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2018/04/03

たつおの部屋 : Webメディアをアプリ化するときに知っておいたほうが良いこと

とある Web メディアがアプリ化する (した) ということで、色々偉そうにアドバイスする機会がありました。
先方がメモをとって共有してくれたので、一部加筆編集を行ったうえで公開します!

## special thanks to 田辺さん & ciatr (シアター) チームの皆さん for taking and sharing notes! ##

映画・ドラマ・アニメをもっと楽しく。 ciatr [シアター] https://ciatr.jp/
{アプリはこちら→ iOS | Android}



【アプリと Web の違い】


アプリは DL する必要があるため、WEB より一見ユーザーを獲得するハードルが高い (WEB は検索や SNS シェア経由などで比較的簡単に入り口はくぐってくれる)。

WEB だと CPC 10〜20 円とかで 1 ユーザー (PV) 獲得できるが、アプリだとカジュアルゲームでも DL させるには 50-100 円かかったりするのが普通。

その分 DL というハードルを超えればでエンゲージメント/継続率を高めやすい。
理由の例↓
  • "ホーム画面" という特等席が得られる
  • プッシュ通知などネイティブ機能を活用できる
  • WEB よりユーザビリティ上げやすい (スマートモードなど)

故にメディアサービスは WEB で集客 → アプリという順番の事業展開は綺麗。
エンゲージメントの高い、ファネル下部のユーザーをアプリに送客していく。

→ 沢山記事を消費してくれるユーザーには、より良い体験ができるアプリに誘導する。
 ライトな一見ユーザーを無理にアプリ誘導する必要はない (WEB とアプリの住み分け)

→うまく住み分けできれば (= WEB のアクティブユーザーがアプリ移行してアクティブ度合いがさらに大きくなれば)、WEB/アプリ合計ユーザー数は変わらなくても合計 PV 数は上がっていく

いらすとや

【アプリのプロモーションの考え方】


アプリユーザーの LTV が XXX 円超えられる、など数値見えないと、ROI をポジティブにしながら継続的にプロモーションを行うのは難しい。

TVCM など露出が多く、すでに知名度が高いアプリですら CPI 100 円を超えている (メディア系アプリの場合)。

1 記事 CPM 200 円とすると (WEB の CPM 単価で計算。アプリで同じ CPM が出る保証は全くない)、5 記事読まれて 1 円の売上。1 ユーザーに平均 500 記事読ませてようやく獲得に 100 円かけられる。

なので、ビジネスモデルがネットワーク広告収入のメディアアプリは、アドネットワーク利用してグロースさせるのは基本的には難しい。
ゆえに自社 WEB などからの送客が正攻法。

必ずしもその限りではない例:
  • グロースカーブをなんとしても実現したい (次の調達に向けて、など)
  • 先に面を押さえることが競合優位につながる、ネットワーク外部性が強烈に効くビジネス (CtoC など)

ただし、純広告・サブスクリプション・コンテンツ課金など、アドネットワーク以外のビジネスモデルが成立すれば当然 LTV 上がるので、獲得単価も上げられる。

→ 優先度:ビジネスモデル仮説検証 >> 拙速なプロモーション

基本的に、メディアビジネスで、アドネットワーク収益のみで上場までいくのは困難
例外は、ゲーム攻略など "圧倒的検索ボリューム" がある一部市場

→ 故に、アプリでエンゲージメント高いユーザーを集められる & アドネットワーク以外の収益モデルの組み合わせ (純広告 and/or 課金 and/or 自社アドネットワーク構築) が成り立つことが、メディアビジネスで EXIT する条件

(いくつか女性向けメディアアプリの具体的な数値例を話したが、非公開情報 (いわゆるインサイダー) が含まれるため割愛)

参考:料理特化のクックパッドも 広告:課金 の比率は 1:2。
Cookpad 2017 年 12 月期決算説明会資料 http://pdf.irpocket.com/C2193/hHid/qWj2/TpEO.pdf

【アプリ広告の業界トレンド】


一般的にはアプリのアドネットワークは WEB と比較して単価 (CPM, CPC など) が低い。

1PV 当りの単価は下がるが、アプリになってユーザーのアクティブ率が上がっていればトータル収益は WEB より高くなる、というモデルは実現するのではないか

→故にアプリの完成度は重要。
 アプリの UX が WEB に劣るため、ユーザーをアプリに送客した結果売上が下がった、みたいな事例は最悪。どことは言えない

アプリ広告はブランド広告予算がほとんど来てない (純広告がとれている一部メディア除く)。

ゲームなどの予算がほとんど。非ゲームは TVCM を打っているようなところ。(どのアドネットワークでどんな案件が流れているかを毎日見てれば明らか)
故にゲーム利用者層がターゲットのアプリだと広告単価高くなる。

単価は、バナー or 動画 or インタースティシャルなどフォーマットによって大きく異なる。
動画がやはり高い。

アプリの広告単価が WEB より低い理由
①技術的背景:アプリは WEB と共通の Cookie でターゲティングしたり CV を追ったりすることが困難なので、WEB の案件が入ってきづらく、単価が上がらない (アプリ面においては IDFA でターゲティング、トラッキングするしかない)
②業界的背景:ブランド広告主がアプリのアドネットワークに出稿する流れがない (そもそものブランド広告主のアドネットワークへの不信感、フォーマットや metrics の業界統一が進まない、など)

現状、有力なアプリメディアは自前でブランド広告主を獲得している状況

【アプリへの広告導入のタイミング】


グロースしてから広告入れるべきか? (初期は UX 重視で広告を入れないほうがよい?)

坂本の意見としては、広告を前提とするビジネスモデルであれば最初から入れたほうが良い。

理由:
広告前提なのに、広告が入ってない状態での継続率の数値だと、検証の意味が薄れる
グロースしてから広告入れると、既存の定着ユーザーからのネガティブな反応が多くなる。最初から入れたほうがユーザーの抵抗もない (そういうものだと最初から受け入れざるをえない)
ただし日本では広告を嫌う人の声 (アプリストアのレビューなど) が大きいが、同じアプリでも継続率は日本・海外で変わらない事例があったので、単により多くのユーザーが "文句を口に出している" というだけかも。必要以上に個々の意見を気にしすぎる必要もないのでは。

アプリの特定 ver で広告を入れて、継続率への影響を見るのは良いかも。一番良いのは徐々に広告増やすのが無難で良いのでは?
けっこう早よから広告出してたけどな

【グロース分析と AppLovin】


AppLovin は広告プラットフォームなので、どこから (オーガニックなのか、Facebook 経由なのか、AppLovin 経由なのか) 獲得したユーザーがリテンション高いか、などを横断的に分析するツールではない。あくまで出稿して獲得する目的がメイン。
(AppLovin で獲得したユーザーについては、流入元アプリ別などで数字を見ることはできる)

どこ経由でのユーザーが獲得単価が安いのか、どのユーザーが継続率高いのか、など見られる 3rd party ツールがあるのでそれらで最適化していく。
詳細はすげー細かくなるので割愛。



ちなみにこの話題をもっと深堀りたい方には、昔 SearchMan 柴田さん ("決算が読めるようになるノート"、書籍 "MBA より簡単で英語より大切な決算を読む習慣" でも有名なあの方!) と対談した内容も面白いんじゃないかなと思います!
非ゲームアプリのマーケティングについて語ったよ
https://note.mu/shibataism/n/n5c6737002133


Q

2017/07/25

たつおの部屋 : アプリのCPIの計算で見落としがちなこと

前回同様、これから広告出稿しようかな〜っていうフェーズの、どちらかというとカジュアルゲーム作ってるデベロッパーさん向けの記事だよ!


【質問】

前々回の blog で "LTV > 獲得単価" ならどんどんプロモーションしてビジネスを拡大させるべきだって話が出てきました。
前回の blog では、LTV の計算方法が紹介されてました。

前々回の記事 : 成功から逆算してアプリを作る - 北京の車窓から http://www.tatsuojapan.com/2017/06/blog-post_30.html
前回の記事 : たつおの部屋 : アプリのLTVってどう計算するの? → 2つの方法を紹介  http://www.tatsuojapan.com/2017/07/ltv-2.html



じゃあ広告でユーザー獲得しましょうってなったときは、獲得単価は広告ネットワークの管理画面に出てる CPI のことですよね先生!?

【回答】 

 実はそれだけ見ていると、チャンスを逃してしまう可能性があるので注意が必要なのです!

どういうことか解説する前に、最近とあるデベロッパーさんからいただいた嬉しいメッセを公開。(文体を一部修正してます)

AppLovin で 1 週間ぐらい広告打ってみましたが、広告経由以外のインストールも伸びてるので全体としては ROI プラスになりそうです。
今後も継続できるよう予算取ります!

太字にしたところがポイントです。

広告を出稿したとき、広告ネットワークやトラッキングツールに出てくる "インストール数" は、その広告ネットワークで広告に "直接接触した人" が所定の期間内にそのアプリをインストールした数、になります。

ですが実は、広告を出稿することで、そこに反映されないインストール増が見込める場合もあります。例えば、
  • ランキングが上がったり、検索順位が上がったことで、アプリストアで発見してインストールしてくれるユーザーが増加
  • 広告経由でインストールしたユーザーが、友達や SNS にシェアすることでインストール数が増加
などです。

("広告に直接接触していないユーザーのインストール" のことを業界用語で "オーガニック・インストール" と呼びます。健康に良さそうです)

この副次効果が大きければ、広告ネットワーク上での (purchased install に対する) CPI が多少高くても、実質的な CPI (eCPI = effective Cost per Install) は LTV の範囲内に十分収まることは十分ありえます。

いくつか事例を紹介しましょう。
(実例をもとにしてはいますが、数字とかは超適当にいじってるので、実際の数字とは全然異なります)

事例 1 : 国内カジュアルゲーム

平均 CPI 100 円 で週に 500 万円を、SNS や動画広告ネットワークに出稿。(合計 5 万インストール)
その結果ランキングが TOP 10 以内に入り、オーガニックで 5 万インストールが発生。

結果として、500 万円かけたことで合計 10 万インストールが増えたことになるので、eCPI は 50 円の計算。
LTV 80 円ぐらいのアプリなので、ROI 160% (80 ÷ 50) が達成できる計算。
この eCPI が維持できる限りは継続出稿することにした。

事例 2 : 海外 (US) へのカジュアルゲーム出稿

平均 CPI 100 円で日に 10 万円ほど出稿。(1 日 1,000 インストール)

テストしてみた結果、
  • 平日はプロモーションしていない日と比べて +4,000 インストールが発生
  • 休日や長期休暇期間はプロモーションしていない日と比べて +1,500 インストールしか発生しない
ことが分かった。

検証しようがないが、これはおそらく平日に限り、インストールしたユーザーが学校や職場で周りの人に (平均 3 人ぐらい) 紹介してダウンロードさせてるのではないか? と予想。

もしそうであれば、1 件広告経由でインストールさせることで合計 4 件のインストールが発生するわけなので、eCPI は 25 円 (100 ÷ 4)。
ただし休日や長期休暇期間の eCPI は 66.7 円 (100 ÷ 1.5)。

平日に関してのみ eCPI が LTV 50 円を下回っているため、平日のみ出稿し、土日祝日・長期休暇期間は出稿を止めることにした。

〜〜〜

以上いずれのケースにおいても共通しているのは、トラッキングツールで捕捉できない間接的なインストールが少なからず発生していること。

上記のような (他にプロモーションや PR などを積極的に行っていない、またはその影響を無視できる) ケースでは、このインストールは "プロモーションによって発生した" インストールだとみなすことができるはず、じゃない?

これを、投資対効果や継続判断の際には無視してはいけないのだ。
(上記いずれのケースも、広告ネットワークの管理画面の CPI だけを見ると LTV よりも高いので、広告出稿を止めるという判断をしてしまい、成長機会損失につながる可能性がある)

ランキングに載ったりといった目に見えた影響がなかったとしても、プロモーションの開始をきっかけに、広告経由の直接的なインストール数以上にインストールが伸びることは多くのケースで起きる。
(冒頭でコメントを紹介したデベロッパーさんなんかはまさにそうだ)

複数の広告ネットワークに出稿している場合は、ネットワークごとの正確な値を算出することは難しいのだが、eCPI のいちばん簡単な計算方法はこれだ。

投下費用 ÷ {(プロモ開始後の日毎のインストール数 - プロモ開始前の日別のインストール数) x 対象日数}

簡単に言うとよーするに、
プロモに幾らかけたか ÷ プロモやって増えたインストール数の合計
という、これだけ。

  • プロモやる前までは 1 日 100 インストールしかなかったよー
  • 1 週間プロモやったら、1 日 300 インストールの状態が 2 週間ぐらい続いたよー
  • プロモに全部で 30 万円かけたよー
だったら、eCPI は
30 万円 ÷ {(300 - 100) x 14日} = 約 107 円
となる。
(30 万円かけて、2,800 インストール増えたので、1 インストールあたりの実質コストは 107 円)


最後に、以前同僚の雀鬼・谷やんが言ってて面白いなと思ったセリフを紹介したいのだが、それは「オーガニックインストールなんて無いですよ」というもの。

アプリストアでランキング上位にあげようと思ったら売上なりインストール数なりを積まないといけないわけで、そのためにはプロモーションをしないといけない。
フィーチャーされるためには、ストア担当者にアプローチしたり、フィーチャーされるに値する高いクオリティに仕上げたりと、(直接的なキャッシュアウトは伴わないとしても) 少なからずコストがかかる。
ストアの検索に引っかかるためにも ASO 対策をきちんとやってないといけない。

つまりアプリ広告業界で "オーガニック・インストール" と呼ばれているものは、"オンライン広告経由のインストールではない" というだけで、"コストをかけなくても自然と発生したインストール" という意味ではない、というかそんな自然発生的なインストールなんて世の中には存在しないんじゃないか、という論。

(...だと解釈しました。)

まぁ確かに、TVCM やって伸びたインストール数だって、トラッキングツールでは "オーガニック" ってカテゴリに入ってしまうわけで。

細かく数字を見ることも大事ではあるけど、時にはある程度ばっくり大きなドンブリに入れて計算してみることが、大きな方向性を決めるためには必要なんだな、っていう話でした。

〜〜〜

ちなみにぼくが先日リリースしたアプリ "漫画ウォッチャー" は、オーガニックでも全然ダウンロードされてないです!
みなさん冷やかしでいいのでダウンロードして ★5 つけてちょんまげ〜〜〜!!!

 
漫画ウォッチャー – 週刊マンガ誌の休刊情報をお知らせ
App Store (iOS) : https://itunes.apple.com/jp/app/id1247711148?mt=8
Google Play (Android) : https://play.google.com/store/apps/details?id=com.manga_watch

アプリ出したらワンチャンあるかもなんて、そんな甘くなかった!
でもまだ諦めずに頑張るもん!

Q

2017/07/06

たつおの部屋 : アプリのLTVってどう計算するの? → 2つの方法を紹介

これから広告出稿しようかな〜っていうフェーズの、どちらかというとカジュアルゲーム作ってるデベロッパーさん向けに書くよ!

【質問】

前回の blog で "LTV > 獲得単価" という話が出てきましたが、そもそも LTV ってどう計算するんですか?
過去の売上の累計を、過去のダウンロード数の累計で割って計算しているのですが、合ってるか自信がありません。

前回の記事 : 成功から逆算してアプリを作る - 北京の車窓から http://www.tatsuojapan.com/2017/06/blog-post_30.html

【回答】

ざっくり 2 つの計算方法があります。

1 つ目は貴方が言っている、"売上累計" を "ダウンロード (DL) 数累計" で割るという方法です。
例えば、過去 2 ヶ月の累計売上が 200 万円で、DL 数累計が 10 万だったとしたら、LTV は約 20 円、という計算です。

この計算方法が成り立つ前提条件があって、それは
  • ちょっと前にダウンロードしたユーザーが、"累計売上" に大きな影響を与えるほどには課金しない
  • DL 数累計が大きな影響を受けるほどは、新規の流入がない
の 2 点です。
割り算の分子も分母もだいたい同じぐらいの変化率で上昇している想定ということですね。

なのでこの計算方法が向いているのは、ある程度リリースから時間がたっているアプリということができます。



この計算方法の別の問題点として、改善によって LTV が向上している場合にその影響がなかなか反映されない (改善前の LTV に引きずられる) ことと、リリース初期の LTV の計算には使えない (DL 数はその日に計上される一方、将来の売上はそれより先にしか発生しないため、本来の LTV よりも常に低く計算されてしまう - 序盤は特にその傾向が強い) という 2 点があります。

こんな風なグラフになる。X 軸は時間 (左端がゼロ)

じゃあリリース初期の LTV の計算はどうするのかというと、それが 2 つ目の方法で、ARPDAU と継続率を使います。

ARPDAU とは Average Revenue Per Daily Active User のことで、アクティブユーザー 1 人あたり 1 日にいくらの売上になるか、という指標です。

(ある期間の売上合計) ÷ (同期間の DAU の合計) で、ARPDAU がわかります
例えば、リリース後 1-7 日目に 70 万円の売上があり、日々の DAU の合計が 7 万人 (平均 DAU 1 万人) だったとすると、ARPDAU は 10 円 (700,000 ÷ 70,000) です。

次に、継続率からユーザー 1 人あたりの平均残存日数を計算します。
例えば、リリース後 1 週間 で継続率が 20% で、'過去の同様なアプリの傾向から) 30 日後の継続率が 10%、60 日後にほぼ 0% になることが予想できた場合を想定します。

初日にいた 100 人のユーザーは、1 週間後 20 人まで徐々に減っていき、1 週間の "のべユーザー数" は 300 人・日 となります。
100 + 50 + 40 + 35 + 30 + 25 + 20
同様に、8-30 日目まではのべ 340 人・日
(20 → 10 人まで、23 日間で一定ペースで減る計算。 (20+10) × 24 ÷ 2 - 20)
31-60 日目まではのべ 145 人・日
(10 → 0 人まで、30 日間で一定ペースで減る計算。 (10+0) x 31 ÷ 2 - 10)

つまり 100 人のユーザーがゼロになるまでの間に、合計 785 人・日 (300 + 340 + 145) 遊ばれることになるので、ユーザー 1 人あたりの平均プレイ日数は 7.85 日になります。
初日で離脱するユーザーも 50 人いるけど、30 日以上プレイするユーザーも 10 人いるので、平均すると 1 週間ちょっとは遊んでくれるということです。

ユーザー 1 人あたり 1 日に 10 円の売上になる × 休眠するまでに平均 7.85 日遊ぶ = LTV は 78.5 円
という計算になります。

この計算方法の前提は、計算する期間以降の売上 (特に課金) の傾向が一定だということ。
例えば、リリース 1 週間後の時点での ARPDAU を計算したのだけど、実はほとんどのユーザーが最初に課金するのはダウンロードから 10 日目以降だ、という場合はこの方法で計算すると LTV を低く見積もりすぎてしまいます。

課金傾向がある程度一定で、かつ、ある時点での継続率から将来の継続率がだいたい予想できる (または、誤差が無視できる) ようであれば、わりと早い段階 (1-2 週間目) で比較的正確な LTV を計算することが出来るようになります。

また、アプリのアップデート等によって継続率や ARPDAU が変わった場合、変わった時点から計算をやり直せば LTV をアップデートできるというのもメリットの 1 つです。


以上 2 つの方法をご紹介しましたが、LTV のそもそもの定義から考えると当然、2 つの方法で計算した数字は時を経るといずれ "本当の LTV" に向けて収斂 (しゅうれん) します

なので個人的には、2 つの方法の両方でリリース時から LTV を計算し、だいたいその間のどこかに "本当の LTV" があるはずだ、とアタリをつけるというのが実務上のベストプラクティスかなと思います。

Q

2016/06/06

たつおの部屋 : なぜeCPMで広告ネットワークを評価するの?

とある超大手アプリパブリッシャさんから、こんな質問があった。
皆さん、明確に答えられるだろうか。

【質問】


広告主は CPI で出稿しているのに、メディア (媒体) 側は eCPM を指標にするのは何故ですか?
「他社アプリのインストールで収益があがる」ことを、メディアに隠したいからなのでは? と勝手に思っています。
先生、教えてください!!



なかなか本質的で、かつ、あまり分かりやすい説明が世に出てないと思うので、ここで解説しておこう。 


【回答】

 
そもそも媒体に eCPM で見せているのは、CPI で見せても正しく評価できないから、というのが最大の理由である。

例えば
  1. CPI 50,000 円で、クリック率 1%、インストール率 1% の案件
  2. CPI 1000 円で、クリック率 10%、インストール率 10% の案件
だったら、媒体として eCPM は 2) のほうが倍高くなる。
が、CPI だけを見ると、あたかも 1) のほうが高いように見えてしまう。

広告ネットワークがやろうと頑張っていることは、案件が CPI だろうが CPC だろうが CPM だろうが、単価・クリック率・インストール率などのすべての指標を勘案した上で、最も媒体にとって収益が高くなるような案件を配信することだ。
(正確には、インプレッションあたりの収益性を最大にすること)

なので、最終的にもたらされた eCPM で判断するのが公平ということになる。


また、AppLovin をはじめとする多くの広告ネットワークでは、 CPI, CPC, CPM の全てあるいは複数の種類の案件が、混じって配信されている。

媒体にとって収益発生タイミング (= 広告主に費用が発生するタイミング) が、広告が表示された時点・クリックされた時点・アプリがインストールされた時点、のパターンがあるということだ。

なので、媒体に対しての指標 (媒体が広告ネットワークを評価する指標) として、CPI で見せすることがそもそも出来ない。

(日本では広告主に対して CPI で売っているケースが多いようだが、仕組みとしては CPI 以外の案件も流せるようになっているはず)


もう少しだけ専門的な話をすると、AppLovin が多くの案件を CPI ではなく CPC で配信している理由は大きく 2 つある。
  1. 広告主の価値を最大化するため
  2. 学習のスピードを速くするため

1) はこの blog を含む色んなところで言っている内容だが、「インストール後に全く課金しないユーザー」ばっかり獲れる媒体に CPI を固定で払うのは、ROAS (広告費用対効果) の観点から非効率である。
逆に、課金ユーザーがたくさん獲れる媒体に対しては、単価をもっと上げてもいいからさらに多くのユーザーをそこから獲りたい、と広告主は思うはず。

なので、ROAS が低い媒体に対しては CPI 目標を低くし、ROAS が高い媒体に対しては CPI 目標を上げてよりボリュームをとる、という最適化を自動で行っている。

広告主から「CPI 固定でいくら」で受注してしまうと、この最適化が出来ないので、配信を CPC で行うことになるわけだ。

2) については、たとえば標準的なクリック率とインストール率をともに 10% だと仮定する。
(動画・全画面広告メインなので)

CPI で配信していると、最適化を開始できるまでの間に、かなり時間がかかってしまうのである。

例えば上記の場合、100 インプレッション時点でようやく 10 クリックぐらいで、1 インストールあるかないか。
インストールがゼロの媒体も、たまたまその時点では無いだけかもしれないので、そのまま配信をし続ける必要がある。

要するに、それぞれの配信面について、広告案件との相性の良し悪しを判断するために十分な量のデータが、相当数のインストールが発生するまで溜まらないということになる。

その結果何が起こるかというと、広告主は相性の悪い媒体に対してもかなりの量を配信してしまう。
広告主はインストールされるまでお金を払わなくていいので余りリスクは無いのだが、媒体にとってみると、全然インストールされない案件を流し続けることになるので、eCPM が低くなってしまう。

なんか、全然うちのユーザーと相性よくなさそうな案件ばっかり、ずっと流れているなぁ...
と思ったことがあるメディアは、こいつのせいかもしれない。


これを CPC で配信していると、インストールが発生する前でも「クリックされやすい媒体・されにくい媒体」はデータとして判断できるので、よりクリックされやすい配信面に多くのインプレッションを出すということが出来るようになる。

その後、十分な量のインストールが発生し始めてからは、インストールされやすい面への配信を増やす (十分な量の課金が発生し始めてからは、ROAS の良い面への配信を増やす) という風に、最適化のロジックを都度変化させていっている。

なので媒体にとっては、全然クリックされない相性の悪い案件が、すぐに配信されにくくなっていくので、高い収益性が初めからキープできる。

なのに何故多くのアドネットワークは CPI で売っているかというと...
本社と日本法人・販売代理店の契約だったり、広告主に売るときは CPI のほうが楽 (あまり高度なセールスをしなくても簡単に売れる) という事情があったり...
色んな理由があるようだ。

ウチは愚直に広告主に対して、CPC のほうがパフォーマンス (費用対効果) が高くなるということを何度も説明して納得してもらい、一部の例外を除いては CPI 案件は受けないようにしている。
(CPI でも十分高いパフォーマンスが出ると判断できた場合は、その限りではないが)


Q

2016/01/07

美人アプリディレクターに動画リワード広告について教えるエロゲ #たつおの部屋

〜きっかけは、200 日以上前のぼくの下記 tweet 〜


ある日、いきなり可愛い女の子 (妄想) からリプライがあった。
(画像は適当にフリー素材拾ってきた)


??「@tatsuosakamoto 日本語訳頂けますと幸いです><!」


(おもむろに DM に移行。下心は無い)


ところでどちら様ですか?w


??「ありがとうございます!!」

??「突然申し訳ないです!Fyberの導入を検討していたのですが、英語だったので「Fyber 日本語」でググったところ、Tatsuo様のツイートが表示されまして。。!w」

??「%%会社名%% の彩乃 (仮) と申しますm(_ _)m」


おお、そうなのですねw AppLovinの坂本です。よろしくお願いいたします。

Fyber 使った動画リワードの運用だと、このへんの blog にも詳しく書いてますのでよろしければどうぞ!
動画リワード広告の特徴および運用について (中年騎士ヤスヒロのケース)


彩乃「有難うございます!!!突然のご連絡失礼致しました><」

彩乃「AppLovin 動画広告も導入検討をしているのですが、eCPMが高いという記事を前に拝見しまして、他社と比べて結構高いのでしょうか?」


そですね、記事にも書いてますが、きちんと frequency cap を絞ればわりとどこにも負けないかんじになってきてます(@ ̄ρ ̄@)

同じユーザーに毎日10回20回とかって見せてると、当然eCPM下がってきちゃうので。


彩乃「Fyber を使えばそのあたりも調整できるんですねー」

彩乃「すみません、初歩的な質問なのですが、①Fyber って利用手数料は無料なのでしょうか?マージンって取られたりしますか?」

彩乃「②あと、各動画広告会社を個別で実装するのと、Fyber を使って実装する場合で実装工数は Fyber の方が軽いのでしょうか。。?」


①Fyber は手数料とられないです。そのかわり、実装してるどのネットワークの在庫も無くなったときに、Fyber の広告が backfill で出ます(ちゃんと収益になります)。

②実装は Fyber 経由のほうが楽です。というのも、「広告が正常に視聴完了しました」「広告が最後まで見られませんでした」「在庫切れです」等の callback が各広告ネットワークから返ってくるのですが、それが各社バラバラなんですよ。
なので、例えば 4 社入れるとなると、上記 3 種類の callback に対応するだけで 12 個の処理をアプリに書かないといけなくなります (それぞれのテストも必要です)
Fyber だと、同じ種類の callback をまとめて統一してくれるので、3 個の処理を書くだけで良くなります。


彩乃「そうなのですね!」

彩乃「私がアプリのプランナー/ディレクターをしておりまして、開発者にどっちで進めてもらおうかと迷っていたのですが、複数入れる場合は特に Fyber の方が良さそうですね。
ご丁寧に有難うございます><!」


複数入れるなら Fyber にするか、もしくは AdStir / Adfurikun ですねー
そのへんの比較もまとめております
収益最大化には欠かせない!動画リワードxメディエーション


彩乃「有難うございます!!」

彩乃「やはり Fyber の方が手数料やネットワークを考えると良いんですかね。一応今検討しているのは下記5社です。」
 AdColony
☞AppLovin
 UnityAds
 Vungle
 Chartboost


後ほど対応されるのかもしれないですが、Vungle と Chartboost は多分まだ国内 SSP は未対応なはずですね
ただ、運用してて、アドネットワークの数増えると収益の伸びよりも管理工数の伸びのほうが大きいんじゃないかって気もしていて、悩ましいところですw

中年騎士ヤスヒロでは、正直、AppLovin, UnityAds, Vungle だけあれば十分かなって数字になってますね。勉強のために AdColony も入れてますが…


彩乃「そうなのですね!」

彩乃「AppLovin, UnityAds, こちらって収益のタイミングは CPI か CPC かと思うのですが、それでも CPV より収益性高いのでしょうか?」

彩乃「今弊社のアプリが UnityAds と AdColony を導入しておりまして、AdColony の方が eCPM が高い為 CPV の方が良い印象でした。」


AppLovin は CPC メインでたまに CPI、UnityAds は主に CPI だと思います。

たぶんですが、見せ方とか、規模にもよるのかなと思ってまして。
例えば、imp が日に 1,000 とかしかなければ、CTR と CVR をそれぞれ 5% とすると 1 日に 1-3 インストールしか出ないってなっちゃうじゃないですか (日によってゼロというのも全然あり得る)。
なので CPI とかだと、かなりブレが大きくなっちゃうし、

広告ネットワークからすると、そのメディアが優良かどうか判断するには小さすぎるので、単価も上げられないと。

そういうケースだと CPV のほうが安定収益になるってのはあり得る気がします。
が、原則としては CPV → CPI → CPC のほうが単価は上がりやすいです。


彩乃「なるほどです!!」

彩乃「まだ動画広告入れたばかりだったので勉強になります m(_ _)m」


(=´∀`)人(´∀`=)



彩乃の評価が 8 上がった。
動画リワード広告メディエーションのコツを少しつかんだ。



美女 (妄想) とのチャットの楽しさが少しでも伝われば幸い。

Q

2015/06/29

たつおの部屋 : 動画広告を何度も見せるのは効果的ですか?



スマホのデータ通信量を正確に計測してくれる Android アプリ「通信量モニター」の開発者 @gari_jp さんからの質問にお答えしよう。
※ご本人に承諾済

(ちなみにこのツールを使うと、スマホに入ってるアプリごとの通信量が見た目に綺麗にわかるので、データ料金が気になる人とかは試してみることをお勧めする)




【質問】

動画広告って一度に何回も観れるような仕様にすると、効果は薄くなりますか?
ゲームではなくツール系のアプリで、動画を観たら 3 日間ぐらい有料の機能を使えるような感じで使おうと思ってるんですけど、どんな感じにしようか悩んでいます。

【回答】

一度に何回も見せるのは、まぁ 2-3 回ならいいかもしれないが、あまりにも回数多いと在庫が枯れてきて効果が薄れる (同じ広告を何度も同じユーザーに見せちゃう) 懸念がある。

※補足※ バナーと比較すると動画広告は出稿しているクライアントの数・クリエイティブの種類も少ないので、何度も同じ広告ネットワークを見せていると、同じ広告ばかりをユーザーに見せてしまうことになりかねない。
また、広告ネットワークや広告主の側で、フリクエンシーキャップ (同じユーザーに広告を見せる頻度) をシステム的に制限しているケースもある

また、たとえば機能解放する際も「24 時間解放します」だと翌日、「6 時間解放します」だったら 6 時間後にユーザーがアプリに戻ってくる誘因になる。
有料の機能を「3 日間使える」だと確かにユーザーに優しいが、アプリのエンゲージメントを高める効果は薄れるかもしれない。

とはいえ、そのアプリをユーザーが元々どれぐらいの頻度で使ってるのか、とあまりにかけ離れていると意味ないが。

そのへんの頻度は広告ネットワークの管理画面で変更できたりするので (少なくとも AppLovin は出来る。他も多分できるんじゃないかな)、ベストなバランスを探してみてほしい。

何時間に1回見せるか / 1日最大何回見せるか設定できる (AppLovin)

また、あまりにも大盤振る舞いをしすぎると、課金の売上に悪影響が出てしまう可能性もゼロではないので、バランスの調整も必要だ。
(適切な頻度で出したり、ユーザーをセグメントしたりすればコントロール出来る)

過去の「たつおの部屋」シリーズはこちら

Q

2015/05/14

たつおの部屋 : 動画リワード広告でマネタイズしたいのですが



この blog の質問フォーム (そういえば右カラムにつけてた...) 経由でデベロッパさんから質問がきた。
内容を公開しても良いという了承を得たので、質問と回答をアップする。

例によって、2015 年 5 月時点での状況、およびぼくの知識に基づく内容である。



【質問】

ゲームを現在制作しており、マネタイズにリワード広告の導入を考えている。

導入箇所としては、プレイヤーのライフがなくなったときに本来なら「ゲームオーバー」になりステージの初めからになる部分。
広告視聴 (インタースティシャル or 動画) することによってライフが一定数回復して続けられるというもの。

聞きたいのは、上記の方法で (ゲームバランスにもよるが)
  1. 報酬が見込めるかどうか
  2. このようなマネタイズの方法に前例があるか
という点。

(リワード広告については試したことがなく、視聴もしくは視聴後のダウンロードでどの程度の報酬があるのか把握していない)

【回答】


メッセージでいただいたタイミングは、一般的な動画リワード広告を導入するタイミングの1つ。

最近の Chartboost のブログ (英語) で「動画リワード広告を入れる 3 つの上手いタイミングと、その心理的背景」っていう記事が出ていた。

Chartboost blog screenshot

その 1 つ目がまさに「助けて欲しい瞬間」で、コレに該当する。
動画広告を見るかわりに、ライフを受け取ったり、死んだところから再開できたり、そのステージでボスを倒すのに役立つアイテムを渡したりすると良いよ!とのこと。

別の記事に事例も書いてあったが、Stupid Zombies (Android | iOS) がこの方法でうまくいってるらしい。

出典: Top 4 Rewarded Placements for Mobile Game Video Ads (Chartboost blog)

Conversion rate: 93% ってことは 93% のユーザーが最後まで動画を見てくれる、
Normalized reward: $0.20 ってことはだいたい課金にして20円分ぐらいの報酬をユーザーに与えている
(たとえばハート5個で$1.00かかるとき、動画視聴1回に対してハート1個あげてる、みたいな)
って感じか。

あんまり報酬をあげすぎると (= 1回あたりの報酬の価値が高すぎる、またはあげる頻度が多すぎる)、課金をしてくれなくなったり、スコアランキングが荒れる (例 : 激ムズ系で、ひたすら動画を見続ければいくらでもスコアを伸ばせる) っていうリスクがある。
そのへんはゲームバランスの調整が必要。

"動画リワード広告使うならゲームシステムとけっこう密接に絡めたほうが良い" ってのはそういうことだ。

あと実装については、動画広告の場合多くの広告主がフリクエンシーキャップ (同じユーザーに何度も同じ広告を見せない設定) をかけていることもあって、1つだけの広告ネットワークを使うとすぐに在庫切れ (ユーザーに見せる広告が無くなっちゃう) になってしまう。
バナーやインタースティシャルとは違うところがここだ。
もちろん、1 ユーザーが 1 日で見る回数が極めて少なければ、大きな問題ではないが。

米国だと Fyber や HaizApp といったツールでメディエーションかけてるところが多い模様。
ドキュメントが日本語化されてないのでちょっとつらいが、一応ぼく自身も Fyber は試しにアカウント作ってみたので、実装のお手伝い (英語の解読) バイトぐらいならやるので、興味があればご連絡を。

メジャーなネットワークは AppLovin, AdColony, UnityAd, Chartboost, Vungle (順不同) あと日本では AppliPromotion Play とかだろうか。
日本のほうが実はよく知らない。


Q



2015/04/20

たつおの部屋 : ゲームアプリを広告で収益化する方法を教えてください

今スマホ向けゲームアプリを作っている、広告については初心者の方から質問されたので、回答とあわせてアップしておく。

2015 年 4 月現在の内容なので、今後変わり得るので注意。
所属企業のポジショントーク抜き、人間関係なども一切無視して、極力フェアな視点で書いたつもり。
(ただし根拠あるデータに基づいているわけではなく、あくまで個人的な観察に基づいているので、その点もご注意を。 )



【質問】

ゲームアプリを広告で収益化しようと思うのだけど、どの広告ネットワークを使うと良いの?
ちなみにアプリ内課金も同時に実装する予定。

【回答】

フォーマットごとに答える。

①バナー広告

マッシュルームガーデン
  • 昔からある一般的なフォーマット
  • スマホの場合 320x50 サイズを画面最上部 or 最下部に固定で表示させることが殆ど(タブレットの場合はより大きなサイズを使うこともある)
  • ユーザーによっては、ゲームの世界観が壊れる...と嫌がるケースもある
    • ので、課金したらバナーを非表示にできるオプションを用意するのも手
    • バナーが消えたときに画面デザインが崩れないようにコード工夫しないといけないけどね
    • Fusion Calc という Android アプリが上手いことやってるのでご参考に
  • 日本語デベロッパであれば、AdMob メディエーションをプラットフォームにして
    • 国内トラフィックは
      • 直で広告ネットワークを入れるなら nend, i-mobile, AMoAd 等
      • SSP で複数アドネットワーク回すなら AdStir, AdGeneration, Adfurikun 等
      • 「AdMob 広告の最適化」機能で条件のいい AdMob だけ出す
    • 海外トラフィックを AdMob (他にも出したいなら InMobi, iAd, Facebook Audience Network (FAN) 等)

②アイコン広告

愛モバイル
  • バナーの中にいくつか並べて配信するやり方と、
  • 空いたスペースに1個単位でアイコンを配置する方法がある
  • 海外の人から見ると、画面上に広告がたくさんあるだけでストレスに感じたりする模様 (たぶん慣れてないから)
    • そもそも metaps が東アジア圏で展開してる以外は、案件自体が少ないという噂?
  • 某林檎社のアプリマーケットからの reject の対象になるという噂?
    • 林檎社のストアと見た目が似ているから規約の2.25に引っかかるとか?
    • 審査突破のノウハウとかもあるっちゃあるみたいだけど、
    • 素人は手出ししないほうがいいかもしれない
  • i-mobile, nend, アスタ, metaps あたりが有名? よく知らない

③インタースティシャル (全画面) 広告

  • 元々はコンテンツ間の「すきま」に入る広告という意味
  • 単価もクリック率も高く、バナーよりかなり収益性が高い  (参考)
  • 出し過ぎるとユーザーの邪魔になるので工夫が必要
    • きちんと入れればアクティブ率には悪影響無いというデータも (参考)
    • タイミング : ユーザーが何かを「しようとする」時ではなく、何か「し終えた」とき
      • ×これからゲームする ○ゲームオーバーになった
      • ×アプリを起動する ○1つ行動をし終えた (SNSへの投稿完了時など)
    • 頻度 : 5-7分に1回出すぐらい? やりすぎ禁物
      • サイクルが短いゲームの場合、表示割合を下げる (x回に1回)
      • ユーザーごとにフリクエンシキャップをかけたり
  • 主要な広告ネットワークは
  • 参考: 「ねこあつめ」の斬新な広告の出し方

④リワード広告

  • 広告の視聴や特定の行動 (広告主のアプリのダウンロード等) の対価として、ユーザーが報酬 (リワード) をもらえるタイプの広告
  • 報酬をもらうためユーザーが自発的に広告を見る / クリックするため、ユーザーストレスは低いと言われる (広告会社はそう言っている)
  • 開発者への報酬は、広告視聴時 / クリック時 / 成果発生時などに分かれる
  • フォーマットは大きく「オファーウォール型」 と「動画」

 Q

2015/04/02

たつおの部屋 : アプリの広告収益化について教えてください

KansaiMashApp 審査員メンバー
先日 Osaka Innovation Hub 主催の KansaiMashApp というハッカソンに審査員として参加したのだが、その優勝チームのメンバーの方からメールでアプリ事業化についての質問をいただいた。

わりと一般的な内容だと思うので、個人・チームが特定されない範囲でぼくの回答を公開する。
(質問者からも、メンバーだけで独り占めしては世の中に申し訳ないので公開して欲しい、と許可をいただいた)



【質問】

受賞時に頂いた 30,000 円の旅行券を、金券ショップで換金し、手にした29,200円を開発資金として、引き続きアプリを開発していこうということで、話がまとまりました。

当面は、タイ、中国、ブラジルそして日本の混成部隊で無料アプリを開発し、まずは、五万人のユーザー獲得を目指します。

そこで、一点教えていただきたいことがあるのですが。

当面の間、広告掲載等を活動費の足しにすることで、無料アプリの開発活動を維持でいればと思っているのですが、どの程度の収入が見込めるものか皆目見当がつきません。
せめて、相場観を持ちたいとメールさせていただいた次第です。

抽象的な質問ですが
  1. ユーザー数が5万人に達した時点で、平均的にどの程度の収入が見込めるのでしょうか
  2. そもそも、バナー等、広告収入だけで、維持されている無料アプリがありますか。
  3. ある場合、どのような要件を満たしている必要がありますか
の三点につきまして、アドバイスいただけませんでしょうか ?

【回答】

プロダクト開発を継続されるとの決断、素晴らしいと思います!
29,000円ではお金としては出来ること少ないと思いますが、色んな国の出身者とエンジニアがいるっていうアセットはめちゃくちゃ強みになると思います。

ご質問の件ですが、広告を掲載したときの収益は

 広告表示回数 x クリック率 x クリック当たりの単価

で決まります。

クリック率は (ユーザーに間違いクリック等させない限り) ほぼ一定 (バナーの場合 0.5% 程度)、単価も平均すると 10~20 円程度でそこまで大きく変わらないので、広告の表示回数を伸ばせるかどうかが鍵になります。
(どの広告ネットワークが、というのは無視して一般論)

もちろん同じユーザーに何度も何度も何度も広告を見せると、嫌になって離脱してしまうので、「広告をいっぱい見せる」という発想よりも「どれだけ多くのユーザーに長くアプリを使ってもらうか」(その結果として、たくさん広告が見られる) が鍵です。
 
テレビで考えると分かりやすいかと思います。
CM ばんばん出すのではなく、面白い番組を作って多くの視聴者の目を惹き付ける必要があるわけです。

単にダウンロード数だけでなく、どれぐらい頻繁に起動してもらうか、1回起動するたびにどれぐらい長く (1 分ではなく 2 分、2 分ではなく 3 分) アプリを使ってもらうか。
なので、ダウンロード数からどれぐらいの収益になるかを予想することは、事実上不可能です。
 
2.バナー等、広告収入だけで、維持されている無料アプリがあるか
については、回答は「あります」になります。
が、広告だけで食べていくレベルにしようとすると、いくつか条件が出てきます。
(全てではなく、いずれかを満たしていればまぁ OK)

例えば...
  • 開発チームの人数が少ない
    • = 固定費(人件費) や開発費が少なくすむ
    • 個人開発者さんとか
  • ダウンロード数がめちゃめちゃ多い
    • 数百万DLとかいけば数百万~千万円単位の収益になる
  • ユーザーがめちゃめちゃ長く頻繁に使ってくれる
    • 2chまとめみたいな固定ファンがいるコンテンツ系
  • アプリを次から次に出す
    • 前に出したアプリの売上が、次のアプリの開発費
  • ニッチで高付加価値なユーザーを捕まえ、純広告として自分たちで直接広告主に販売する

あとは何も広告だけに頼る必要はなく、たとえば追加機能を課金で販売する (ランキング表示するためにはプレミアム会員にならないといけないとか、広告非表示にするために 100 円払わないといけないとか) というやり方と組み合わせてもオーケーです。

ただしユーザーに直接課金する場合は、ユーザーがお金を払ってでも欲しい価値って何なのか、値段はその価値に見合っているのか、課金への導線はスムーズなのか、等、単に「画面上下のスペースにバナー広告を載せる」よりはちょっと高度なサービス設計が必要になってきます。

長々と書きましたが、個人的には今後こういったステップで進めるのが良いかなと思います。
  1. まずはアプリのリリースを最優先にする
  2. 最小限の機能 (MVP = Minimum Viable Product と言います) に絞って開発しリリース
  3. 最初はとりあえず広告を載せて少しでも稼ぎ、キャッシュが尽きるのを先送りにする
  4. ユーザーから直接フィードバックをもらい、必要な機能を足したり引いたりしながら改善
  5. その過程で「これはお金を出しても欲しいよね」って機能については課金で販売
  6. ダウンロードしたユーザーが継続的に使ってくれるレベルの品質になったら、ユーザー獲得を強化
  7. それなりのユーザー規模になってきたら、広告枠を直接企業に販売

あと、2. の段階で筋がよければもしかすると VC やエンジェル投資家からシードマネー (開発費にあてる)、6. ぐらいで VC からシリーズ A (採用・プロモーションにあてる) で資金調達できるとカッコいい成功ストーリーになりそうな気がします。


Q