大阪万博 奈良の催事固まる 春日若宮おん祭、能楽パフォーマンスも
奈良県は22日、4月に開幕する大阪・関西万博で、県がかかわる催事の概要を発表した。山下真知事は会見で「歴史や食、自然などを国内外の皆さんに印象づけたい」と抱負を述べた。
県や市町村、経済団体などでつくる「大阪・関西万博県実行委員会」の催事タイトルは「なら Weaving the Futureはじまりの地から未来をつむぐ」。豊かな自然・歴史・文化をつむいできた「はじまりの地」から未来を表現するコンセプトだという。予算は総額3億2千万円程度を想定している。
5月27~29日の3日間は1万6千人を収容するエキスポアリーナで多彩なイベントを実施する。
メインステージでは春日若宮おん祭(まつり)の一部を再現するほか、奈良発祥の能楽と映像、現代音楽を融合させた能楽パフォーマンスを披露する。「奈良歴史絵巻」(仮称)として無形民俗文化財の「十津川の大踊」「曽爾の獅子舞」などを上演する。ステージ周辺では奈良の食を味わうブースも出展。奈良文化財研究所と油長酒造が木簡をもとに古酒を復元するプロジェクトを紹介。古代、中世といまの日本酒の飲み比べを提供して、酒文化をつむぐ奈良をPRする。県産木材を使った茶室を設け、大和茶を味わうこともできる。
開幕直後の4月15~26日には、関西広域連合による関西パビリオンで39市町村の観光情報を案内する。
広域連合の各府県はそれぞれ半年にわたりブースを構えるが、県は荒井正吾・前知事時代にブース設置を見送った。12日間限定の出展となることについて山下知事は「個別のブースがあったらもっと色々なことができたと思うが、こういった形になった」と述べた。
大学生が開発した県産食材を使った弁当の販売や、AIが奈良の観光スポットを提案するウェブサービスの案内もある。
映画監督の河瀬直美さんが十津川村の廃校舎を活用するパビリオン「いのちのあかし」とも連携。実行委としては9月12~25日の期間中に1970年の大阪万博で設置された「万博ピアノ」のミニコンサートや、河瀬さん監修の市町村PR動画の放映を企画している。
万博で奈良県がかかわる主な催事
【エキスポアリーナ】=5月27~29日
・春日若宮おん祭、能楽、無形民俗文化財の実演
・古代酒の復元・試飲
・県産材使用の茶室で大和茶のもてなし
【関西パビリオン】=4月15~26日
・県内39市町村のPR展示
・大学生がレシピ開発する弁当で県食材PR
【河瀬直美さんとの連携事業】=9月12~25日
・1970年の大阪万博で使われた「万博ピアノ」の講座やミニコンサート
・市町村PR動画を放映