popoのブログ

超短編(ショートショート)

海を渡って

1900年代半ば外国で生まれた彼女は、

幼い頃から歌と踊りに夢中だった。

 

日本の歌謡曲を口ずさみ、映画スターに憧れる少女は、

やがて日本の地を踏むことになる。

 

そして彼女は若くして日本で歌手となる。

透明感のある歌声と愛らしいルックスは、たちまち人々を魅了した。

 

しかし、順風満帆な道のりではなかった。

異国での生活、言葉の壁、文化の違い。

様々な困難が彼女を襲う。

それでも彼女は、持ち前の明るさと努力で、

一つ一つ壁を乗り越えていく。

 

大人になった彼女が歌った曲は大ヒットした。

オリエンタルな雰囲気と情熱的な歌声は、日本中を虜にした。

 

この曲で彼女は、音楽の賞を受賞。

名実ともに、時代の歌姫となった。

 

それでも彼女は、現状に満足しなかった。

歌手活動のかたわら、女優としても活躍。

映画やドラマに出演した。

そしてまた、その演技力も高く評価された。

 

彼女の行動はまだ終わらない。

次は、版画家として才能を発揮。

独特な色使いと繊細なタッチで、多くの人々を魅了した。

 

「一つのことに囚われず、常に新しいことに挑戦したい」

 

彼女の言葉は、多くの人々に勇気を与えた。

 

彼女は、歌手、女優、版画家として、

多岐にわたる才能を発揮し、今もなお輝き続けている。

 

その歌声は、時代を超えて人々の心を魅了し、

その作品は、多くの人々に感動を与えている。

 

困難を乗り越え、常に新しいことに挑戦する彼女の姿は、

私たちに勇気を与えてくれる。

 

「私は、歌、演技、版画を通して、人々に感動を与えたいと思っています。そして、私自身も常に挑戦者でありたい。これからも、自分の信じる道を歩んでいきたい。」

 

彼女の物語は、私たちに希望の光を灯してくれる。

おんぶ

私、あおいは、ママの背中にいる。

 

あったかい。

 

ふわふわの毛布みたい。

 

ママの匂いがする。

 

トントン、トントン。

 

ママの心臓の音が聞こえる。

 

不思議な音。

 

でも、なんだか落ち着く。

 

ママの背中は、私の特等席。

 

高いところから、色々なものが見える。

 

おっきな木、小さな花、走る車、飛ぶ鳥。

 

初めて見るものばかりで、目がキラキラする。

 

風が吹いて、私の髪を撫でる。

 

ママの優しい声が聞こえる。

 

「あおいちゃん、何が見える?」

 

私が「おっきな木!」って言うと、ママは「そうだね、あおいちゃんには大きく見えるね」って笑う。

 

ママとのお散歩は、私の大冒険。

 

色々な発見があって、ワクワクする。

 

疲れたら、ママの背中でスヤスヤ眠る。

 

あったかくて、安心して眠れる。

 

ママ、ありがとう。

 

あなたの背中は、私の一番大好きな場所。

 

いつまでも、一緒にいたいな。

カニ看板

港町に住む小学三年生のケンとユイは、

いつも一緒に遊ぶ仲良しコンビ。

二人の秘密基地は、波止場の隅にひっそりと佇む、

古びたカニの看板のすぐそば。

看板は、かつてこの町で一番賑わっていた海鮮料理店のものだったが、

今は錆び付き、片目も取れてしまっている。

 

ある日、ケンとユイは看板の前にしゃがみ込み、

カニの物語を想像していた。

「昔、このカニは海の王様だったんだ。宝石のように輝くハサミを持って、美味しい魚をたくさん捕まえて…」

ユイが目を輝かせながら話すと、ケンもワクワクした。

「きっと、このお店には魔法の料理があったんだ!食べると元気が出るような、特別なカニ料理…」

 

その日の夜、ケンは不思議な夢を見た。

夢の中で、大きなカニが動き出し、ケンに話しかけた。

「坊や、お前は私に魔法をかけたな?」

ケンは驚きで言葉を失った。

「お前の想像力が、私に力を与えてくれた。ありがとう」

カニはそう言うと、再び動かなくなった。

 

次の日、ケンはユイに夢の話を興奮して伝えた。

「大きなカニが喋ったんだ!あの看板そっくりな大きなカニが!僕たちに何か伝えたいことがあるのかもしれない!」

ユイも目を丸くして驚いた。

「ほんとう?じゃあ、もう一度カニの看板を見に行こう!」

 

二人は急いで波止場へ向かった。

看板の前で息を整え、じっと見つめていると、

なんと、カニのハサミがゆっくりと動き出した!

「本当に動いた!」

ケンとユイは抱き合って喜んだ。

カニさん、何か教えて!」。

 

カニはカタカタとハサミを鳴らしながら、港の方を指差した。

二人はカニの導きに従って歩き出した。

たどり着いたのは、活気を取り戻しつつある魚市場だった。

 

魚市場では、新鮮な魚介類が所狭しと並び、

威勢のいい掛け声が飛び交っていた。

ケンとユイは、カニが教えてくれた意味を悟った。

「このカニは、美味しい魚を届けて、みんなを笑顔にしたかったんだ!」。

 

二人は魚市場で働く人々に話を聞いた。

昔、この町はカニ料理が有名で、多くの観光客が訪れていたこと。

しかし、時代の変化とともに客足が遠のき、活気が失われていたこと。

それでも、漁師たちは美味しい魚を届けたいという情熱を持ち続けていること。

 

ケンとユイは、自分たちにできることを考えた。

そうだ、カニの看板を綺麗にしよう!

二人は友達を誘い、ペンキやブラシを持って波止場へ向かった。

みんなで力を合わせ、錆び付いた看板を丁寧に磨き、色を塗り直した。

 

生まれ変わったカニの看板を見た人々は、

懐かしさと新しさに目を輝かせた。

「このカニ、昔よく来たなぁ」

「またカニ料理食べたいね」と、笑顔で話す人たち。

 

その日から、町には再び活気が戻り始めた。

魚市場は賑わい、カニ料理店もオープンした。

ケンとユイは、カニの看板が見守るこの町で、

人々の笑顔が溢れる未来を想像した。

 

ケンとユイの物語は、小さな勇気と想像力が、

町全体を明るく照らす力になることを教えてくれる。

古びたカニの看板は、希望の象徴となった。

愛の光

穏やかに晴れわたった冬の朝、

老人のヨハンは、手入れされた庭の一角に咲くチューリップを見つめていた。

赤、白、黄色、紫… 色とりどりの花が咲き誇り、

まるで妻の笑顔のようだった。

 

ヨハンと妻のアンは、幼い頃からの友人であり、生涯の伴侶だった。

共に笑い、共に悩み、共に人生を歩んできた。

アンはヨハンの太陽のような存在で、いつも優しく彼を照らしてくれた。

 

しかし、数年前、アンは病に倒れ、静かに息を引き取った。

ヨハンは深い悲しみに暮れ、生きる気力さえ失ってしまった。

 

それでも、アンとの思い出がヨハンを支えた。

庭に咲く花々、一緒に食べた料理、二人で訪れた場所…

全てがアンを思い出させた。

 

特に、チューリップはアンナが一番好きな花だった。

アンはよく「チューリップは真実の愛を象徴する花だ」と言っていた。

ヨハンは毎年、アンの誕生日にチューリップの花束を贈っていた。

 

アンが亡くなってからも、ヨハンは毎年チューリップを植え続けた。

それは、アンへの愛と感謝の気持ちを表すためだった。

 

そして、今年もまた、チューリップが咲いた。

ヨハンは一番美しい赤いチューリップを摘み、花束にした。

 

ヨハンは花束を手に、アンが眠る墓地へと向かった。

墓石の前で、ヨハンは花束を供え、静かに目を閉じた。

 

「アン、見てください。今年もチューリップが綺麗に咲きましたよ。あなたが好きだった赤いチューリップです」

 

ヨハンはアンに話しかけた。

 

「あなたはいつも私を照らしてくれる太陽のような存在でした。あなたと出会えたこと、あなたと夫婦になれたこと、私は心から感謝しています」

 

ヨハンの目には涙が溢れていた。

 

「あなたはもういないけれど、あなたの愛は今も私の中で生きています。これからもずっと、あなたを愛し続けます」

 

ヨハンは深呼吸をし、空を見上げた。

青い空には、白い雲がゆっくりと流れていく。

 

「アン、ありがとう」

 

ヨハンは心の中で呟いた。

そして、アンへの愛を胸に、再び歩き始めた。

 

ヨハンの心には、温かい光が灯っていた。

それは、アンが残してくれた愛の光だった。

限られた時間

これは今から数十年も前の話。

世の中にまだ携帯電話がなかった時代。

 

毎朝、目が覚めると彼はいつも同じことを考えていた。

 

「さあ。一日の始まりだ」

 

彼には彼女がいた。

しかし彼女の家は厳しく、

自宅の電話での会話がなかなかできない。

 

許された時間は毎朝の3分間。

 

しかし彼は、彼女と話すための3分間を、

まるで宝石箱を開けるように大切に思っていた。

3分間という短い時間の中で、出来事を報告したり、

感謝の気持ちを伝えたり、あるいはただ単に

彼女の穏やかな声を聞きたいがために電話をかけていた。

 

最初は、何を話そうかといつも悩んでいた。

今日あった面白いこと、学校で起きたハプニング、

最近読んでいる本のこと、何でも良かった。

でも、限られた時間の中で、本当に伝えたいことは何か、

と自問自答するうちに、彼はだんだんと大切なことに気づいていった。

 

それは、何を話すかということよりも、

何を話そうかと考えている時間そのものが、

彼にとってかけがえのないものになっていたということだ。

 

彼女の好きな食べ物、趣味、ちょっとした仕草、

そんな些細なことを思い出しながら、言葉を選ぶ。

その間、彼は彼女のことを心から考え、愛おしく思っていた。

そして最後は笑顔で終わろう。そう思うようになっていた。

 

3分間の電話を終えるたびに、

彼は温かい気持ちで一日をスタートさせた。

まるで、魔法の薬を飲んだような、そんな感覚だった。

 

ある日、彼は彼女にこう言った。

「君と話す3分間は、僕にとって一日で一番幸せな時間だよ。」

 

彼女は少し照れながら、「私もだよ」と答えた。

 

彼と彼女は3分間で愛を伝えた。

不安や悩み、愚痴もあった。

それでも3分経つ頃には

「ありがとう」「愛しているよ」の言葉で締めくくられた。

 

それからしばらくして、彼らは結婚することになった。

結婚式の場で、彼はこう話した。

「僕たちは、毎日3分間の電話を通して、お互いのことを深く知ることができました。しかし、僕たちの愛を育んだ大切な時間は莫大だったのです。」

 

“今”あなたには大切な人がいる。

しかし限られた時間もある。

何を話しますか?何を伝えますか?

 

そして、そう考えている時間こそ

あなたにとっても、相手にとっても、

大切な時間そのものなのかも知れません。