迷子のペットを“6重測位”で追跡、意思疎通もできる世界初の「ペットフォン」が日本上陸へ

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米国では、ペットのイヌやネコが毎年1000万匹も迷子になったり連れ去られたりして姿を消し、8割以上が戻ってこないという。GPS付き首輪のような測位用デバイスはあるものの、GPSが届かないエリアがあったり、追跡距離が短い、機能が単純などの問題が指摘されてきた。

こうした課題を解決するため、米ナスダックに上場している中国発テック企業「uCloudlink(ティッカーコード:UCL)」が、世界最大級のモバイル展示会・MWC 2025で世界初のペット用首輪型スマートフォン「PetPhone(ペットフォン)」を発表した。PetPhoneは6種類の位置測定システムを組合わせることで、高精度かつリアルタイムでペットの位置を測定できるだけでなく、飼い主とペットの意思疎通や、ペットを通じた飼い主同士の交流という役割を持たせた新たなペット用デバイスだ。

同製品は4月からグローバル市場で販売開始の予定で、日本市場にも展開されるが、発売時期や価格などについては現時点で未定となっている。

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PetPhoneはuCloudlinkが通信分野で10年間積み上げてきたクラウドSIM技術を結集したもので、世界390社の通信ネットワークから最適な基地局を自ら選択することで、200カ国以上でSIMカードが不要になった。例えば、ペットがニューヨークのセントラルパークから地下道に入ると、システムは自動的にGPSからLBS(位置情報サービス)とブルートゥース通信に切り替わり、測位の精度が23メートルから5メートルに向上する。また、デバイスとの距離が100メートルに近づくと、アクティブレーダー機能が動作し特定の周波数の電波を発するようになり、ユーザーはスマホのアプリからその場所までナビしてもらえる。uCloudlinkのプロダクトライン責任者である盧彪氏によると、この技術のおかげでペットを発見する確率は業界平均を50ポイント上回っているという。

一方でuCloudlinkは、ペットにとって本当の安全は、何かがあってから対応するのではなく、リアルタイムで守ることだと考えている。そのため、設定した安全エリアを外れると10秒以内にシステムから警告を発する電子柵としての機能も備えている。

さらに、ペットと人とがより深く気持ちを通じ合えるようにも心を砕いている。PetPhoneはペットの10万時間におよぶ行動データを使って訓練され、鳴き声、動作、表情という3要素からなる感情モデルを構築した。総合的な値が閾値を超えた場合、デバイスが自動的に飼い主に対し発信する。テストでは、ゴールデンレトリバーの外へ出たいという要求を認識する精度は89%に達した。

双方向のリアルタイム通話にも対応している。実験データによると、ユーザーは1日平均4.2回通話機能を使用し、測位機能の利用回数を上回る頻度で活用された。ペットショーで実演された際、PetPhoneを装着したコーギーに飼い主がスマートフォンから「ご飯だよ」という指示を送ると、その声を聞いて5秒以内に戻ってきたという。

デバイスの設計も独特だ。重さ37グラムで防水性能はIP67レベル、5日間の連続使用が可能で、マグネット式充電により差し込み穴にほこりが入るという悩みを解決した。SIMではなくeSIMやクラウドSIM対応にすることで防水機能や耐劣化機能が強化され、国境を越えるたびにSIMを交換する手間を省いた。

PetPhoneは測位機能を持つデバイスであるだけでなく、交流ツールでもある。将来的には、PetPhoneを装着したペット同士の距離が近づくと、飼い主のSNSアカウントを交換したり、付近のペット向け公園やオフラインの集まりなどを推薦してくれるようになる。

データを蓄積してさらに応用シーンを広げる方針で、10万件のペットの健康記録を分析することにより動物病院とAI問診システムを開発する計画だ。ペットの運動量が少なくなってきたら関節の病気をリマインドしてくれる。今後、サブスク制の健康相談サービスで収益を得ることになるだろう。

(翻訳・36Kr Japan編集部)

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