OSX以前のMacにおけるUNIX
スティーブ・ジョブズが帰ってきてMacOS Xが登場するずっと前から、MacでUNIXまたはUNIXっぽいものを動かす試みはあった。
- A/UX
Apple純正のUNIXである。System/V系にBSDの要素も足した結構しっかりしたシステムだった。一見MacOSの上にUNIX要素を足したように見えるが逆で、UNIXシステムの上にMacエミュレーション層を置いていた。ファイルシステムもMacのHFSではなくUFSで、その上でリソースフォークやメタデータを扱うために、AppleDoubleという方式が用いられた。
68kMac用で、FPUとPMMUを必要としたため、動かない機種も多かったらしい。大学などで使われた。 - Mac MiNT
- Atari ST純正OS、TOSをマルチユーザーマルチタスクにしたMiNTというUNIX風OSを68kMacに移植したもの。Macの上で一つのアプリケーションとして動いた。これは僕もインストールして遊んだことがある。マルチタスクをどうやっていたのか覚えていないのだが、垂直回帰線割り込みあたりを使っていたのだろうか。TCP/IPなどが使えず、Xもなかったので、コンソールで複数コマンドをパイプで繋いで遊ぶくらいしかできなかったが、結構楽しかった。WindowsでいうところのCygwinみたいなものだろうか。
- NetBSD/Mac68k
本格的なオープンソース系UNIXの初めてのMac移植。当時FreeBSDはIntel系で安定して動くことに注力していたが、NetBSDは移植性を高め、対応機種を増やすことに注力していた。そこで登場したのがMacBSD。少ししてNetBSD/Mac68kと名前が変わった。A/UXもそうだったはずだが、MacのハードウェアはBIOSがなく、いきなりMacOSのSystemファイルを読み込む仕様になっていたので、MacOS以外のOSをまともに動かすのは難しかった。なので、OS起動中に読み込まれる機能拡張書類がBSDカーネルを読み込み、メモリを占拠して起動するようになっていた。X11もあったが、当時まだまともなデスクトップ環境がない時代で、TWMで動くだけだったので、GUIを使ってもMacOSに比べてなんかしょぼい。 - MkLinux
PowerPC採用後のMacにおいて、移植が試みられたUNIX系OS。MachマイクロカーネルにLinuxサブシステムを搭載したもの。AppleとOSFが協力して開発されていたが、商品化されずに収束した。
ベータ版として公開されていたけど、普通に使えたと記憶している。
これらのうち、商品化されたのは、A/UXのみだったと思う。しかしこれほどUNIX系の移植が試みられたことがあったという事実。現代のMacユーザーの多くは知らないのではないだろうか。