眼に言葉があふれて

わたしを貫いて

天井のゆれる陽の光の輪っかを眼で追い

眼に光があふれて

濡れているのか

わたしを追い抜いて

わたしの肩を追い抜いて

歌おうとし

なおも訴えやうとし

でも記憶の波があとからあとから消してゆく

きっと部屋ごと海に浮かぶ

心もとないなんてありゃしない

半島に出たら振り返って欲しい

背中のまんまぢゃあさみしいから

 

眼に言葉があふれて

それから部屋に言葉があふれて

着古したお洋服にも言葉あふれて

首が傾ぐ

首を巡らす

ここかしこに光溢れて

 

で、最後に交わした言葉は何だったっけ

それを教えて欲しい

 

倉石智證