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変な家を生んだ変な掟 | El Despacho Desordenado ~散らかった事務室より~

El Despacho Desordenado ~散らかった事務室より~

2015年1月4日から「Diario de Libros」より改名しました。
メインは本の紹介、あとその他諸々というごっちゃな内容です。
2016年4月13日にタイトル訂正。事務机じゃなくて「事務室」です(泣)。

いやぁ、やっぱり家は、実際に行って見るのが一番ですね!

年末も押し迫ってるときに何天丼な書き出しのブログ記事アップしてんだよ、とツッコまれそうですが、“私”たちがあんな目に遭ってもこう思わざるを得ないんだからしょうがない。

 

今日紹介する『変な家』コミカライズ第4巻では、二人が明らかに“向こう側”に行ってしまった人間とじかに接触します。

舞台は前巻から片淵家の実家。“私”を訪ねてきた片淵柚希の従弟の死の真相を探ろうと現場に赴いて調査していたときでした。電話越しの栗原の推理で新たに判明した建物の構造、消去法で導き出された犯人、東京の家、埼玉の家と通底する間取りの構造……もはやカネ目的では説明のつかない陰惨なものを感じつつ、“まだ居るかもしれない”子供を探すべく隠し部屋に入るのですが、“私”は壁から光が漏れた一点を見つけます。あぁそっか、殺人部屋に忍び込む前に確かめるための覗き穴開いてた方が便利だよね、って、窓が一切ない部屋から

 

“私”「“なぜ光が漏れている”?

(p.36、“”内傍点)

 

ここからの場面はサスペンス要素がふんだんなので文字で解説はしませんが、あの無精ひげの男は柚希さんによれば姉の夫・慶太とのこと。柚希さんが会いたがっていた姉の夫が何故こんなところに?という謎を“私”たちに残して去っていきました。

 

と、文字通り死ぬかと思った体験をしたわけですが、収穫はありました。監禁されていたはずの子供の生活がなさすぎる監禁部屋、家そのものが仏間であることを示唆する屋根裏の一角、あちこちに書かれていた「左手供養」なるどんなに調べてもヒットしない謎の儀式……いよいよ手がかりが揃ってきた感じがします。

栗原さんのお食事チョイスが読者にやさしい。「たった一枚の壁…あるいは天井板を隔てて日常と非日常 光と影が隣接している奇妙な家々……」(p.75)を火鍋でシンボライズしています。マジで殺されるかと思った人のお腹にやさしいかどうかは別にして!

 

さて、『変な家』第一の物語はいよいよ佳境。後半では疎遠だった柚希さんの母親から”種明かし”、一つの家を縛る恐ろしい因習が明かされます。その場に立ち会った“私”は、何を知ることになるのか?

 

 

El incesto es el factor importante para leer Cien años de soledad.

(近親相姦は『百年の孤独』を読むうえで重要な要素である。)

 

 

『変な家』(4)
雨穴(原作) 綾野暁(漫画)
一迅社
高さ:18.2cm 幅:13.2cm(B6、カバー参考)
厚さ:1.5cm
重さ:183g
ページ数:175
本文の文字の大きさ:不定