2010年3月10日、グーグルの開発者向けイベント「DevFest2010」が開催された。東京に主会場、京都にサテライト会場を設け、中継で結ぶという構成。東京に約300名、京都に約70名が集まり、Android、クラウド、HTML5など最新動向のセッションを聴講したり、開発者同士の交流を楽しむなど思い思いの時間を過ごした。
クイズで高得点の開発者に参加権
DevFestは、米Googleが世界各地で開催する開発者向けイベントの一つ。Google I/O、Google Developer Dayに次ぐ規模で、日本では初の開催となる。
このDevFestの参加申し込みの方法は異例だった。登録した参加希望者にプログラミング・クイズを解いてもらい、得点が高い順に参加権を得るという選抜方法を実施したのである。
クイズには2113名が登録し、参加権を得たのは461人。倍率は約4.6倍。合格点は46点満点中22点、最高点は36.6点という難関だった。
「Webのイノベーションを加速したい」
基調講演は、グーグルから参加者へのメッセージという内容であった。その狙いは「Webのイノベーションを加速したい」(グーグルの及川卓也氏)の一言に集約される。
例えば、グーグルがWebのイノベーションを加速するために提供しているサービスのひとつであるGoogle App Engineは、予測できないトラフィック急増に対応可能な点が高く評価され、多くのアプリケーションがその上に構築されている。「mixiクリスマスアプリケーション」はリリース後2週間で100万人以上のユーザーが利用したという。このようなトラフィックの急増にも、Google App Engineを利用することで対応できた。ほかにも「エコポイント」のサイト、グーグルが運営した衆院選2009意見集約サイトなど、App Engineで構築されたWebサイトが多数稼働している。DevFest参加者に課したクイズの回答を集計するクイズ・サーバーもApp Engine上に構築したものだ。
グーグルが強調するのは「Webをプラットフォームに」というメッセージである。標準的なHTML/CSSは表現力はFlashなどのRIA(リッチ・インターネット・アプリケーション)に及ばないとされているが、その差は急速に縮まりつつあると説明。HTML5で搭載されるCanvasの機能は2D(2次元)グラフィックス能力を備え、JavaScriptによるプログラミングと併用することで3D表現にも対応可能であることを、デモンストレーションを交えて説明した。
グーグルが提供するWebブラウザ「Chrome 4」は、フォントを動的にダウンロードするWeb Fonts、リアルタイムなチャットなどが実現可能となるWeb Socketsなどの新機能が取り入れられている。これらの機能もデモンストレーションした。
そして、グーグルが今力を入れているのがモバイル対応、とりわけスマートフォン対応である。Androidを搭載したスマートフォンは、現在26機種、60キャリア、49カ国で、1日6万台が出荷されているという。そしてグーグルが運営するAndroid Marketには2万本以上のアプリケーションが登録されている。