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2010年04月15日
アイデアよもやま話 No.1486 溝口健二 映画監督の『違うな、違うな、・・・』
4月7日(水)放送の徹子の部屋(テレビ朝日)のゲストは落語家の春風亭小朝師匠でした。
全体的にとても楽しめたトーク番組でしたが、その中からいくつかご紹介します。

以下は小朝師匠が山田洋次映画監督から聴いた話として紹介していました。

溝口健二映画監督について
・役者や照明係について、気に入らないことがあると、やるたびに「違うな」と言うだけで具体的にどこがとは一切言わない
・最後には役者が切れて、「どこが違うか具体的に言ってください。」と言うと、「役者はあなたで僕は役者じゃないからあなたの一番いいと思う芝居をやって下さい。それでよければ私はOKを出します。」と言いました。
・こうした溝口監督の言葉に、役者や照明係のみなさんはどうしたらOKが出るか一生懸命考えるようになりました。
・そうすると、みなさんのものの見方や考え方が広く深くなってきました。

一方で、最近は「教えてください。」と言うとすぐに教えてくれるので聞いた方は分かった気になってしまうので、結果的に物事がものすごく浅いところで理解されてしまう、とも山田監督はおっしゃっていたそうです。

また、小朝師匠は最近相手に考えさせることが少なくなっている、という状況について女優の岸田今日子さんの子育てについても紹介していました。
岸田さんがお子さんに童話を読んで聞かせる時に途中まで話して「この後、どうなったと思う?」とお子さんに聞いていたそうなのです。
それに対して、お子さんが「こうじゃないか。」と答えると、「そうじゃなくてこうなったのよ。」と教えていたのです。
最後まで読み終えるまでこれを何回か繰り返していたのです。

確かに、現在はビジネスの世界に限らず、何事においても早く結果を求めるあまり、スピードが求められる時代です。
でも、全てにわたってスピードをあまりにも追い求めてしまうと、山田監督のおっしゃっていたように、深く考えて深く理解する、という機会がなくなってしまいます。
No.29 選択と集中!でもお伝えしたように、限りある時間の中で、これはと思うものを選択して、それについてはじっくり考える時間を持ちたいものです。
また、日本のような資源少国は、他の資源大国に比べてより一層の知的財産を持ち続けなければ、いずれ立ち行かなくなってしまうのは目に見えています。
ですから、お互いに安易に結論を出さず、「違うな、違うな、・・・」という自問自答を繰り返して自分に厳しく物事を考える習慣を持ちたいと思います。

ちなみに、昨日放送のワールドビジネスサテライト (テレビ東京)によると、経団連が発表した新卒採用の選考で特に重視した点は以下のとおりです。
1位 コミュニケーション能力 81.6%
2位 主体性          60.6% (8年ぶりに「協調性」を上回った)
3位 協調性          50.3%
9位 専門性          (2009年卒は14位)
ですから、企業が今求めているのは、自分で考えて判断し知識や能力を生かせる人材なのです。

やはり、映画界や経済界に限らず、日本のどの分野においても”自分で考える”人材が求められているのです。
そして、これこそ資源小国、日本という国の進むべき方向なのです。 

 
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