エンタープライズ用途でのマッシュアップ
マッシュアップというと、オープン系のAPIやWebサービスを組み合わせて、主にエンドユーザー向けのサービスを構築するというイメージが強い。実際、このようなマッシュアップで斬新なサービスが創出されている。反面、エンタープライズ用途でマッシュアップというとあまりなじみがないかもしれない。東京ガスでは、IBM InfoSphere MashupHub(以下、MashupHub)を利用し、業務システムでのWebサービス開発を効率化できるか否かの実証実験を行ったという。
その経緯、効果、課題などを東京ガスに聞いた。インタビューに答えてくれたのは、東京ガスグループのティージー情報ネットワーク ITソリューション1部 LIVALITプロジェクト 木津吉永氏と同CIS第2グループ 有川良達氏だ。
なぜMashupHubを選択したのか?
――まず、どのような経緯でMashupHubによるWebサービス開発の効率化というものを考えたのでしょうか。
木津氏:東京ガスでは数多くあるシステムを効率よく連携するためにシステム間連携基盤の標準化を推進しています。同期型のシステム間連携では、SOAPベースのWebサービスを標準技術として採用する方向で進めています。そこで、開発したWebサービスをさらに組み合わせて(マッシュアップさせて)、いろいろなアプリケーションやサービスを開発できないかと、考えたのが発端といえるでしょうか。
実際このようなサービス開発の効率化を考えたとき、いろいろな製品やサービスを比較、検討してみました。ところが、調べてみると、エンタープライズ用途で、かつ社内のデータリソースや既存のWebサービスをマッシュアップできるようなシステムがIBMのMashupHubとKapow MashupServerくらいしか存在しないことが分かりました。
Microsoft PopflyやGoogle Mashup Editorは非商用でありデータやサービスのマッシュアップというより、ユーザーインターフェイス(UI)の部分のマッシュアップが専門です。IBM Lotus Mashupsは商用ですが、やはりUIのマッシュアップです。データレベルのマッシュアップや情報ソース(Webサービス)のマッシュアップをカバーしている製品はほとんどありませんでした。
最終的にMashupHubに決定したのは、選定時に両社に問い合わせをしたのですがKapowから返事がもらえなかったのに対し、IBMはきちんとフォローしてくれたからというのもあります(笑)。