投資をするには株価を予測することが必要だ。初心者でもできる方法はないか。経済アナリストの馬渕磨理子さんは「現状をきちんと測る物差しと、基本的な指標、数値を押さえて冷静に分析すれば、誰でも日経平均株価を予測することができる」という――。

※本稿は、馬渕磨理子『一歩踏み出せない人のための株式原論』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

史上初めて4万円を超えた日経平均株価を示すモニター=2024年3月4日午前、東京都千代田区
写真=時事通信フォト
史上初めて4万円を超えた日経平均株価を示すモニター=2024年3月4日午前、東京都千代田区

日経平均の予測は誰でもできる

日経平均株価は、株価が決まる仕組みを知れば誰でも予測することができます。

株価は、EPS(Earnings Per Share/1株当たりの利益)とPER(Price Earnings Ratio/株価の収益率、期待値)の掛け算で決まります。EPSは企業の利益を意味し、決算などで発表されるものなので嘘をつけません。

仮に、日経225企業(日本を代表する225の東証プライム上場企業)の1株当たり利益を、2200円とします。期待値であるPERはアベノミクス以降11~16倍で推移していますので、2200円に11倍を掛ければ下値が、16倍を掛ければ上値が予測できます。アナリストは、日経平均チャートに公開された数字を見て日経平均を予測しています。このように、実は誰でも日経平均株価を予測できるのです。

EPSは2023年に2300円台まで上がりました。翌24年の予測は2600円で、期待値(PER)の17倍を掛け算するとしたら4万4200円です。過去の日経平均のマックスが16倍でしたので、17倍は少し行き過ぎにも感じますが、16倍の4万1600円までは回復する可能性があります。下値でも12倍まで、2600円を掛けて3万1200円までは想定の範囲でしょう。

最近、日経平均が10万円や30万円まで上がる説を語る専門家が増えました。これは、5年から10年の長期で考えた場合の話です。2100円になり、2500円になり、次は3000円、3500円と平均利益が拡大していけば、5年後、10年後にこのぐらいの利益になる話は現実的です。期待値を掛けてみれば、あり得る数字です。日経平均はこのように簡単に予測が立てられます。もっとも個別の企業については、それぞれに合った読み解き方が別に必要なのですが。