政府の教育再生実行会議(座長、鎌田薫・早稲田大総長)が、国公立大入試の2次の学力試験を廃止し、面接など「人物評価」を重視することを検討していると伝えられている。
これについて、筆者のまわりの大学関係者では侃々諤々の議論があるが、圧倒的に批判が多い。その理由を今回は取り上げよう。
「言うは易く行うは難し」の人物評価
まず、教育再生実行会議のメンバーである。教育学の専門家がいない。前の教育再生会議でも指摘されていたが、教育関係者は若干いるが、専門家はいない。専門家とは、少なくとも文献を読んでいて、海外の事情などに詳しく、統計データで客観的に分析でき人たちだ。
教育は誰でも語れるため、下手をすると井戸端会議みたいになる。誰でも教育を受けた経験はあるので、そうしたややもすると偏った経験に基づき、一般論が飛躍した論理で語られることが多い。
一方、大学の教員は、研究と教育に従事している。人によって、両者のウエイトは異なるが、教育のウエイトの大きい人のほうが数は多いだろう。そうした人は一応教育関係者であり、教育学を専門としないものの、教育再生実行会議のメンバーになっても不思議でない。そういう人からみると、教育再生実行会議の議論が素人談義にみえるのだ。
下村博文文科相は「学力一辺倒の一発勝負、1点差勝負の試験を変えるときだ」といい、「知識偏重」を改めるべきだという。