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2025年は「AI産業化元年」とも呼ばれ、誰もがAIを活用できる時代が到来し、各業界で急速にスマート化が進んでいる。
こうしたなか、中国電子署名大手の「法大大(Fadada)」が、独自開発の大規模言語モデル(LLM)を基盤とした法務向けAIエージェント「iTerms Pro」を発表した。企業の法務担当者に効率的なAIツールを提供し、法務部門のスマート化を加速することが狙いだ。
ここ数年で、中・大規模企業では法務部門のデジタル化(DX)がある程度進んだものの、実態としては「業務プロセスのオンライン化」というレベルにとどまっており、大量の契約書を手作業で審査するなど、デジタル化の真価が発揮されているとは言い難い。
法大大のプロダクト責任者・梅容氏によると、法務職は高い正確性が求められるため、汎用LLMや単機能のツールで対応することが難しいという。同社はこの課題に対処するため、法務分野で長年培ってきた技術とノウハウを活かし、AIモデルに対して専門的なデータとアルゴリズムによるトレーニングと最適化を実施した。
iTerms Proは、契約書の自動審査や履行状況のモニタリング、法律リサーチ、コンプライアンス対応、紛争解決など、複数のAIエージェントが実務をカバーできるよう設計されている。
最大の強みは、人のようにタスクを理解し、プロセスを分解して判断を下せることだ。自律的に問題を解決する「エージェンティックAI(Agentic AI)」が、思考の連鎖(CoT)と行動の連鎖(CoA)を通じてデジタルアシスタントを生成し、法務担当者と協働して業務のサポートに当たる。
梅氏は「AIが広く利用されるようになったことで、顧客企業も私たちとの協業にいっそう意欲的になった。企業が提供する実務データは、AIモデルの精度向上にも大きく寄与している」と話す。
法大大の李琳副総裁は、iTerms Proの役割は法務担当者の代替を目的とするのではなく、実務支援を通じて業務効率を高めるためのパートナーであると説明する。今後は、法務分野でのAI活用が質の高い専門コーパスの蓄積や、専門家の経験を反映したアルゴリズム開発へと進むほか、各国の最新の法規制に対応させたり、エージェンティックAIやデジタルアシスタントなどの実際的なサポートを強化したりする動きが加速するとの見通しを語った。
法大大を創業した黄翔CEOによると、AIの目指すところは法務担当者を煩雑で非効率的な検索や引用、確認作業から開放して、その生産性を戦略的業務に生かせるようにし、法務部門の価値を高めることだという。
例えば、契約書を審査する際にiTerms Proを活用すれば、手作業で平均20分かかっていた審査時間を半分に減らすことができる。このように効率化を図ることで、法務担当者は複雑な問題の処理に多くの時間を充てられるようになり、企業としても柔軟なコンプライアンス戦略を取り入れることができる。
さらに、iTerms Proはオープン設計を採用しており、API連携が可能なほか、市場シェアの高いオフィスオートメーション(OA)システムや基幹業務システム(ERP)とも互換性があり、AIエージェントが自律的に計画を立て、協調できるシステムを構築することができる。
グローバル化が進む中、企業が海外展開で直面する複雑な法規制や地政学リスクへの対応は一層重要になっている。法大大はiTerms Proを通じて、法務部門がリスクを的確に管理し、国際的な法的要求に応えながら健全な成長を遂げられるよう支援したいとしている。
(翻訳・畠中裕子)
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