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中国の自動車市場は急速な「電動化」の進展を経て、現在は「自動化/スマート化」へと競争の焦点が移っている。中でも、高性能な自動運転ソリューションや先進運転支援システム(ADAS)が主戦場となっている。
自動運転技術を手がける中国のユニコーン企業「Momenta(モメンタ、北京初速度科技)」は、高精度地図に頼らず、周辺環境の認知から運転の操作までをすべてAIが担う「エンド・ツー・エンド(E2E)」方式で、量産能力を持つ数少ない企業の一つだ。
36Krはこのほど、江蘇省蘇州市にあるモメンタ本社で、創業者の曹旭東CEOに単独インタビューし、同社の戦略や自動運転業界の競争の行方について話を聞いた。モメンタは、トヨタ自動車からの出資を受けていることから、日本メディアでもたびたび取り上げられている。
この分野には、昨年から華為技術(ファーウェイ)、EVメーカー「小鵬汽車(Xpeng Motors)」や「理想汽車(Li Auto)」、長城汽車が支援のスタートアップ「元戎啓行(DeepRoute.ai)」などの企業が次々と参入し、E2Eの次世代技術の頂点を極めようと競争が激化している。
「提携から車両へ搭載まで、わずか3カ月で対応」
モメンタが量産する高度な自動運転システムを搭載したモデルの数は、2022年から2024年の3年間で、それぞれ2022年に1車種、2023年に8車種、2024年に20以上の車種と拡大した。「2025年には、量産の規模は数倍に拡大する可能性がある」と曹CEOは述べた。
E2Eの自動運転競争でモメンタが急速に頭角を現したことについて質問すると「私たちは仕掛けを人より早く始めただけだ」と答えた。

E2Eは、自動運転の感知、予測と意思決定、制御のサイクルを実行するために、AIモデルの活用が必要だ。これは、エンジニアが車両の運転方法を指示するためにルールを手作業で入力するという以前の手法から、AI大規模モデル、大量のデータ、計算能力の高いクラウドコンピューティングの活用へと進化しており、これにより自動運転は自ら進化する能力を得た。
モメンタは以前からAIモデルを自動運転に融合させようとしようとしてきたという。そして早い段階から自動運転の量産化のチャンスに目を向けていた。2021年以降、上海汽車(SAIC)傘下の電気自動車(EV)ブランド「智己汽車(IM Motors)」、EV最大手の比亜迪(BYD)などの自動車メーカーと相次いで提携した。
海外市場については、モメンタは日本や欧州では都市部向けの自動運転ナビゲーション機能「NOA(ナビゲーション・オン・オートパイロット)」の運用をしているが、量産にはまだ至っていない。 海外市場では、中国市場と比較して自動運転機能の需要がまだ大きくないためで、曹CEOは「海外市場は中国市場より3年ほど遅れていると私は見ている。2024年は中国におけるハイレベルな自動運転が隆起した年となり、2027年は海外でも需要が盛り上がるだろう」と述べた。
また、「中国自動車メーカーと協業するには少なくとも3年、国際自動車メーカーとは5年以上の『門をノックする期間』が必要だ。実際の量産化には10年かかる可能性がある」と、自動運転技術の量産化の難しさを指摘した。
曹CEOは、自動車メーカーの量産のサイクルに最初に参入できた企業が、間違いなく早期に経験を積み、より多くのデータを取得し、その後迅速にアップデートを繰り返せるとの見方を示した。モメンタは自動車メーカーの量産スピードに十分対応できるとし、提携開始からシステム搭載までの納品期間はわずか3カ月しかかからないと誇らしげだった。
「E2E」は長期戦、26年までには勝者が決まる
先行者利益があるとはいえ、業界はますます競争が激しくなり、課題も増えている。E2Eが長期にわたる競争であることを踏まえ、モメンタは膨大な経営資源を投入する覚悟だ。曹CEOによれば、レベル4の自動運転の量産を実現するには、年間の研究開発費は少なくとも数十億元(数百億円超)、あるいは数百億元(数千億円超)に達し、その大半がクラウドコンピューティングの能力に費やされるという。
製品コストについては、ソフトウエアのアルゴリズムを向上させ、センサーへの依存を減らし、削減を図る。 例えば、ミリ波レーダーは、業界標準として5つから始める一方で、モメンタの量産車では3つで対応でき、2025年には1つでも十分機能する見通しだという。
都市部向けのNOA機能が2025年には15万元(約320万円)クラスの車に搭載され、2025年末から2026年初めにかけて、10万元(約210万円)クラスのモデルにも搭載される予定だ。高性能な自動運転製品に必要な「BOM(部品表)コスト」が急速に低下するにつれ、自動運転の体験と安全性は10倍、あるいは100倍に向上すると予測する。今後、ハイレベルな自動運転は徐々に自動車メーカーの標準搭載となり、「2026年までには自動運転業界の勝者が出現するだろう」と指摘した。
一方で、モメンタはロボットタクシー事業にも取り組んでおり、2025年までに完全自動運転タクシーを実現する計画だ。「同業他社と異なり、量産車のセンサーと自動運転技術におけるドメイン制御ユニットDCU(Domain Control Unit)をロボットタクシーに転用することで、コストを抑えながら利益を確保できる。規模拡大のために無駄な資金を投じることはない」と曹CEOは述べた。
さらに、中国の道路環境が欧州や日本よりもはるかに複雑であり、それがAIの学習データとして優位性を持つと説明。「私たちの『ゴールデンデータ』は、テスラ以上かもしれないと」と冗談交じりに語った。
最後に、曹CEOは「人間と同等かそれ以上の知能を持つAGI(汎用人工知能)はAI技術者の究極の夢だ」と言い切った。iPhoneの登場が1000メートル級の津波だとすれば、それ以上に破壊的なイノベーションは「汎用ロボット」だという。しかし、参入時期は現在ではなく「やるとしても、2027年か2028年になるかもしれない」とし、現時点ではより差し迫った戦場は依然として自動運転の市場シェア争いだと強調した。
*1元=約21円で計算しています。
(36Kr Japan編集部)
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