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こちらもすこし前のリリースになりますが、tofubeats氏のアルバム『lost decade』のリミックス作をよく聴いています。okadada氏やAvec Avec氏、Osamu Ansai氏など、豪華なメンツが手腕を振るうアルバム(しかも無料)ですが、なかでも狂気を感じたのがVentla氏による“touch A (intuition)”。この曲の魅力をどうやったらうまく説明できるのかなぁと10分か15分くらい本当に悩んだ結果、ピカピカピカッ! っとクスリをやったときみたいにアイデアが飛び込んできました。ゆとり世代に向けて、この曲のテロップを書けばいいんだと。以下、長いですがご一読いただければ。
「はい、こんにちわ! 鈴木です! よろしくお願いしまーす。えー、今回tofubeatsさんから“お前もリミックスをやってみないか”というお話をいただきまして、それはもうぜひと、光栄ですと、快諾したんですけれども。まず、リミックスの前にひとつ、tofubeatsさん、ひいては皆さんに謝罪……まぁ、謝罪ってこともないんですけれども、ちょっとどうしてもお伝えしておかなければいけないことがありまして……。あのわたし、その、ビーツさんのこと存じ上げなかっ……存じ上げなかったって言うとちょっと正確じゃないんですけれども。ビーツさんの名前はもちろんなんとなく聞いたことはあったんですけれども、肝心の、音楽性というか、どういった方がどういった方向性で活動されているのかっていうのを、今回リミックスのお話をいただくまでまったく知らなかったんですね。ですんで、まずビーツさんに関してインターネットで調べてみたんですけれども、そしたらわたし大変衝撃を受けたんですが、なんと、ビーツさん90年生まれ。1990年生まれ。これはほんっとビックリしましたね。あぁ、そういう世代がもう出てきたかと。いよいよそういう時代かっていうね。しかも、ビーツさんを、ビーツさんの音楽を楽しんでる世代ってのも彼と同年代の10代後半から20代前半の若い子たちっていうのがね、これは衝撃でしたね。ビーツさん。だって90年生まれっていったら、わたしのひと回りふた回り下ですから。あぁ、もうそういう時代になったんだなぁっていうね。だって90年生まれっていったら、ビーツさん……ビーツさんにしてみたらもううんざりするっていうか、“もうそれいいよ”って言われちゃうかもしれないですけども、ちょっと心苦しいんですが、いわゆる90年っていったらゆとり世代なわけでね。これは聞いた話ですけど、ゆとり世代っていうのは、たとえばゲーム? ロールプレイングゲームなんかを買ってきたら、まず自分で考える前に真っ先にインターネットで攻略サイトを見て、攻略法を調べちゃうと。これはあくまでインターネットで見た噂なんで事実かどうかわかんないですけどね。あるいはバラエティー番組でテロップ出てるのが当たり前だっていうね、そういう世代なわけでね。そういったビーツさんの世代? ビーツジェネレーションの皆さんに、わたしのような、言ってみりゃおじんが、好き勝手なね、リミックス? おじんくさいリミックス? 旧態依然としたセンスのわかりにくいことをやっちゃってね、果たしてね、ビーツジェネレーションのみなさんにね、受け入れてもらうことができるんだろうかっていうね。なんせわたしなんて普段そんな……90年生まれの子たちと接する機会がまったくない……まったくないっていうかね、下手したらたぶん生まれてから一度も会話すらしたことないんじゃないかなと思うんですけど。要は、はたして、そんなね、ビーツジェネレーションの皆さんにね、受け入れてもらえることができるんだろうかっていうね。大丈夫かなぁ、リミックス大丈夫かなぁ、どうしようかなぁ、どうすればいいかなぁ、どうすればビーツジェネレーションの方々に喜んで聴いてもらえるのかなぁ、どうすればいいかなぁ、どうしようかなぁ、リミックスどうしようかなぁってね、これはもうほんとに悩んで、悩んで悩んで、どうしようかなぁって悩んでね、ほんとにね、10分、15分は確実に悩んだんですけれども、そんななかね、ひとつ“これだ!”っていうね、完璧? ほとんど完璧なんじゃないかっていう、リミックスに関してアイデアが浮かびまして。ほんとね、目の前がピカッ! って光るくらいね、なんつうの? クスリやったときみたいに、音に光がついて、色がついて、左右対称で、まぶたの裏にピカッ! って飛び込んでくるぐらいのアイデア……もうほんとクスリやったときみたいにピカピカッ、ピカッ! っていうね。ピカピカッ、ピカッ! ピカピカッ、ピカッ! ピカピカッ、ピカピカッ! っていうね、アイデアがピカピカッ! って浮かびまして。要は、どんなアイデアかって言うと、要は、リミックスの素材を……“なに喋ってんだよ、お前”って感じするかもしれないんですけど、ちょっといまから肝心のリミックスに関して説明するんで聞いてほしいんですけど。要は、ハイ、素材をいただきました、で、ハイ、リミックスをしました、で、その完成したリミックスの音源をそのままリミックスアルバムに収録してもらうんじゃなくって、そのリミックスした音源にね、わたしがたとえば自分自身で“ここ、いまからサビです!”とか“ここ、そろそろブレイク来ます!”とか“次の転調、聴きどころです!”とか、言ってみれば、それこそバラエティー番組のテロップみたいな感覚でね、あるいは、もっとわかりやすく言うと、映画のDVDのオーディオコメンタリーみたいな……まぁ、ちょっと違うけど、まぁ、そんな感じで、要は自分の作ったリミックスの音源に全部自分で同時進行で逐一言葉で解説を入れてくっていうね。そうすればゆとり世代の方々にもわかりやすいし、なにしろリミックスというものの形としても、ほら、なかなか斬新じゃない? ね? これは我ながら名案だと思って……言ってる意味、わかります? 大丈夫ですかね? そういうアイデアがね、ピカピカッ! ってね、クスリやったときみたくピカピカピカッ! って浮かんで。ですんで、いまから、いま説明したようなことを踏まえた上でリミックスに取り掛かろうかと思うんですけれども。その前に、まず件のね、ビーツさんのアルバムをちょっとね、聴かせていただこうかなと思います。これね、まだ聴いたことありませんから、ぼく。あの、名前しか調べてないんで。音の方向性みたいなものを確認しないと、あんまとんちんかんなことやっちゃってね、ビーツジェネレーションのね、ビージェネの皆さんに“なんだコイツ”と思われても困るんで、ちょっと。アルバムタイトルがね、音源いただいたんですが、なんと『lost decade』。『lost decade』ですよ! 失われた10年。失われた10年ってそんな……ちょっと悲観的、悲観的ってわけでもないけど……そん……まぁね、すごい、いかにも世代を代表する、こう、名盤の香り漂うタイトルって感じが、いかにもしますがねぇ。まぁ、『lost decade』ってそんな、ビーツさんも過去10年ひとつふたつはいいことあったと思うから、そんな……ねぇ? あんま後ろ向きっていうか、悲しい感じのこと言わないで、ちょっと……10年っていったらまぁ……これからがんばって取り返していきましょうよ、過去10年のぶん。ね? 大丈夫ですよ、ビーツさん。ね? がんばって! さぁさぁさぁ、えーと、じゃあね、いろんな曲、全部気になるんですけど、ちょっと適当によさ気……よさ気っていうか、こんな感じで……(“Les Aventuriers feat. PUNPEE”がかかる)おおっと! これはね、えーっとね、4曲目のね、レス……レス……レスアベンチュリーズ、フィート、プン……パン、プンピー? さぁさぁさぁ、これは……おおっと! これはラップですねぇ。日本語ラップ。おおっと、来ました! パーティー感覚あふれる、おおっ、なるほ……ハイハイハイハイハイ! あぁ、ハイハイハイハイ。あのねぇ、わかった! なんで、その、ビーツさんが同世代に支持受けるかっていうのをねぇ、ちょっとね……ハイハイハイハイ。ちょっと、いまわかりましたねぇ。こりゃ受けるわっていう。要はね、ラップ感覚? ストリート感覚。これですね。これが受けるんだなぁ! ハイハイハイハイハイ! さぁ、ラップが来ましたねぇ。これがね、この感覚がね、やっぱりぼくなんかにはね、圧倒的に欠けてる部分。やっぱこの発想ないもん、ラップって。さぁさぁ、ヨーヨーヨー、アハー? ヨーヨー、ユノー? さぁさぁさぁ、なるほど、ハイハイ。こういう感じなんですねぇ、トーフさん。tofubeatsさん。ビーツさん。なるほどねぇ。ハイハイハイハイ。さぁさぁさぁさぁ、えーとね、これはね4曲目のレスアベ……ンチュリアーズ、フィート、プン、パンピー……なんですが、こういう感じなんだなぁ! こう、ビーツさんに関してぼくがどう料理していくかってことなんですが。ラップ、出ましたねぇ。『LEGENDオブ日本語ラップ伝説』。なんだっけ? あの、澤田……澤田大輔さんが編集した本。知ってる? 『LEGENDオブ日本語ラップ伝説』っていうね、タイトルがインパクトありますけどね。ぼく、ちょっと読んだことない……すいません……。読んだことないっていうか、あの、ラップ、日本語ラップってほんと、この世でいちばん興味ないんじゃないかっていう……フハッ……興味ないとかいって、すごいケンカ売ってるみたいだけど、すいません、いちばん疎いジャンルなんで。ちょっと、ラップっていうので連想しちゃいましたけど。澤田大輔さんが編集した、そういうタイトルの本があるんですよ。『LEGENDオブ日本語ラップ伝説』っていうね。さぁさぁさぁ……そういえばさぁ、なんかいまさぁ、澤田大輔さんで思い出したんだけどさぁ、昔さ、『COOKIE SCENE』のね……あ、全然関係ない話だけど、昔、『COOKIE SCENE』のイベントが……ぼく、あの『COOKIE SCENE』って雑誌で、えーとね、ぼくと伊藤英嗣さんと佐々木光紀さんと、あと佐々木敦さんの4人で『COOKIE SCENE』って雑誌をやってて、まぁ、ほかの3人もうみんな死んじゃいましたけど。でね、その『COOKIE SCENE』のイベントが昔、ネストであって、そのときに、おれが物販をさ、ギャグっつうか冗談でさ、占拠して、勝手に“フリーマーケットだ!”とかいってさ、自分のいらないゲームとか雑誌とかをバーッて並べてね、“はい、蚤の市です”とかいってさ、売ってたんだけど。そのなかに、『COOKIE SCENE』のイベントなのに、自分の『米国音楽』のバックナンバーを15冊くらい並べてさ、“これ、大安売りです”とかいってさ、『米国音楽』1冊10円とかで売ってたの。そしたらさ、なんかさ、メガネかけた冴えないのがサササッって来てさ、“あの、すいません、『米国音楽』全部ください”ってパパーッって買ってってさぁ。ほとんど冗談で売ってたんだけど、1冊10円とか言ってたらそのひと全部買ってってさ。“なんだろうね? いまのひと”って言ってたんだけど。なんか、あとで判明したんだけど、そいつがじつは沢田太陽 a.k.a. 太澤陽だったっていうさ。フフフ……。それ聞いて、すっげー笑って。すっごいさ、いかにもさぁ、沢田太陽 a.k.a. 太澤陽っぽい行動っていうかさ。なんか、『COOKIE SCENE』のイベントにひとりでコソコソ来てさ、『米国音楽』のさ、バックナンバーをさ、まとめて買ってって、後追いのさ、インディーポップに関する知識をさぁ、いっぺんに後追いで詰め込もうとしてるっていうさぁ、いかにも沢田太陽 a.k.a. 太澤陽っぽいエピソードっていうかさ。くっだらねぇHMVのフリーペーパーでさぁ、しょうもない提灯原稿を垂れ流してるようなカスライターがいかにもやりそうな発想っていうかさぁ。全然関係ないけど、さっき澤田大輔さんって言ったから、澤田大輔さんと沢田太陽の名前が似てるから、なんか思い出しちゃったんだけど。すげー印象的っていうかさ、いかにもさぁ、なにがa.k.a.だっていうさぁ。おまえの名義の使い分けに関するこだわりなんてどうでもいいよ、バカヤロウ! 知るか、バカヤロウ! ひとりで言ってろよ、っていうさぁ。なんか、それを思い出したんだけど。まぁ……なんだっけ? あ、リミックスね。あぁ、そうそうそう。ハイハイハイハイ。えーと……すげー時間、食っちゃったな……。まぁ、そんな感じで、えーと、リミックス? ほんとは“touch A”って曲をお願いされていたんですが、関係ない話しちゃったんで、時間ねぇ……あまりねぁ、だって10分くらいしゃべってるでしょ、これ? 10分以上経っちゃったんで、ちょっとあんまりだろうっていうのもあるので、このぐらいにしとこうかなと思います。ちょっと余計なこと言っちゃったかな? で、なんだっけ? 『lost decade』? 『lost decade』って、まぁ、そんなねぇ、なんか大胆っていうか、ショッキングですけど、まぁ、これからがんばってね、10年分取り返していきましょうよ、ビーツさん。ね? がんばっていきましょう。ということで、ハイ、ありがとうございました。えーと、鈴木でした。えー、まぁ、そんな感じで、ハイ、よろしくお願いしまーす。ハイ、ありがとうございます。ハイ、失礼しまーす。ハーイハイハイ……」
【追記】
いろいろな方からご指摘いただいたのですが、どうやらVentla氏の正体はPLAMO MILLION SELLERSの活動でも知られる鈴木周二氏でファイナルアンサーなようです。ご指摘ありがとうございます! 自分の無学が身に染みますな……。
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