテレフォニー技術部 部長
倉橋 誠 NEC
UNIVERGEシステム本部
基盤技術部兼IPテレフォニー技術部 部長
倉橋 誠


“離れた人とでも手軽に会議ができる”がうたい文句のWeb会議システム。会議参加者の顔やドキュメントを見ながら、会議ができる。ところで、相手の“顔”は必要なのだろうか--。声さえ聞こえれば用は足りるのでは、と考える人も少なくないだろう。実際に使ってみて、“顔”を映すことに意味があるということがわかった。ちょっと意味が違うが、Web会議を活用するためにエライ人の“顔”が役に立つ場合もある。

 Webを利用した会議システムを最近よく見かけるようになった。実際に使えるのか?どのような場面で有効なのか?音声会議など、今までの会議システムと比べて何が違うのか?Web会議システムを実際に利用してみて、いくつかのことがわかってきた。会議参加者の映像が持つ意味や、社員のWeb会議への反応、使い方などを書き連ねてみる。

 そもそも会議には、会議室などに集まって開催する「集合型会議」と、それぞれ適当な場所から参加する「分散型会議」の二つの形態がある(表1)。

表1 会議室などに集まる集合型会議とWeb/TV会議システムなどを利用する分散型会議の比較
集合型会議 比較ポイント 分散型会議
日常業務から隔離されるため集中しやすい 会議への集中しやすさ 日常業務環境にあるため、中断させられることが多くなりがち
参加者が離れた拠点にいる場合があり、開催しづらい 開催の即時性 必要なときに開催しやすい
参加者の負担などを考えると、難しい 召集の手間(難しさ) 比較的に気軽に召集できる
必要 移動の費用/手間(時間) 不要

 前者の形態は、日常業務からある程度隔離されることにより会議に集中できるという利点がある。その半面、その場所に集合するために移動しなければならない欠点がある。

 後者の利点/欠点は、その反対である。Web会議は後者になるわけで、自分の席からでも遠隔地の相手と会議ができるという利点がある。しかし、自分の席に座っているため、上司に呼ばれたり、電話がかかってきたりで会議の“邪魔”が入りやすい。

 私は「集合型会議」は否定しないし、その利点も十分に理解している。しかしながら、会議に参加する人数が多くなればなるほど、ひとつの場所に人を集めるのは大変である。移動時間やスケジュール調整などを考えると効率が悪いのも事実である。

姿が見えないことをいいことに・・・

 従来「分散型会議」の主流は、いわゆる「電話会議」である。この方式の会議に参加するのに必要なのは電話だけである。非常に手軽に会議に参加できる。その半面、扱えるメディアが音声だけであるがゆえの欠点があった。まず、意思疎通に限界があること、そして、会議中に誰が今参加しているのかわかりづらいという欠点である。特に、付き合いの少ない人が会議に参加している場合、誰が発言しているのかはすぐにピンとこない場合がある。

 皆さんが参加する会議を思い起こして欲しい。多人数が参加する会議でも、常に発言している人は多くてせいぜい数名ではなかろうか?そのほかの人は傍観者?(失礼)であるケースが多い。

図1 Web会議システムのユーザー画面例(NEC製品)
図1 Web会議システムのユーザー画面例(NEC製品)
※図をクリックすると拡大図をご覧になれます。
 このような場合、“傍観者”は会議が長時間(30分以上?)になると、自席から参加している人に割り込みが入ることがよくある。また、ひどい場合は“タバコを一服!”なんていうことで中座する輩(やから)も出てくる。そのような輩に限って、会議に戻ってきて離席中に議論していた内容を蒸し返したり、トンチンカンな発言をしたりして会議の効率を悪くするケースがしばしばである。

 こういった電話会議の欠点を一掃するのがWebを利用した会議システムである(図1)。図1はNECのWeb会議システムの例である。音声通話はもちろん、カメラを使って会議参加者の映像を映す機能、会議参加者全員でキュメントを共有する機能、そのドキュメントにマーキングした場所を指示する機能などを持っている。