「明寂(みょうじゃく)」@西麻布(☆☆彡)
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 2022年7月にオープンし、わずか7ヶ月でミシュラン二つ星を獲得した日本料理店。

 良い食材に研ぎ澄まされた調理で、時間が経つほど、その良さがじわじわと身体に感じられます。

 高額ではありますが、季節をかえてまた伺いたい魅力のあります。

 

住所:港区西麻布3-2-34 西麻布ヒルズ B1F
電話:050-3101-3945
定休:日曜
営業:17時〜19時半/20時半〜23時
 
 ビルの地下1階。植え込みにカンテラのような看板。

 降りるとシンプルな入り口。奥に小さな枯山水のようなスペースです。

 ダイニングは横一列のカウンターに8席。
 前面の壁には一輪挿し。目の前には分厚いまな板と炭火のスペース。
 卓上には木のお盆と箸置きに橋、そしてナプキン。
 大将の中村英利氏は独特の雰囲気と風貌の方です。オバQのハカセ的で知性が突出している感じ。常人とは違うところを見ていそう。

 

24年9月3日夜の来訪。

 「新ばし 星野」で同席した方が今一推しと推薦されたのがこちら。
 予約が取れるうちにととって、友人と伺ってみる。

  
おまかせコース 44000円
 

 最初に黒塗りの椀。
 中は満月のようにシンプルで美しい。
 中央に長芋の水煮。水と塩で煮ただけのものとのこと。お餅のように綺麗に滑らかに成形されています。出汁は後から飲むのですが、昆布などを使っていないというのに美味しい。
 

 北海道タラバガニと佐賀の小蜜柑。
 タラバガニの足のみハズ論として美味しく、皮を剥いた小蜜柑を蟹酢の代わりに一緒にいただく。生姜の搾り汁に、新潟の実山椒を使い、蟹の身をほぐしたものが下に置かれています。
 シンプルな構成ながら面白いアプローチです。
 

 最初に出されるのは鯛の頭や骨で出汁をとった鯛醤油とその出汁の鯛の塩水。

 お造りは明石の真鯛。薄切りではなく、やや厚みのある切り方で、鯛の塩水や鯛醤油でいただく。横に添えられている真鯛の皮はプリンプリンなゼラチン質。薬味はおろしたての山葵。

 明石の蛸。皮は剥いてあり、その白身の刺身。包丁がすごく入っていて食べやすい。
 それに蛸の吸盤もプリッとした食感で添えられています。
 これをいただくのは蛸塩。蒸したタコの粉末らしい。塩味は穏やかで旨みがあります。
 

 先ほどとは違った黒い椀。
 冬瓜とつぶ貝の霞汁です。
 出汁は純粋な蜆の出汁で白濁して透き通っています。塩分は海水と水を調節して使ったものだけだと。プリンプリンのつぶ貝がもちろん美味しく、出汁を吸った冬瓜ももちろん美味しい。上には板状に切られた冬瓜の皮で、結構硬めの仕上がりでした。

 ここで円筒形の水槽に生きている子持ち鮎を見せてくれます。
 

 ヒラマサの藁炙り。皮の方は炭火でカリカリに。身はピンク色のレアな仕上がり。サクサクの皮も良いが、藁の香りがまた素晴らしい。
 ヒラマサの下には緑はりんごとエゴマのペーストです。合わせて食べてとても美味しい。
 手前には青瓜にレモンのタレ。
 

 鱧と新銀杏の蒸し物。
 新銀杏のすり流しには鱧の出汁。塩分はこちらも海水を使用。鱧の頭や骨の出汁を海水で取っているのだそう。淡い緑色ですが、結構なほどの新銀杏の苦味を感じ、豚骨スープのように濃厚な味わい。上には骨切りしたふわふわの鱧。美味しいが、後半は苦味が勝ちすぎてるから。
 

 子持ち鮎。頭と尻尾を落として衣をつけて揚げ、骨を抜いて鉄串を打ち炭火で焼いたものです。
 陶磁器のお皿には鮎の頭や骨をカリッと煎餅にしたものと、蓼の葉っぱを刻んだもの、それに素揚げしたもの。黄身が白い卵を使った白い卵焼きの薄焼きの上に乗っています。
 この上に炭火で焼いた鮎の身を乗せてくれるので、玉子焼きを手で巻いて、かぶりついていただく。骨から鮎の身に骨まで食感も味も素晴らしく美味しい。

 よくみると素揚げした蓼の葉が鮎を形取っています。こういうセンスがまた素晴らしい。

 

 無花果の白和え。
 切った無花果の上に豆腐とパプリカの餡を乗せて、柚子を振りかけています。
 

 トウキビカラスミ。
 甘味の強いとうもろこしであるホワイトショコラの芯を抜いて中にカラスミ鋳込んでいます。カラスミ大根は聞いたことあるけど、カラスミトウモロコシは初めて。このトウモロコシは表面は揚げてあります。
 

 ここで出されたのは透明な海水。京都の宮津湾の海底湧き水だそう。塩気は確かに海のそれでミネラルが豊富とのこと。
 ここに香りの強い手打ちの十割蕎麦。
 蕎麦つゆではなく、先の海水でいただく。
 これは新鮮な体験です。塩で食べるのではないところが味噌かも。
 

 クエの炭火焼き。これは海水ではなく、塩をして焼いたのだそう。皮がバリッと、身はしっとりと上質。
 ちなみにこの塩は長崎の塩だそう。淡白ながら旨みがありシンプルながら実に美味しい。
 

 きのこと牛肉の鍋仕立て。
 花びら茸、黒舞茸、香茸、松茸を使っています。それに牛肉。
 ここにきてカツオと昆布とキノコの出汁で仕上げています。
 きのこはそれぞれ食感も香りも良く美味しいが、フカっと柔らかな牛肉がこれまた美味い。
 
 ご飯のためにほうじ茶が出されます。
 

 ご飯は土鍋で炊いたものを。
 量は少なめでいただく。
 ブロック状の糸瓜南京の漬物、六角形で薄い昆布の佃煮。驚くほど包丁を入れたキュウリの浅漬け。
 山葵を乗せたマグロのヅケと山椒ジャコ、それに穴子の煮物かな。
 それに赤出汁でナスとおろし生姜。
 

 さらにアイナメのたまご寄せ丼。玉子はとろとろの仕上がり。しっとりやわかなアイナメに姫ネギ。
 

 口直しに酢橘のシャーベット。
 

 温かい煎茶。
 

 炭火で炙ったどら焼きのような皮の上に、紫蘇の葉と白餡と花穂紫蘇。
 これを包んでいただく。紫蘇の香りと甘い餡が温かなもちもちの皮と共に口の中を見たし美味しい。
 
りんごジュース 880円

 甘いけどスッキリしたリンゴジュース。
 
煎茶冷 990円

 2杯目はこちら。
 

明寂日本料理 / 六本木駅乃木坂駅麻布十番駅
夜総合点★★★★ 4.5