納豆「とろっ豆」ファミリー層への訴求拡大へシネアドに挑戦 ミツカンに手応えを聞く

ミツカンは「金のつぶ パキッ!とたれ とろっ豆」のプロモーションの一環で、ショッピングモールに隣接した映画館「イオンシネマ」でシネアドを展開した。これまでシネアド活用の機会はなかったが、宣伝会議の「日本のメディア」の仲介で実現。ファミリー層への訴求で手応えが得られたという。

ファミリー層への浸透を目指しシネアドにトライ

ミツカンの「金のつぶ パキッ!とたれ とろっ豆」は、同社の納豆シリーズの中でもヒット商品のひとつ。2023年には発売16周年を迎え、10(と)、6(ろ)の語呂合わせで周年記念キャンペーンを展開した。

「とろっ豆」は消費者の認知度が高い商品であるが、フタを折ることでタレをかけることができる「パキッ!とたれ」や「ふわとろ」食感といった商品の詳細理解を促すことで、トライアルにつなげたいと考えていた。

写真 商品・製品 「金のつぶ パキッ!とたれ とろっ豆」

「金のつぶ パキッ!とたれ とろっ豆」。フィルムやたれ袋が無い「パキッ!とたれ」と、独自の「ふわとろ」食感が特徴だ

マーケティング本部チルド企画部で「とろっ豆」を担当する國島健氏は「調査から、『とろっ豆』は全世代に支持されていることが分かっていますが、相対的に若年層の支持が厚い傾向にあります。要因としては、タレをかけるときのパキッという音や、割るときの爽快感が若年層、特に幼児期から小学校低学年くらいのお子さまに楽しんでもらえていると考えています。そこで、若年層を意識しながらお子さまが大人と一緒に商品特徴に触れる機会をつくりたいと考えていました」と話す。

写真 人物 ミツカン マーケティング本部 チルド企画部の國島健氏

ミツカン マーケティング本部 チルド企画部の國島健氏

今回展開したイオンシネマでのシネアドは、宣伝会議のプロジェクト「日本のメディア」からの提案がきっかけ。同じくチルド企画部の吉田都久実氏がシネアドに興味を持っていたタイミングでもあり話が進んだ。

シネアドで視聴態度の良いターゲット層へのリーチを期待

シネアドに着目した理由について吉田氏は「スマホが普及して以降、テレビは「ながら視聴」の傾向がより強まっています。一方で映画館はリラックスして椅子に座り、スクリーンに集中する前提で画面に向かうので視聴態度が良いところに魅力を感じました」と話す。

イオンシネマは、多くの劇場がイオンのショッピングモールに隣接し、日本全国に96劇場、821スクリーンを持ち、幅広いエリアのファミリー層にリーチが期待できる。今回はさらに、イオンシネマがミツカン側の要望に応え、ファミリーでの来場が予想される子ども向けの複数作品をパッケージにして一定期間広告を放映する特別プランを用意した。プラン策定に関しては、ファミリー向けの来場を促進したいイオンシネマ側の意向もあったという。

「作品によってターゲットとする年齢層に合致しているかの判断に役立つデモグラフィック情報もあり、事前に作品の推定動員数もいただくことができたことも良かったです。社内承認を得る際にはターゲットの確度や推定リーチ数を聞かれることもあるので、それに対する指標となるデータが前もってあったことは、今回特に初めての挑戦だったので助かりました」(吉田氏)

写真 人物 ミツカン マーケティング本部チルド企画部の吉田都久実氏

ミツカン マーケティング本部チルド企画部の吉田都久実氏

初回のシネアドはイオンシネマの特別プランを利用し、2023年の9月〜12月に公開された8作品で放映した。2024年9月から実施した2回目のプロモーションは、初回実施時の作品ごとの来場者属性の情報も踏まえ、よりファミリーでの鑑賞が多い1作品に絞った。

放映した映像はテレビCMと同じ素材を採用した。「テレビCMのクリエイティブも「パキッ!とたれ」と「ふわとろ」食感といった商品特徴を訴求しており、マスで使用しているものを流すことによる重複効果と、テレビCMに接触していない人へのリーチ補完にもなると考えました」(吉田氏)

作品ごとの来場者属性は、興行主が発表するデモグラフィックデータとイオンシネマのチケット購買者を紐付けて算出されている。映画のチケットは12歳以下、学生、シニアなどの年齢層が明確に判別できることも特徴だ。「映画のチケット購入年齢層から、ファミリー比率も見ることができるのは良いと思いました」(吉田氏)

2回目のプロモーションでは、調査会社によるブランドリフト調査も実施している。しかし、その結果からは、「行動喚起」の項目におけるシネアドの接触者と非接触者の間に大きな差異は見られなかったという。國島氏は「今回の結果では、シネアド接触者の購入意向上昇や実際の購買で、期待した結果は得られませんでした。ただ、来館数、広告との接触者数は想定以上だったので、私たちがターゲットとした層にリーチできたことは評価しています」と振り返る。

新しいチャレンジによって見えた課題とさらなる期待

シネアドへの出稿はミツカンにとっても新しいチャレンジだ。まだまだ改善の余地は残されているものの、これまでの取り組みには手応えを感じているという。國島氏は「映画館というチャネルは視聴態度の良い環境で広告を見てもらえますし、デモグラも固定できるのでこれからも機会があれば挑戦したい」と期待を口にする。

ショッピングモール隣接型のイオンシネマは、映画鑑賞後の店頭への誘導や購買行動とのつながりを期待できる環境にある。今回は、店頭への送客や購買との関連性の確認はできていないが、この点に関しては今後の課題であり、チャレンジしたい領域だと語る。また、今回はテレビと共通のクリエイティブを採用しているが、映画館という環境やターゲットに合わせた専用の映像を制作するのかも検討したい、という。

今後の展望について國島氏は「納豆カテゴリーは店頭が一種の広告としての役割を果たしています。『とろっ豆』はパッケージデザインでその要素を強調しているので、今回のような施策とつながりを持たせて店頭への動線をつくることができれば、さらに可能性が広がると考えています」と話す。

吉田氏も「納豆といえば『とろっ豆』だよね、と思っていただけるように、プロモーションを検討していきたい。シネアドも含めて、チャンスがあれば今後も色々なことにチャレンジする姿勢は大事にしたいと思っています」と意欲を示した。

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株式会社宣伝会議
「日本のメディア オファーサービス」プロジェクト

EMAIL:jpm@sendenkaigi.co.jp

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