起承転結は古い! ネット時代の文章術とは?
要点を整理し、起承転結を意識してまとめる。誰もが一度は耳にしたことはあるだろう、小学校時代に習う文章の書き方の基本だ。しかし、この「正しい書き方」にしっかり倣ったにもかかわらず、自分の文章がいまいち意図通りに伝わらなかったといった経験をしたことはないだろうか。その理由について、近著『仕事では「3」を使え』が話題の社会行動分析家・流音弥氏は次のように分析する。
「文章の書き方についての書籍を見ても『文章構造は起承転結』とまるで判で押したように書かれています。しかし、仕事において要求されるスピードが格段に早くなった現代においては、起承転結の文章はまどろっこしく感じられることも。『すぐに結論が知りたい』『余計な話はいい(そんなのはどうでもいい)』という心理が働くためだと考えられます」
インターネットが一般化し、いつでもどこでも情報の詳細や現象の結論をすぐに入手できる時代においては、起承転結はふさわしくないとのこと。
「上司から『まず結論を書け(話せ)』『その後に理由を説明しろ』と言われたことはないでしょうか。結論をすぐに知ることに慣れてしまったビジネスマン、特に『仕事ができる』と言われる人ほど、日常の会話や普通の文章に対しても、とにかく早く結論を知りたがる傾向があります。そのためにはあってもなくてもいい『転』を省いた『起承結』こそ、ふさわしい論理サイクルといえます」
起承結だけで「転」がなければ、話が膨らまない、話が一本調子になってしまいそうだが……。
「私が起承転結を問題視しているのは、転を最初から入れようと意識すると、かえって文章が書きにくくなる、という理由からです。誰でも普通に会話をする時は、起承結で話すはず。転の部分を話す時には、起承結の後に思い出したように加える形で使います。起承結転です。文章の場合、それでは収まりが悪いので転を結の前に持って来て、起承転結という形に無理やり収めているに過ぎません。つまり起承転結というサイクルは、文章のために恣意的に作られた文章構造です。起承転結の順番だと書きにくいと感じるのは、脳が拒絶反応を起こしているからかもしれません。かりに起承転結の文章が要求される場合でも、バカ正直にそのサイクルで書く必要はありません。最初は思考順の通りに起承結で文章を書いてみて、その後、必要に応じて転を入れたければ入れればいい、というだけのことです」
実際、我々がわかりやすいと直感的に感じる文章の多くが起承結に従っているという。
「ブログやSNSなどで目にする、よくできた読みやすい投稿は、ほとんどが起承結、または結論→理由という構図です。スピード感が要求される現在、起承転結の文章はむしろ特殊な存在となりつつあるのです。文を書くことに苦手意識がある方は、ツイッターのような短文からトレーニングしてみるのもいいかもしれません。著書のなかでも提唱しているのですが、仕事において『3』という数字を意識して取り組むとスムーズに進みます」
流氏によると、ビジネスの現場で業務改善の定説としている「PDCA(プラン・ドゥ・チェック・アクション)サイクル」も、アクションをチェックに統合する「PDC」にすることで仕事のスピードがグッと増すとのことだ。凝り固まった固定概念を一度取り払ってシンプルに3ステップを心がけることで、自分でも驚くほど仕事が捗ることになるかもしれない。 <文/日刊SPA!取材班>
『仕事では「3」を使え』 ビジネスのキーワードは「3」だった! |
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