そんなHULCをDanielさんが装着、実際にスーパーパワーを試してみましたよ。さて着心地はいかがでしたでしょうか。
詳しくは続きを読むからどうぞ。
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はい、Danielです。まずHULCの説明から。バックパックには四角いバッテリーが装着され、保護されたコンピュータ回路が収まっています。黒い足、外骨格はバックパックに接続され、お尻の部分にラジエーターフィンがあります。人間の骨格によく似ていますけど、それは似せたので当然ですね。
さて実際に装着して歩いたり、走ったり、屈伸、ダンスなどやってみましたが、まあよく動くこと。動くと外骨格もそれに合わせて動きます。唯一違うのはそのパワー。外骨格パワードスーツが物理の教科書数冊分の重さしかないのに、なんと90kgもの重量を持ち上げることができるんです。すげえ。
さて、2007年の冬。あるプロダクション会社が私を呼び、History Channelの The Worksという番組に出てくれないかというオファーがあったんです。私の役割は分りやすく説明する役。ところがケーブルTVの番組で、芝刈り機レースに出ていたところライフルで狙撃され致命傷を負い、カリフォルニアのBarkeley Bionics社の研究者に私の体を外骨格で改造してもらったんだ、なんて。
ある夏の日、レンガ造りの建物から落ちた私に、カルフォルニア大学バークレー校出身のグループが開発して完成間近だったチタニウム外骨格を装着させてくれた、とか。
冗談はおいといてファーストインプレッションは、とにかくストラップがでかい。HULCは軍の予算で開発され、ゴツイ兵士用なので仕方ないかも。細身の私が装着するとブカブカ、ストラップが余るほど。電源をオフにするとデバイスはかなり重く、まるでスキューバダイビングの装備をして歩いてるかのよう。しかし一度スイッチを入れれば、そりゃあもう、まさに私の体の一部ですよ。
ここまではまだ壁に貼り付いたままの状態。外骨格パワードスーツは約13kgの重量だけどまったくその重さを感じません。ゆっくりと足を踏み出し、膝を曲げてみると何も起きないんです。が、膝が外骨格を押し出すと一拍おいてセンサーが感知し、外骨格の膝を強制的に曲げるという具合。このズレは嬉しくないんですけど、とにかく歩けます。
しばらくするとだんだんと慣れてきて、最初はルームランナーのようだったぎこちない歩き方から、まるでフォレストガンプの魔法の靴を履いたかのように軽く、速く走れるんです。走りに合わせてモーターがリズミカルに鳴り、ウィーン、ウィーンいってますよ。思わずロボコップ気分で「銃を降ろせ。貴様はすでに逮捕されている。」と叫んでしまいました。
しばらくの練習したあとは、実際に廊下に出てみます。するとさらに歩みはスムースになり、一本足で立てるようになりました。これは外骨格パワードスーツの学習機能によるもので、すべての動きに適応してるのです。そして私も外骨格パワードスーツの使い方が分ってきましたよ。
HULCは外骨格パワードスーツの中で完成された製品といえそうです。すでに色々な外骨格パワードスーツが開発されてきましたが、実用に耐えうるものはなかったはず。強いていえばシガニー・ウィーバーがエイリアンと戦ったパワーリフターくらいなもの。
パワードスーツは1960年代からその概念はでき、工場作業用のHardimanが開発されています。しかし当時はバッテリーの性能も低く、パワー不足で効率が悪かった上、パワーが切れるとその重さでガクンと膝カックンになるんだとか。
しかし現代の外骨格パワードスーツは実用レベルまでやってきました。膝カックン問題も過去のことだそう。
HULCを装着してしばらくすると、HULCは完璧に最適化されます。すると歩行サイクルも記憶されて、例え歩行中に居眠りしても普通に歩いてしまうのだとか。するとジャングルの中の夜中行軍で居眠りしてても勝手にジョギングするかのように移動しちゃいそう。
考えたらゾッとする話で、そろそろ脱がなきゃヤバイかも。
マジックテープをいくつか外して、ようやく脱げました。しかし、足は重く棒のようで、1時間以上トランポリンの上で跳ね回ったかのよう。研究者によると、人間の脳は筋肉の使用量に応じて酸素を供給するのだとか。現在の外骨格パワードスーツでは筋肉の使用量が通常より減るので、酸素の供給量もそれに合わせて減らしちゃうそう。すると筋肉の動きが衰えるので、装着後はしばらく動かせない状態になってしまうんです。しかし大丈夫、数分もすれば直ります。さすが、人間の脳みそ、便利にできてます。
素晴らしい体験だったんですが、言えることはやっぱり冷たい機械の体を装着しているのは不自然で、違和感があったということ。階段を素早く上り下りできるようになるには、相当練習しなければいけませんし。
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ということでした。やっぱり生身の体が一番かなあ。
[ビデオ:The Works courtesy of The History Channel]
Daniel H. Wilson(原文/野間恒毅)