とある Web メディアがアプリ化する (した) ということで、色々偉そうにアドバイスする機会がありました。
先方がメモをとって共有してくれたので、一部加筆編集を行ったうえで公開します!
## special thanks to 田辺さん & ciatr (シアター) チームの皆さん for taking and sharing notes! ##
映画・ドラマ・アニメをもっと楽しく。 ciatr [シアター] https://ciatr.jp/
{アプリはこちら→ iOS | Android}
アプリは DL する必要があるため、WEB より一見ユーザーを獲得するハードルが高い (WEB は検索や SNS シェア経由などで比較的簡単に入り口はくぐってくれる)。
WEB だと CPC 10〜20 円とかで 1 ユーザー (PV) 獲得できるが、アプリだとカジュアルゲームでも DL させるには 50-100 円かかったりするのが普通。
その分 DL というハードルを超えればでエンゲージメント/継続率を高めやすい。
理由の例↓
故にメディアサービスは WEB で集客 → アプリという順番の事業展開は綺麗。
エンゲージメントの高い、ファネル下部のユーザーをアプリに送客していく。
→ 沢山記事を消費してくれるユーザーには、より良い体験ができるアプリに誘導する。
ライトな一見ユーザーを無理にアプリ誘導する必要はない (WEB とアプリの住み分け)
→うまく住み分けできれば (= WEB のアクティブユーザーがアプリ移行してアクティブ度合いがさらに大きくなれば)、WEB/アプリ合計ユーザー数は変わらなくても合計 PV 数は上がっていく
アプリユーザーの LTV が XXX 円超えられる、など数値見えないと、ROI をポジティブにしながら継続的にプロモーションを行うのは難しい。
TVCM など露出が多く、すでに知名度が高いアプリですら CPI 100 円を超えている (メディア系アプリの場合)。
1 記事 CPM 200 円とすると (WEB の CPM 単価で計算。アプリで同じ CPM が出る保証は全くない)、5 記事読まれて 1 円の売上。1 ユーザーに平均 500 記事読ませてようやく獲得に 100 円かけられる。
なので、ビジネスモデルがネットワーク広告収入のメディアアプリは、アドネットワーク利用してグロースさせるのは基本的には難しい。
ゆえに自社 WEB などからの送客が正攻法。
必ずしもその限りではない例:
ただし、純広告・サブスクリプション・コンテンツ課金など、アドネットワーク以外のビジネスモデルが成立すれば当然 LTV 上がるので、獲得単価も上げられる。
→ 優先度:ビジネスモデル仮説検証 >> 拙速なプロモーション
基本的に、メディアビジネスで、アドネットワーク収益のみで上場までいくのは困難
例外は、ゲーム攻略など "圧倒的検索ボリューム" がある一部市場
→ 故に、アプリでエンゲージメント高いユーザーを集められる & アドネットワーク以外の収益モデルの組み合わせ (純広告 and/or 課金 and/or 自社アドネットワーク構築) が成り立つことが、メディアビジネスで EXIT する条件
(いくつか女性向けメディアアプリの具体的な数値例を話したが、非公開情報 (いわゆるインサイダー) が含まれるため割愛)
参考:料理特化のクックパッドも 広告:課金 の比率は 1:2。
Cookpad 2017 年 12 月期決算説明会資料 http://pdf.irpocket.com/C2193/hHid/qWj2/TpEO.pdf
一般的にはアプリのアドネットワークは WEB と比較して単価 (CPM, CPC など) が低い。
1PV 当りの単価は下がるが、アプリになってユーザーのアクティブ率が上がっていればトータル収益は WEB より高くなる、というモデルは実現するのではないか
→故にアプリの完成度は重要。
アプリの UX が WEB に劣るため、ユーザーをアプリに送客した結果売上が下がった、みたいな事例は最悪。どことは言えない
アプリ広告はブランド広告予算がほとんど来てない (純広告がとれている一部メディア除く)。
ゲームなどの予算がほとんど。非ゲームは TVCM を打っているようなところ。(どのアドネットワークでどんな案件が流れているかを毎日見てれば明らか)
故にゲーム利用者層がターゲットのアプリだと広告単価高くなる。
単価は、バナー or 動画 or インタースティシャルなどフォーマットによって大きく異なる。
動画がやはり高い。
アプリの広告単価が WEB より低い理由
①技術的背景:アプリは WEB と共通の Cookie でターゲティングしたり CV を追ったりすることが困難なので、WEB の案件が入ってきづらく、単価が上がらない (アプリ面においては IDFA でターゲティング、トラッキングするしかない)
②業界的背景:ブランド広告主がアプリのアドネットワークに出稿する流れがない (そもそものブランド広告主のアドネットワークへの不信感、フォーマットや metrics の業界統一が進まない、など)
現状、有力なアプリメディアは自前でブランド広告主を獲得している状況
グロースしてから広告入れるべきか? (初期は UX 重視で広告を入れないほうがよい?)
坂本の意見としては、広告を前提とするビジネスモデルであれば最初から入れたほうが良い。
理由:
広告前提なのに、広告が入ってない状態での継続率の数値だと、検証の意味が薄れる
グロースしてから広告入れると、既存の定着ユーザーからのネガティブな反応が多くなる。最初から入れたほうがユーザーの抵抗もない (そういうものだと最初から受け入れざるをえない)
ただし日本では広告を嫌う人の声 (アプリストアのレビューなど) が大きいが、同じアプリでも継続率は日本・海外で変わらない事例があったので、単により多くのユーザーが "文句を口に出している" というだけかも。必要以上に個々の意見を気にしすぎる必要もないのでは。
アプリの特定 ver で広告を入れて、継続率への影響を見るのは良いかも。一番良いのは徐々に広告増やすのが無難で良いのでは?
AppLovin は広告プラットフォームなので、どこから (オーガニックなのか、Facebook 経由なのか、AppLovin 経由なのか) 獲得したユーザーがリテンション高いか、などを横断的に分析するツールではない。あくまで出稿して獲得する目的がメイン。
(AppLovin で獲得したユーザーについては、流入元アプリ別などで数字を見ることはできる)
どこ経由でのユーザーが獲得単価が安いのか、どのユーザーが継続率高いのか、など見られる 3rd party ツールがあるのでそれらで最適化していく。
詳細はすげー細かくなるので割愛。
ちなみにこの話題をもっと深堀りたい方には、昔 SearchMan 柴田さん ("決算が読めるようになるノート"、書籍 "MBA より簡単で英語より大切な決算を読む習慣" でも有名なあの方!) と対談した内容も面白いんじゃないかなと思います!
非ゲームアプリのマーケティングについて語ったよ
https://note.mu/shibataism/n/n5c6737002133
Q
先方がメモをとって共有してくれたので、一部加筆編集を行ったうえで公開します!
## special thanks to 田辺さん & ciatr (シアター) チームの皆さん for taking and sharing notes! ##
映画・ドラマ・アニメをもっと楽しく。 ciatr [シアター] https://ciatr.jp/
{アプリはこちら→ iOS | Android}
【アプリと Web の違い】
アプリは DL する必要があるため、WEB より一見ユーザーを獲得するハードルが高い (WEB は検索や SNS シェア経由などで比較的簡単に入り口はくぐってくれる)。
WEB だと CPC 10〜20 円とかで 1 ユーザー (PV) 獲得できるが、アプリだとカジュアルゲームでも DL させるには 50-100 円かかったりするのが普通。
その分 DL というハードルを超えればでエンゲージメント/継続率を高めやすい。
理由の例↓
- "ホーム画面" という特等席が得られる
- プッシュ通知などネイティブ機能を活用できる
- WEB よりユーザビリティ上げやすい (スマートモードなど)
故にメディアサービスは WEB で集客 → アプリという順番の事業展開は綺麗。
エンゲージメントの高い、ファネル下部のユーザーをアプリに送客していく。
→ 沢山記事を消費してくれるユーザーには、より良い体験ができるアプリに誘導する。
ライトな一見ユーザーを無理にアプリ誘導する必要はない (WEB とアプリの住み分け)
→うまく住み分けできれば (= WEB のアクティブユーザーがアプリ移行してアクティブ度合いがさらに大きくなれば)、WEB/アプリ合計ユーザー数は変わらなくても合計 PV 数は上がっていく
いらすとや |
【アプリのプロモーションの考え方】
アプリユーザーの LTV が XXX 円超えられる、など数値見えないと、ROI をポジティブにしながら継続的にプロモーションを行うのは難しい。
TVCM など露出が多く、すでに知名度が高いアプリですら CPI 100 円を超えている (メディア系アプリの場合)。
1 記事 CPM 200 円とすると (WEB の CPM 単価で計算。アプリで同じ CPM が出る保証は全くない)、5 記事読まれて 1 円の売上。1 ユーザーに平均 500 記事読ませてようやく獲得に 100 円かけられる。
なので、ビジネスモデルがネットワーク広告収入のメディアアプリは、アドネットワーク利用してグロースさせるのは基本的には難しい。
ゆえに自社 WEB などからの送客が正攻法。
必ずしもその限りではない例:
- グロースカーブをなんとしても実現したい (次の調達に向けて、など)
- 先に面を押さえることが競合優位につながる、ネットワーク外部性が強烈に効くビジネス (CtoC など)
ただし、純広告・サブスクリプション・コンテンツ課金など、アドネットワーク以外のビジネスモデルが成立すれば当然 LTV 上がるので、獲得単価も上げられる。
→ 優先度:ビジネスモデル仮説検証 >> 拙速なプロモーション
基本的に、メディアビジネスで、アドネットワーク収益のみで上場までいくのは困難
例外は、ゲーム攻略など "圧倒的検索ボリューム" がある一部市場
→ 故に、アプリでエンゲージメント高いユーザーを集められる & アドネットワーク以外の収益モデルの組み合わせ (純広告 and/or 課金 and/or 自社アドネットワーク構築) が成り立つことが、メディアビジネスで EXIT する条件
(いくつか女性向けメディアアプリの具体的な数値例を話したが、非公開情報 (いわゆるインサイダー) が含まれるため割愛)
参考:料理特化のクックパッドも 広告:課金 の比率は 1:2。
Cookpad 2017 年 12 月期決算説明会資料 http://pdf.irpocket.com/C2193/hHid/qWj2/TpEO.pdf
【アプリ広告の業界トレンド】
一般的にはアプリのアドネットワークは WEB と比較して単価 (CPM, CPC など) が低い。
1PV 当りの単価は下がるが、アプリになってユーザーのアクティブ率が上がっていればトータル収益は WEB より高くなる、というモデルは実現するのではないか
→故にアプリの完成度は重要。
アプリの UX が WEB に劣るため、ユーザーをアプリに送客した結果売上が下がった、みたいな事例は最悪。どことは言えない
アプリ広告はブランド広告予算がほとんど来てない (純広告がとれている一部メディア除く)。
ゲームなどの予算がほとんど。非ゲームは TVCM を打っているようなところ。(どのアドネットワークでどんな案件が流れているかを毎日見てれば明らか)
故にゲーム利用者層がターゲットのアプリだと広告単価高くなる。
単価は、バナー or 動画 or インタースティシャルなどフォーマットによって大きく異なる。
動画がやはり高い。
アプリの広告単価が WEB より低い理由
①技術的背景:アプリは WEB と共通の Cookie でターゲティングしたり CV を追ったりすることが困難なので、WEB の案件が入ってきづらく、単価が上がらない (アプリ面においては IDFA でターゲティング、トラッキングするしかない)
②業界的背景:ブランド広告主がアプリのアドネットワークに出稿する流れがない (そもそものブランド広告主のアドネットワークへの不信感、フォーマットや metrics の業界統一が進まない、など)
現状、有力なアプリメディアは自前でブランド広告主を獲得している状況
【アプリへの広告導入のタイミング】
グロースしてから広告入れるべきか? (初期は UX 重視で広告を入れないほうがよい?)
坂本の意見としては、広告を前提とするビジネスモデルであれば最初から入れたほうが良い。
理由:
広告前提なのに、広告が入ってない状態での継続率の数値だと、検証の意味が薄れる
グロースしてから広告入れると、既存の定着ユーザーからのネガティブな反応が多くなる。最初から入れたほうがユーザーの抵抗もない (そういうものだと最初から受け入れざるをえない)
ただし日本では広告を嫌う人の声 (アプリストアのレビューなど) が大きいが、同じアプリでも継続率は日本・海外で変わらない事例があったので、単により多くのユーザーが "文句を口に出している" というだけかも。必要以上に個々の意見を気にしすぎる必要もないのでは。
アプリの特定 ver で広告を入れて、継続率への影響を見るのは良いかも。一番良いのは徐々に広告増やすのが無難で良いのでは?
けっこう早よから広告出してたけどな |
【グロース分析と AppLovin】
AppLovin は広告プラットフォームなので、どこから (オーガニックなのか、Facebook 経由なのか、AppLovin 経由なのか) 獲得したユーザーがリテンション高いか、などを横断的に分析するツールではない。あくまで出稿して獲得する目的がメイン。
(AppLovin で獲得したユーザーについては、流入元アプリ別などで数字を見ることはできる)
どこ経由でのユーザーが獲得単価が安いのか、どのユーザーが継続率高いのか、など見られる 3rd party ツールがあるのでそれらで最適化していく。
詳細はすげー細かくなるので割愛。
ちなみにこの話題をもっと深堀りたい方には、昔 SearchMan 柴田さん ("決算が読めるようになるノート"、書籍 "MBA より簡単で英語より大切な決算を読む習慣" でも有名なあの方!) と対談した内容も面白いんじゃないかなと思います!
非ゲームアプリのマーケティングについて語ったよ
https://note.mu/shibataism/n/n5c6737002133
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