特集
PC Watchの記事で振り返るHDDメーカーの栄枯盛衰
(2015/10/22 15:02)
HDDメーカーのWDがフラッシュストレージメーカーのSanDiskを買収したという21日付けのニュースは、事前にそういった憶測も流れていたものの、大きな驚きを持って迎えられた。それは、2兆円を超える買収金額の大きさだけでなく、現在HDDメーカーが立たされている岐路を端的に表わしているからだろう。
HDDメーカー各社はこれまで、同業の競合他社を吸収合併することで、市場シェアを拡大し、生き残りを図ってきた。僚誌AKIBA PC Hotline!が掲載したこちらの記事によれば、「1986年頃には、実に76社ものHDDサプライヤー(HDDメーカー)が存在したが、年々廃業や統合によって減っていき、7年後の1993年には36社と半分以下になった。2015年の現在に至ってはSeagate、Western Digital、TOSHIBAの3社しか残っていない」とのこと。
その主な推移は、弊誌でも記事に取り上げている。
- Maxtor、QuantumのHDD部門を23億ドル相当で買収(2000/10/05)
- 日立とIBMがHDD事業を統合、サンノゼに新会社を設立(2002/04/17)
- Seagate、Maxtorを買収(2005/12/21)
- 東芝、パナソニック四国の北米HDD開発センターを買収(2005/05/12)
- Western Digital、HDメディア製造のKomagを10億ドルで買収(2007/06/29)
- 富士通、HDD事業を東芝へ譲渡
〜メディア製造は昭和電工へ(2009/02/17) - 日立、HDD事業をWestern Digitalに譲渡(2011/03/08)
- 【元麻布春男の週刊PCホットライン】日立がHDD事業をWestern Digitalへ売却した背景(2011/03/09)
- Seagate、SamsungのHDD部門を統合(2011/04/20)
さて、今回WDが買収したのは、Seagateでも東芝でもない。ストレージはPCに必須の装置だが、その主役の座はHDDから、速度向上著しく、かつ容量辺りの単価も下がってきているSSDやeMMCへ移り変わりつつある。クライアントだけでなく、データセンターにおいてもフラッシュストレージの採用は近年めざましい。そういった状況を受け、新たな形のストレージメーカーに転身を図ろうとするのが今回のWDの決断だろう。
WDは2013年にもフラッシュストレージメーカー2社を次々と買収している。しかし、買収金額は今回に比べれば微々たるものだ。その意味でSanDiskの買収は、同社の中期的な転身計画の大きな締めくくりと言える。
WDはSanDiskと東芝の合弁については今後も継続すると述べているが、今後のSanDiskのブランドやフラッシュストレージの製品計画はまだ明らかにされていない。他のHDDメーカーも含め、今後のストレージメーカーの成り行きから目が離せない。