催眠術で担当アイドル達に会ってきた
こんにちは。まずはこの写真を見てください。
待ってください。コレには理由があるんです。ハタから見たら破面の男に対して気持ち悪いタイプの馴れ馴れしさを発揮する不気味な男に見えるかも知れませんが、そうではないんです。
実はこの写真、和泉愛依の担当Pが和泉愛依と出会えた瞬間の感動的2ショットなんですね。何を言っているのか分からないと思いますが、この時はそうだったんです。少なくとも、破面の彼にとってはそんな感動的な瞬間だったんです。
自分が書いた和泉愛依のサインを 後生大事にしてるフォロワー
どうしてこんな事になってしまったのでしょうか。経緯を説明させて頂きます。
時を遡ること昨年末、大晦日から元日まで自分には投げ出せない仕事がありました。職場の正気を疑いつつ、時間が経る毎に削れていく自身の正気。社会なんていわば正気と正気のシーソーゲームですからね。
前職イヤすぎて転職活動を始めた自分
そんな年末のデスマーチに明け暮れている中、ふと思ったのです。
そう、担当アイドルに会いたい。皆様は担当アイドルに会った事はあるでしょうか?よくよく考えてみたらそんなに無くないですか?夢の中で見た程度ぐらいしか……。
そう、この『夢の中で見た』というのがとても重要なのです。夢とは即ち脳が見せた幻覚、それならば夢を現実の方に持って来れば『会えた』と言っても過言ではないんじゃないでしょうか。
まさに夢を現実にするこの発想。どうすれば実現させられるかと考え始めておよそ3分─────
これぞ『たったひとつの冴えたやりかた』という物でしょう。人間の脳の可能性をこの身を以て模索する。良いSF小説になるのではないでしょうか。
そう思ってからは早かった。即座に催眠術師の先生を手配し、会場も予約。どうせなら他にも人が居た方が面白いだろうと考え、不定期に開催しているTwitterスペースでこの担当降臨祭に参加したい人を呼びかけてみた所、フットワークが軽いにも程があるフォロワーが3人ほど来てくれる運びになりました。ありがたいですね。
登場人物 (プライバシー保護のため全員仮面)
・自分
・ノワさん
フッ軽なフォロワーその1。DMにて担当アイドルに会ってみませんかと誘った所、自分とは初対面にも拘らず富山から片道15000円くらいする静岡まで来た生粋のフッ軽。
見ての通り、和泉愛依に会いたい。
・フヒト☆☆★さん
フッ軽なフォロワーその2。担当に会えるかもよ?とそそのかしたら見事東京から来てくれた。自分が舞台版SideMに諸般の都合で行けなくなった時、代わりに行ってくれた上にメチャクチャ楽しかったから自腹でまた行ったレベルのフッ軽。見ての通り、本田未央と高坂海美に会いたい。グリッドマンや閃光のハサウェイで既に狂い気味だったが、チェンソーマンのレゼの担当声優が上田麗奈さんだったので彼の人生は全部メチャクチャになった。
・R-nayさん
フッ軽なフォロワーその3。緋田美琴に会いたいと考え愛知から静岡まで足を運んだが、その道中で「自分の中でも緋田美琴を完全に理解しているとは言い難く、催眠術にもそれが影響してくるのではないか」という懸念が生まれ、今回の企画の撮影担当に名乗り出たシャニマスのオタクらしい硬派な漢。催眠術に掛かる我々があまりにも滑稽で楽しかったらしく、本人含め全員が本人の写真を撮るのを忘れていた。
1月3日 静岡県某所────────
「ここで合ってますかね?」
「合ってるっぽいですね」
「内装がすごくオシャレなんですよ、ココ」
「
「入口からしてオシャレすぎ❗️」
「特に映画館の中にバーカウンターがあるのが最高なんですよ〜」
「え〜最高❗️❓俺ちょっと映画館の方も観てきますね❗️」
ガチャッ
「あっ、すみません」
「何かありました?」
「いや、なんか先客の方というか、変な人が居て………」
「そんな楽しい木造建築みたいな事あります?」
ガチャッ
「あるんだ…」
「ありめPじゃん」
「初対面ですよ、俺」
「俺の胸に孔があるだろう?」
「続行❗️❓」
「あるね」
「あるのか?」
「あるよ」
「速攻でキャラブレないで」
「俺がウルキオラに見えているか?」
「勢い以外に引き出しが無いのか?」
「全然見えてないよ?」
「そもそも構えが残火の太刀では」
「ウルキオラに見えるかと聞いてンだよ❗️❗️❗️」
「仮面外してまでキレる所?」
「見えないっつってんだろ」
「帰っていいですか?」
そう、催眠術なしでは誰一人自分の事をウルキオラだとは思いません。聡明な読者様なら自分の狙いがもう分かったかもしれませんね。
つまり、逆に考えれば『この状態の自分の事を催眠術でウルキオラだと錯覚させられるのならば、催眠術で担当アイドルに会うなんて余裕のヨッちゃんである』と言える訳です。
「ていうか、ウルキオラの斬魄刀って黒かったっけ?」
「刀をよく見ろ、男…………」
「これは 炭治郎の日輪刀だ」
「『謎』の集合体?」
そして、今回ご協力頂ける催眠術師の先生がこちら。
夢幻颯人先生です。
夢幻颯人
催眠術師・催眠療法士として活躍。
「ロンドンハーツ」「King & Princeる。」「月曜から夜ふかし」など、TV番組にも多数出演。
デスマーチに頭が狂っていて担当アイドルに会いたい一心でマジの年末(確か30日くらい?)に依頼させて頂いたのですが、快く引き受けて下さりました。本当にありがとうございます。
「先生、コイツらに自分をウルキオラだと信じ込ませる事は可能ですか?」
「可能ですね。まずは色々と軽めの催眠術でゆっくり脳と身体を慣らしていきましょうか」
「恐ろしい日本語が多すぎる」
という訳で、さっきからうるさいフォロワーを2名ほど催眠術を掛けてもらう事にしました。
「最初はリラックスした状態で催眠術を掛けたいので、変な仮面を一度取って貰いますね〜」
「あ、は〜い」
「虚の仮面、そんな簡単に剥がしても良い代物なの?」
「まあ
「BLEACH知ってるんだ……」
「『信頼』」
「チョロすぎ」
夢幻先生曰く「対象に心を開かせるのも催眠術を掛けやすくするため」だそうです。そうなんだ。
「それでは今から手を開かなくさせますよ!」
「楽しみ〜!」(イルミネ)
ワクワクしながらも手をパカパカと開いて「まだ掛かってないよ」アピールする律儀なノワさん
「では私の指を握って……あれ?なんか意外と力弱いね?どうしたの?その程度?ほらもっと!更に力を!!本気で!!!」
「ウ......ウオォォォ❗️❗️❗️」
「ハイッ❗️❗️❗️」
「これでもう手は開きませんね。」
「え?」
「開かん……」
「ウワ❗️❗️俺も❗️❓」
「嘘だろ………」
そんな嘘みたいな事が目の前で起きていました。凄すぎる。
「だいぶ温まってきましたね、次は腕全体も固めちゃいますか❗️ハイッ❗️」
「えっ?」
「曲がれッ……❗️曲がれェェーッ❗️❗️」
「浅上藤乃?」
「すごすぎて笑う」
あまりにもノワさんが催眠術が掛かりやすい体質だったらしく、この後にも
「そろそろイケそうですね、彼らには少し眠ってもらいますか」
「人生で一度は言ってみたい台詞」
「それでは私の目をよく見てください、1・2の3で眠ってしまいます………1……2の3❗️」
「」
「オワァァァァァ❗️❓❗️❓❗️❓」
隣で急に気絶したオタクにビビり散らかすオタク
「流石にビビりすぎでは」
「お前ッ……寝てるんだぞ❗️❗️❗️隣で、急に人が寝てるんだぞ❗️❗️❗️❗️」
なんだかエッチな響きがする言葉でキレられました。理不尽だ。
「……アレ!?俺も足固められたハズなのに何か立ててる!!手は全然開かんけど……」
「もしかして、昔に何かスポーツとかやってらっしゃいました?」
「昔……サッカーをやってましたね」
「昔スポーツをやっていた方によく見られるんですが、そのスポーツでよく使っていた部位を固められる事に深層心理で強い抵抗があったりします。先程隣で急に眠った友人を見た際に催眠に対して強く恐怖心や警戒心を抱いたのも合わさって、足だけは催眠状態が解かれたのかもしれないですね」
「催眠はビビったら無効……ってコト❗️❓」
「なめ猫免許証有効期限みたいなシステムだ」
〜催眠術ワンポイントレッスン①〜
・欺かれるを恐れるな 世界は既に欺きの上にある
BLEACH 16 NIGHT OF WIJINRUIT
巻頭ポエムより引用
一方、ノワさんは────────
「もう彼は完全催眠状態なので何しても大丈夫」との事なので寝てる間に破面を被せときました。
「逆に殺されたデスゲーム主催者?」
「無駄に構図キマってていいな」
「一護でさえ─────」
取り敢えずフヒト☆☆★さんはもう一度催眠術を受ける事に。
「でも俺、さっき幻想を殺しちゃいましたからね〜」
「ビビったのを無効化能力という事にしようとしてますね」
しかし、そんな抵抗すらも
「はい、全身から力がスーッと抜けてそのままリラックスしてもうグッスリ」
「」
「即堕ち2コマだ」
「やりやすすぎる」
ここまで来ると流石に怖くなってきます。もう催眠モノを観ても全てに恐怖しか感じないかもしれません。見たことないですが。
「それでは、ウルキオラの準備の方をお願いします」
「あっ、はい」
「しっかりしろウルキオラ」
そんなこんなでウルキオラのスタンバイ完了。
ウルキオラ準備中
「目が覚めたら目の前にとても強い男が立っています、彼の名前は………」
「ウルキオラです」
「そう、彼の名はウルキオラ。彼の圧倒的な霊圧ゆえに貴方達は近付かれたら立ってはいられません………」
「もう既に面白いんですけども」
「構えのバリエーション、それ以外に無い感じ?」
そして、遂にふたりが目を覚まします。
「ハイもう目の前にウルキオラが居るよッ❗️1・2の3ハイッ❗️」
「ウル………キ……オラ………?」
「ああ、ウルキオラだが?」
「すみません、本当に原作読んでます?」
しかし、次第に頭を抱え出すフヒト☆☆★さん。
「ン゛ッ……いやッ………どう見ても……半裸の……フォロワー………❗️」
「ああ〜、やはり『効き』が弱くなっちゃってるみたいですね」
夢幻先生曰く、一度催眠状態を自分の意思で切れてしまうと複雑な催眠術は難しくなってしまうらしいです。そうなんだ。
「やっぱ催眠術って平常心が大事なんですね」
「心か………」
「やかましいわ」
一方、ノワさんは──────────
「ウルキオラ……❗️❓」
バッチバチにキマっていました。
「マジかよこの人」
「期待を裏切らない男」
「それでは、彼に近付いてみてください」
「俺は……第4十刃……」
『ウルキオラ・シファー』
瞬間。 立つ事すら叶わない。
圧倒的な
霊
圧
「待っ……てよ……❗️❗️」
「どうした一護」
「えぇ………!?」
「嘘でしょ………!?」
「じゃあ走って近付かれたらどうなるんだろう?」
シュッ
スサッ………………
「響転」
「────ッ❗️❗️❗️」
「アッハハハハハハハハ❗️❗️❗️」
「す……スッゲェ───ッ❗️❗️❗️」
その時の様子
↓
催眠術師の先生に頼んでフォロワーに「自分がBLEACHのウルキオラに見える上に圧倒的な霊圧で近付かれただけでまともに立っていられなくなる催眠術」を掛けてもらったんですけど、今見ても面白すぎる pic.twitter.com/FZFmJ5QHXt
— ありめP (@arimewasshoi) January 4, 2023
この瞬間、全員が確信した。
催眠術は、本当にある。
そして。
俺たちはきっと担当アイドルにも会える、と─────。
THE IDOLM@STER 3.0rd VISION
破面篇 完
担当アイドル邂逅篇に続く………
担当アイドル邂逅篇
ウルキオラを通じて催眠術が実在する事を確信した我々に、次なる試練が待ち受ける。
それは単純至極かつ当然、誰もが避け得ない『運命』とも言い換えられるだろう。
我々が直面した、その問題とは───────
「催眠術を体験できる時間が……❗️ もう時間が無いんです❗️❗️❗️」
「テメーがいらん事ばっかやってたからだろ」
「北沢志保で許されようとするな」
「なんであなたがリーダーなんですか?」
そう、催眠ウルキオラでちょっと時間を使いすぎてしまい全員が担当アイドルに会うには残り時間が厳しい感じになってしまったのである。バカか?
残り時間は20分ほど。催眠ウルキオラでかけた時間を考慮すると、担当アイドルに会う為の催眠術はせいぜい2人くらいしか体験できないだろう。
こうなると各人(催眠後の疲労でグッタリしてるノワさんを除く)で議論を重ねた上での消去法で決める形になる。
フヒトさんは先の
「多分、自分は厳しいよなぁ」
R-nayさんは「担当アイドルへの理解がまだ不正確であり、催眠術にもそれが影響されるかも」という実にシャニマスのオタクらしい面倒くさい懸念がある。
「元より撮影担当のつもりなんで大丈夫ですよ」
それなら現在進行形でバッチバチにキマッているノワさんに続行させた方が効率が良く、何より彼は担当アイドルに会う為だけに片道15,000円も払っている。流石に和泉愛依に会えませんでした〜😢なんて不義理な事は出来ない。
「」
ほぼ気絶してる
あとはクソバカだが一応はこの企画の発起人かつ催眠術代を一人で全額負担してるので、担当アイドルに会う権利は人一倍あるだろうという形で合意形成が為された。この間わずか30秒である。
「1時間で13万円する催眠術代払った甲斐ある〜」
「バカ?」
「バカならきっと催眠術もガッツリ掛かりますよ多分」
取り敢えず最優先事項である「ノワさんを和泉愛依に会わせる」ために各々が迅速に動き出す。
「カメラ準備完了!そちらは?」
「先生に愛依ちゃんについて説明中!埼玉県在住・誰にでも優しいので俺にも優しいお姉ちゃん系褐色ギャル です!」
「分かりました、やってみましょう」
「アッ」
「最終段階ですね………そちらは」
「ウチに任せな〜❗️❓」
「ダメかもしれない」
「Treasure☆みたいな感想」
「せめて寄せる努力しろよ」
「寄せてる、催眠術に全幅の信頼を」
「もう服着てるだけ良しとしますか」
そんなこんなで、いざ!ご対面。
「貴方の目の前には………アイドルの和泉愛依ちゃんがいます……… ハイッ❗️❗️❗️」
「プロデューサー❗️静岡に居たん?お茶お茶〜🍵」
「んっ…………えっ……………」
しばしフリーズするノワさん。
「やはり流石に無理が……」
「……愛依なんかな❓」
「いや、イケそうだ❗️❗️」
「こうはなりたくねぇなぁ」
やはり催眠術ってすごい。僕は改めてそう思った。
「ヒッ………ヒザが…………」
「メッチャ膝笑ってるじゃないすか」
「ヒザちょっとガクガク❗️❓」
「もう喋んないで ボロ出るから」
「せっかく愛依ちゃんが目の前に居るんだし、サインとか貰っちゃえば?」
「エッ、いやッ、そんな…………… 申し訳ないですよ❗️❓」
「何にキレてんだよ」
動揺から感情がイカれつつあるノワさんをよそに、和泉愛依のサインをサラサラと書いていく。自分が。
「サインなんてウチ、いつでも書けるのに〜😂」
「ェアッ………アッアアァ…………」
「感動でDiggy-MO'になってる」
「ついでにノワさんと愛依ちゃんで一緒に写真も撮っちゃいましょうか」
「い〜よ〜⤴︎⤴︎⤴︎アゲてこ☝️😂」
「ホラー映画を観てる気分だ」
「ミッドサマー系だね」
「じゃあそろそろ夢から醒めてもらいましょう……… ハイッ❗️❗️」
「………何これ?」
「俺たちが聞きたいよ」
愛依(偽)のサインは、今もノワさんの実家で神棚の横に飾られている。
担当アイドル邂逅篇─愛依ちゃん邂逅分篇─ 完