収まる気配のない米の高騰を受け、政府は「備蓄米」放出の概要を発表した。

そもそも備蓄米とはいったいどういうものなのだろうか。農林水産省が公開している資料「米をめぐる状況について」などから、その仕組みを調べてみた。

どれくらいある?産地は?

備蓄米とは、国民が米をいつでも安定して食べられるようにと、国が備蓄している米のこと。

米の備蓄は1995年に制度化した。きっかけは、1993年の大凶作により、消費者が米を求めてスーパーに殺到した、いわゆる“平成の米騒動”だった。

倉庫で保管されている備蓄米
倉庫で保管されている備蓄米
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備蓄している量は、約100万トン。これだけあれば、「10年に1度の不作」や、「2年連続で不作が続いた」ときでも緊急輸入等せずに国産米だけで対応できるということだ。

政府は毎年、稲作の始まる頃に全国各地から合わせて約20万トンの米を買い入れて、100万トンを維持。

2024年産では、福島、新潟、青森、山形の順に多く購入した。2024年6月末時点では約91万トンが備蓄されている。

どんな時に使われる?

実は、今回のように、流通を円滑化し、米の価格を安定させることを目的に放出されるのは初のケースだ。

本来、国が備蓄米の放出を想定しているのは、不作が続いた時や大不作が起こった場合だ。

加えて、大規模災害時にも活用される。

備蓄米は基本的には玄米だが、東日本大震災を受け、2012年度からは災害への備えとして一部を精米し、無洗米の状態で常時500トン備蓄するようになった。

この無洗米は2016年に発生した熊本地震の際にも供給された。

なお、備蓄後一定期間が経過した無洗米は、非常食として販売される。

このほか、こども食堂やこども宅食、フードバンクに無償交付される。また、学校給食に使用される米の一部としても、無償または有償で交付される。

5年たった備蓄米は飼料用に

保管期間は、約5年間。保管期限が過ぎた備蓄米は飼料用として販売される。

備蓄米の運用
備蓄米の運用

長く保管されていると味が落ちないか気になるところだが、農水省が無洗米として保管している米の食味等分析試験を行ったところ、「15℃以下で保管した場合、精米後12ヶ月経過しても食味は大幅に低下しない」という結果になったそうだ。

備蓄米は国が定めた制度の中で管理され、活用されていることが分かった。放出によって米の価格が下がり、我々の暮らしがいい方向に変わればいいのだが…。

プライムオンライン特集班
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