法制審議会の刑事法部会が昨日開かれ、法務省刑事局は、人を死亡させる凶悪重大な犯罪のうち、強盗殺人や殺人罪のように法定刑に死刑があるものは公訴時効制度の対象外とすることで事実上時効を廃止し、それ以外の犯罪については、強姦致死罪など法定刑に向きの懲役・禁固がある罪は30年、傷害致死罪など上限が20年の懲役・禁固がある罪は20年、業務上過失致死罪などそれ以外の懲役・禁固の罪は10年とし、いずれも現行の2倍とする、との要綱骨子案を提出したようだ。
昨年、森英介法務大臣の下で開催された「凶悪重大事件に係る公訴時効問題についての勉強会の報告書」が見事に生きてきた。
法務大臣政務官として私が手掛けてきた最大の仕事がこの公訴時効廃止問題である。
毎日新聞はじめマスコミがこの問題を取り上げ、私が自民党の法務部会長代理の時代に取材を受けたことがすべてのスタートだった。
福田内閣ではじめて法務大臣政務官に就任した直後に、私の時効廃止問題についての主張が毎日新聞に掲載された。
一昨年の8月のことである。
1月も経たない9月1日に福田総理が内閣総理大臣を辞職する意思を表明されたため、公訴時効見直し問題については言いっ放しに終わりそうだったが、麻生内閣でも引き続き法務大臣政務官に就任することになったので、どうにかこの問題も生き残った。
いつ解散になるかも分からない不安定な情勢が続いていたが、10月解散も11月解散も、年末年始解散もないという状況になり、ようやくこの問題に本格的に取り組むことになった。
国民の常識が通用し反映される司法、法務行政を強く訴えられていた森英介法務大臣だからこそ、私にこの問題の検討の事実上の責任者を託されたのだと思う。
勉強会の下にワーキンググループを設置いただき、私がその座長に就任した。
単なる検討会、勉強会に終わることなく、一定の方向性を打ち出したいと思ってきた。
当初は消極的な意見を述べていた刑事局のメンバーが色々議論を重ねている途中で、全員積極説に転換したのが印象的であった。
弁護士でもある佐藤剛男副大臣から遡及適用問題については憲法上の問題の更なる検討の必要性などの意見も出されたが、大臣が主宰される法務省の勉強会でもワーキンググループの検討結果を十分尊重していただいた結論を出していただいた。
歴史に残る勉強会の報告書が出来上がった。
私どもは、そう思っていた。
報告書が公表されたのは、衆議院が解散される直前のことであった。
法制審議会は2月中にも結論を出すという。
この通常国会に刑事訴訟法改正法案が提出されるということになったら、凄いことである。
確かに一石を投じた。
その時、その場にいたから一石を投じることが出来た。
これが人間の運命であり、私に与えられた役割だった、と改めて思っている。
司法、行政、立法のそれぞれの場面で、国民の常識が通用し、反映される。
私は、そういう社会を作るために、これからも頑張って参りたい。