2010年秋、国内各社のキャリアが続々とAndroid対応端末を発表しています。これらの端末が普及することにより、日本国内においてもAndroid環境が普及していくことが予想されます。開発者の皆さんの中には、新しいAndroidという環境でのコンテンツ作りへの対応をお考えになっている方も多いことでしょう。今回は、Android環境でのコンテンツ作りの対応の一つの方法として、「Flash」という選択肢についてピックアップしてみましょう。
Adobe Systemsは、2010年10月末に米ロサンゼルスで、現時点での最新技術や今後の予定を発表する一大イベント「Adobe MAX 2010」を開催しました。このイベントにおいてAdobeは、様々な分野でのFlashテクノロジのAndroid対応を発表しました。ブラウザ上で表示されるコンテンツはもちろん、単体のアプリケーションとしてFlashで作成したコンテンツを実行できる環境が用意され、既に稼働しています。
Android端末上でのFlash環境は二つ
Adobeは既に、Android2.2端末において、WebブラウザでFlashムービーを表示する「Flash Player」と、AIRアプリケーションを動作させられる「AIR for Android」の2つの実行環境をリリース済み。現在、2つの実行環境を、Androidマーケット上で無料配布しています。
これらの仕組みを使うと、Flash CS5等を使用し、ActionScriptを活用して作成したコンテンツやアプリケーションを、Android端末上で動かせるようになります。つまり、いままでPC上で作成・使用してきた、いわゆるFlashゲームやAIRアプリを、Android上でも楽しめるようになったわけです。
ブラウザ上で表示 | Android2.2以上の端末で、Adobe Flash Player 10.1を使用。ActionScript3.0に対応したコンテンツを表示・実行可能 |
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アプリケーションとして実行 | Android2.2以上の端末で、Adobe AIRを使用。AIR 2.5に対応したコンテンツをアプリケーションとして実行可能 |
Flash Player、Adobe Airは共に、PC上のプレーヤーとほぼ同じ動作を実現できます。そのため、PC上で既に稼働実績のあるコンテンツであれば、そのままAndroid環境でも動作させられます。
開発者にとってはPC上のFlashコンテンツの作成ノウハウと同じ知識で、そのままAndroid向けのコンテンツを作成・拡張できるようになるわけですね。もちろん、スマートフォン端末独特の機能や操作に対応するために、新たなクラスが用意されたり、既存のクラスの機能の拡張がされたり、といったアップデートも提供されています。
Flashのテクノロジを使って作成された、Android上で実行可能なアプリケーション(以下、「AIRアプリ」)を、Androidマーケットにおいて「Air for Android」というキーワードで検索してみると、10/29日時点で、既に700件を超えるアプリケーションが作成され、配布されていることが確認できます。
これらのAIRアプリはどうやって作成するのでしょうか。Flashのコンテンツを作成する代表的なアプリケーションといえば、「Flash」と「Flash Builder(旧Flex Builder)」です。Adobeはこの二つのアプリケーションに対して、今までの環境や知識を活用したままコンテンツが作成できる拡張機能や、次期アプリケーションのプレビュー版の提供を開始しています。
Flash向けには、「Extension for AIR 2.5」というFlash CS5の拡張機能が提供されています。一方、Flash Builder向けには、「Flash Builder "Burrito"」という次期Flash Builderのプレビュー版が公開されています。この2つは、既にAdobeのWebサイトからダウンロードして使用できます。