再び、録画してあったカンブリア宮殿を見た
パークコーポレーション(青山フラワーマーケット)
社長の井上英明氏
以前、こちらの本を読んで、一度、
お話を伺ってみたいと思っていた人物
昨年、
『製品、プロセス、経営手法において
イノベーションを起こし、これを土台として
独自性がある戦略を実行し、
その結果として業界において高い収益性を
達成・維持している企業を表彰する』
というマイケルポーター教授にちなんだ
ポーター賞を、ユニクロと共に受賞した同社
なぜ、この不況の時代に、生活必需品でない
花が売れるのか?
番組は、同社の基幹店である渋谷東横店の
紹介から始まる
■年商4億円
■坪あたりの売上:400万円/月
■坪当たりの売上は業界平均の40倍
とにかく、買いたくなる仕掛けが満載である
パリの朝市をイメージしたディスプレイ
花の種類ごとではなく、色ごとに並べて、
グラデーションを作り出していく陳列手法
従来の花屋さんとは異なり、単価が安い
一本一本、価格が表示してある(明朗会計)
自分で組み合わせる楽しみがある
自分でアレンジする自信がない人には、
既成のブーケが用意されている
グラスブーケ、キッチンブーケ、
ダイニングブーケ、エントランスブーケ等々
生活シーンに合わせた様々なブーケが用意されている
花は特別なものであなく、毎日の生活の中に、
ちょっとしたお花がある、そんな花の日常使いを提案するのが、
この「ライフスタイル・ブーケ」である
だから、値段も350円~1,500円程度と、
気軽に買えるお値段に設定している
不況で、「巣ごもり」などと言われている時代だけに、
少しでも、家でいる時間を楽しくという発想から、
日常使いの花が売れているのだそうだ
だからといって、すべての花屋が、なんの苦労もなく
売れている/儲かっている訳ではない
そこには、青山フラワーマーケットの、
お客の目線に徹底的に合わせた品揃えと、
リーズナブルな価格戦略がある
では、その「品揃え」と「価格戦略」を可能にしている
秘訣は何か?
「品揃え」の秘訣は、ズバリ、徹底的に現場従業員を
信頼して、任せきること
その立地ごと、季節ごと、時間帯ごとに異なるニーズは、
本部では把握しきれない
仕入原価のみ厳しく管理し、後は一切任せる
しかも、同社従業員の7割はアルバイト
そこには、人間の
「挑戦し、成長することに対する欲求」
に対する井上社長の全幅の信頼がベースにある
性善説に基づいた経営だ
マニュアルで逐一指示される仕事は面白くないし、
面白くないと、創造性は生まれない
もちろん、ノーコントロールで放任している訳ではない
定期的に覆面調査が入り、キチンと現場に
フィードバックされる
ただし、フィードされるのは、結果のみで、
解決策については、現場に委ねられている
この様に、人間が本来持っている「成長したい」と
いう欲求を最大限引き出し、それを全体の力に変換する
という仕組みがビルトインされた組織、
それが青山フラワーマーケットなのである
もう一つ、「価格戦略」の秘訣
これは、井上社長が起業したきっかけそのものでもある
イベントの仕事で、生花の卸市場に行った際に、
花屋で700円で売られている花の原価が150円程度と
知り、これをもっと安く売れば、ビジネスになると着想した
高い売価をつけなければいけない理由は、
廃棄が多いこと
つまり、花の大きな需要のひとつは、贈答用であり、
その為には、胡蝶蘭に代表される高価な花を
品揃えしておく必要がある
ところが、こういう高額な花は、売れないことも多い
そうした、廃棄ロスを見込んで高い値づけを
せざるを得ない
そこで、井上社長は発想を変えて、
贈答用や法人需要ではなく、個人ユース、
それも「日常使い」に照準を合わせた
大きなロスがなければ、適切な値づけができる
そうすると、需要も拡大する
不況な時代だからこそ、一輪の花をかざることで、
気持ちを温かくしよう
ちょっとした工夫で、殺伐とした暮らしが、
豊かな暮らしへと変貌する
私自身のビジネスにも応用できる
大きなヒントを頂きました
最後に、井上社長が書かれている
「花屋の社長の熱い想い」
http://www.park-corp.jp/company/inoue_page/index.html
これを読むと、井上社長の目指している
ビジネスの原点が理解できますよ
<関連エントリー>
■【書評】社長とランチ 川島蓉子著