東芝「負の遺産」、実は1兆円超え!? 発表された赤字額の他にもまだまだウミは残っている
製造業で過去最大規模の赤字
会計ルール上は認められていて「不正」ではないが、経営の判断として処理してこなかった過去の含み損というのは、少なからずどこの会社にでもあるものだ。それは洋の東西を問わない。「レガシーコスト(負の遺産)」と呼ばれ、それが表面化して、しばしば経営を大きく揺さぶることになる。
案の定と言うべきだろう。不正会計に揺れる東芝も、遂にレガシーの一端を明らかにした。12月21日に発表した「『新生東芝アクションプラン』および2015年度業績予想」で、2015年度(2016年3月期)の当期損益予想を5500億円の赤字としたのだ。
大幅な赤字に転落するのは巨額の粉飾決算によって東芝の信頼が揺らぎ、売り上げが落ちていることにも一因があるに違いない。だが、それ以上に過去から背負ってきた「レガシー」の清算を迫られている面が大きいのは明らかだ。
営業損益段階で3400億円という赤字を計上するのも、広い意味では、トップが主導して数字のかさ上げを社内に求めた「チャレンジ」のツケである。
東芝が発表した資料によると、営業損益段階での今年度の業績悪化分は3454億円、これに加えて資産評価減を1100億円、構造改革等の費用として2300億円を見込むという。さらに営業外の費用として、構造改革で300億円、その他で1100億円を見込んでいる。業績悪化分を含まなくても4500億円のレガシーが表面化したのである。
ちなみに営業外で1800億円の有価証券売却益を見込んでおり、これがなければ7300億円という最終赤字になる。あの日産自動車にカルロス・ゴーンが乗り込んできてレガシーを一気に処理した2000年3月期の赤字は、製造業で過去最大の6800億円という巨額だったが、それを上回る規模のレガシーを東芝が抱えていたことをうかがわせる。
だが、東芝のレガシーはこれだけではない。