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東京都「性描写漫画販売規制」条例改正案、成立おめでとう。

反対すべきは「成立」ではなく「乱用」だ。

 東京都「性描写漫画販売規制」が成立した。
 私は、「おめでとう」と、申し上げたい。
 
 多くの人が、反対し、憤っていることを、私も知っている。
 だが、「強姦を礼賛」する作品が、子供に「普通」に売られる状態は「善」なのか?
 販売者が自らブレーキをかけないなら、別の誰かがかけることになるのは、いたしかたない。それが行政であるのは、まっとうな選択だ。

 反対の理由は、「乱用が心配」ということのようだが。
 作者や読者が反対すべきは「乱用」であって「条例成立」じゃないのではあるまいか。

本当に創作作品は、精神の成長に影響はないのか?

 「創作作品」が、若い読者の「性観念の構築」に影響を与えるという証明データがない、という意見も目にする。(例:「表現物の性的描写と実際の性犯罪とは何ら因果関係を見いだせないとするのが定説だ」愛媛新聞社
 上記の記事は定説と書くが、私は根拠を見たことがない。データをご存知の方は、ご紹介願えればありがたい。少なくとも私自身は、多くの小説や漫画作品から、意識的無意識的を含め、多くの影響を受けているという実感がある。ことに無意識的な影響は、思い当たるまでにかなりの時間を要したものもある。他の人が影響を受けないとは、思えない。
 性に関するものではないが、人種差別については「テレビで描き出される非言語的偏見への曝露量と学生個人の偏見に直接的相関が認められる」とする研究もあるようだ。科学的に「性に関しては」影響がないと実証される日までは、影響はあると思うほうがいいのではなかろうか。
 「影響がない」派には残念なことかもしれないが、女性のなかにはパートナーが影響を受けていると思っている人は存外多いのではあるまいか。そうでなければ、どうして、leccaの「too BAD,too FAKE」のような作品が、この世に生まれてくるのだろう。

条例があっても、手に入れたい子供は手にいれる。しかし。

 このような条例があったところで、本当に読みたい子供たちはなんとかして手にいれるだろう。
 だが、入手が困難になることによって、「大人が子供に読ませたくないものなのだ」ということを、肌に実感することは、決して意味がないことではないと思う。
 手にいれた、しかし、それは「悪」なのだという前提。それが作品を無意識のレベルに至る前の、ハードルになれば、と願っている。
 

反対派諸氏に申し上げたい。

 さらに反対派諸氏に申し上げたい。「ああ、この作品を子供に読ませないなんて、文化的損失だ」と、多数派を納得させるだけの、「東京都条例に該当する作品」、つまり強姦を礼賛しつつ読まないことが損失である作品が書けるものなのであれば、まず、書いてみせていただきたい。
 話は、それからだ。