Cookieをめぐる動き
今までアクセスしたことのないウェブサイトを訪れたとき、PC上に生成される小さなファイル「Cookie」。ここには、さまざまなユーザーの情報やユーザーが行った設定などが保存され、そのデータはさまざまな目的で利用されている。
Cookieを利用する事業者の目的のひとつは、同一ユーザーの推定である(実際には、そのユーザーが使っているブラウザを推定している)。それによって、あるユーザーがブラウザを通じてサイト上で行った設定などを保存し、何度も同じ設定をしなくても済むようになるため、ログイン情報の保存をはじめ、さまざまな用途にCookieは利用されている。たとえば、サイトの表示言語を「日本語」に設定した場合、Cookieはそれを記録し、次にそのユーザーがサイトを訪れたとき、何も設定しなくても日本語で表示してくれる。同一ユーザーの推定によるパーソナライゼーション。これによって、ウェブサービスはさまざまな利便性を提供することが可能になった。
Cookieには「ファーストパーティ」と「サードパーティ」の2種類がある。前者は、アクセスしているサイトの運営者が作成し、後者はそのページに埋め込まれた広告などの要素を提供している第三者が作成する。ネット広告の手法のひとつであるターゲティング広告は、このCookieのデータを利用して、あるユーザーを特定し、その人の行動履歴などをもとに広告を表示する仕組みである。
しかし近年、プライバシー保護の観点から、Cookieの広告での利用に関して懸念が高まっており、それに呼応するように、Internet ExplorerやFirefoxなどのブラウザでは、Cookieを無効にする「Do Not Track(追跡禁止)」機能や、デフォルトでサードパーティCookieを遮断する設定の導入が検討されている。また、欧州では、はじめてサイトを訪れたとき、Cookieを有効にしてよいかの確認をユーザーに求めるシステムを導入しているサイトも多い。