人は、自分の状況を他者と比較することが多く、特に「平均値」や「割合」といった指標に関心を寄せがちだ。本記事では、シニア層の「身体」と「お金」に関するデータを紹介し、それらに共通する重要なポイントについて考察する。

シニア層の「身体に関すること」のデータ

シニア層の「身体」と「お金」に関するデータ。2つに潜む共通点とは ?
(画像=Parradee / stock.adobe.com)

まずは、厚生労働省が2024年8月に公開した「令和4年国民健康・栄養調査の結果」からシニア層の身体に関するデータを紹介していく。

肥満者の割合

シニア層における肥満者 (BMIが25以上) の割合は以下の通りだ。男性の場合は年齢が上がるにつれて肥満者が減少する一方、女性の場合は加齢とともに増加する傾向が見られる。

年齢男性女性
50~59歳40.1%19.6%
60~69歳33.8%22.8%
70歳以上28.4%24.6%

低栄養傾向の割合

低栄養傾向にある人 (BMIが20以下) の割合は以下の通りだ。特に女性は、65~69歳の間で最も高い数値を示し、その後一度減少するものの、75歳以上で再び増加する傾向が見られる。このデータから、加齢とともに栄養管理が難しくなることがうかがえる。

年齢男性女性
65~69歳7.3%24.6%
70~74歳10.6%18.8%
75~79歳15.9%21.1%

食塩摂取量の平均値

食塩摂取量は、健康に密接に関連しており、特に高血圧や心疾患などのリスクを高める要因として重要視されている。以下は1日あたりの食塩摂取量のデータだ。男女ともに60歳以上は横ばいであるものの、依然として高めの水準にある。

年齢男性女性
50~59歳10.5グラム8.6グラム
60~69歳10.6グラム9.4グラム
70歳以上10.9グラム9.4グラム

運動習慣のある人の割合

シニア層における運動習慣のある人の割合は、以下の通りだ。このデータからもわかるように、男女ともに70歳以上で大きく運動習慣が定着する傾向がある。

年齢男性女性
50~59歳31.1%25.8%
60~69歳28.2%27.5%
70歳以上50.0%43.4%

歩数の平均値

続いて、歩数の平均値だ。年齢が上がるにつれて平均歩数は減少している。特に70歳以上では、日常の活動量が著しく低下する傾向が見受けられる。

年齢男性女性
50~59歳7,589歩6,754歩
60~69歳6,361歩6,142歩
70歳以上4,893歩4,422歩

1日の平均睡眠時間

最後に1日の平均睡眠時間のデータだ。男性の場合、50代は「5時間台」が最多だが、60代と70歳以上では「6時間台」が最も比率としては高い。女性の場合は、50代以上のすべての世代で「6時間台」が最も多い割合となっている。

年齢男性女性
50~59歳5時間台が最多6時間台が最多
60~69歳6時間台が最多6時間台が最多
70歳以上6時間台が最多6時間台が最多

シニア層の「お金に関すること」のデータ

続いて、金融庁が2024年7月に公開した「リスク性金融商品販売に係る顧客意識調査結果」から、シニア層の「お金」に関するデータを紹介しよう。

投資経験者は ?

投資経験者の割合は年齢が上がるごとに増加する。70代では約85%が投資経験者となっている。

年齢投資経験者
50代68.6%
60代80.2%
70代85.1%

NISA口座の毎月の積立額は ?

NISA口座の毎月の積立額は、50代が「1万円台」、60代以上は「1万円未満」が最多である。年代が上がるにつれて、積立額が少なくなる傾向がある。

年齢毎月の積立額
50代「1万円台」が最多
60代「1万円未満」が最多
70代「1万円未満」が最多

想定資産運用期間は ?

資産運用を「10年以上」と想定する割合は、年齢が上がるにつれて減少する。50代では約60%が「10年以上」の運用を想定しているが、70代ではその割合が約27%に落ち込んでいる。

年齢「10年以上」と回答した人の割合
50代59.6%
60代44.4%
70代27.3%

「身体に関すること」と「お金に関すること」の共通点

ここで気づくべきは、シニア層の身体に関するデータとお金に関するデータが、それぞれ「早めの対策」の重要性を示している点だ。身体の健康管理においても、資産運用においても、早期からの取り組みが将来の結果に大きく影響する。

成功の鍵は「少しずつの積み重ね」

健康維持と資産運用の両方で成功するためには、習慣として少しずつ積み重ねていくことが重要だ。

日常の小さな改善が大きな結果に

健康維持の面では、日ごろの運動習慣や食生活の改善など健康を維持するための小さな習慣の積み重ねが将来的に大きな違いを生む。車や公共交通機関を使う機会を減らして、代わりに自転車や徒歩で移動したり、塩分摂取量を少し抑えたりするなど小さな工夫からで良いのでぜひとも取り組んでいきたい。

資産運用も少額からでも早めに始める

資産運用も少額からでも早めに始めることが大切だ。小さな積み立てからスタートし、徐々に運用額を増やすことで結果として大きなリターンを得られる可能性がある。ちなみに積立投資は、リスクを抑える視点からも重要だ。資産価値が下がったときも上がったときも、淡々と同じ金額を投資し続けることで以下のような失敗を回避できる。

  • 一括投資で極端な高値づかみをしてしまう
  • 含み損が出たときにすべてを売却して損失を確定してしまう

どちらも「早めに取り組むこと」が重要

シニア層における「身体」と「お金」のデータから導き出せる共通点は、「早く始めること」の重要性である。健康維持と資産運用のどちらも、早期に取り組むことでリスクを軽減し、長期的な成果を得ることができる。この機会に、自分の健康や資産運用の取り組みを見直し、積極的に行動してみてほしい。

(提供:大和ネクスト銀行


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