最近読んでよかった本の感想を記録。
前回の記事。
過去に恩田陸の本を読んだことがある。結末がはっきりしてなくて自分の好みじゃなかったので、選ぶ対象にすら入らなかった。偶然、ネットで読んだ人の感想が流れてきて、あらすじ読んだら面白そうだったので読んでみた。
結末のスッキリしない感じは相変わらず好きになれないなと思いつつも、ストーリの中で語られるセリフにまさに自分のこと言われてるんじゃないかと、ドキッとする部分があって、その部分を読んだだけでも価値があったと感じた。
以下引用:
彼女は他者と自分を常に対峙させて観察していたことである。つかさの場合、『彼女は林檎が好きで、あたしは葡萄が好きだ』だが、尚美の場合は『彼女は林檎が好きだけど、あたしは林檎じゃなくて、葡萄が好きだ』なのだ。
(木曜組曲p82)※赤字部分は文字の横に傍点あり。
blogを書くようになって、文章を書いていると接続が「~けど」になっているのに気が付いた。変だな、なんで「けど」という言い回しが多いんだろうとず~〜っと思っていて上記の引用を読んで納得。自分と世界の間に壁を気づいているんだと気づいた。
原因は母親の言動だろうなと。こうるさく子供のいう事にいちいちつっこみいれる人だったので、母親の言う小言から身を守る防御になっていたのかもしれないと思った。
というのをこの本で解明できてちょっとすっきりしたのであった。
異邦人(いりびと) 原田マハ
夏ごろに気になっていたのだけど、どうも読む気力がわかなくて積読にしたいた本。やっとこのと読み始めたら、めちゃくちゃスリルショックサスペンスで京都を舞台とした芸術に取りつかれた人たちの欲望うごめく話しで面白かった。
2011年の大震災直後が舞台で、そういえば自粛モードで陰惨とした雰囲気だったなと読みながら思い出していた。ただ、当時猛烈に忙しくて地震があっても翌週から普通に仕事、残業だったので、世間の放射能汚染に関する阿鼻叫喚な様子は、そんなだったの?っていう驚きがあった。
ストーリーは京都を舞台に、芸術の先見性がある妊婦が東京から単身滞在することではじまって、夫の実家が経営する画廊が絵画売却代金をパートナーに持ち逃げされるところから転落が始まる。
夫の会社の経営に続き、主人公の家族の経営も震災の影響で悪化しつつあって、経営する美術館の金策に走る駆け引きが行われる東京と京都の季節による風情や文化や画壇の内情なんかも丁寧に対比されたようにえがかれていて読み応えあり。
印象的だったのは、主人公の美に対するすさまじい執着。こんな人いるの?と思ったし、お高いお気に入りの絵画を速攻買うなんてありえないな~とか思ってた。でも、アートに限らず1つの物やことに価値を見出す時ってすごいエネルギーで手に入れること確かにあるかも~と思ったり。強めの衝動買いってことか、とちょっと納得。
金策に走り始めた夫と義理の母のやばい策略とか、主人公に内緒で美術館の閉鎖決めちゃうとか、みんな必死な様相で、家族の関係性が崩壊していくなか、主人公の持つ先見性や出生の秘密なんかであっと大逆転する様はみてて面白かった。
読後にその後の登場人物たちの結末を予想するのことはよくあるんだけど、この本は自分にとってとても強烈な印象にのこったのか、余韻がすごかった。
常設展示室 原田マハ
原田マハの本をもう一冊読んでみようと思って手に取る。6つの短編が収録されていて、タイトルはすべて絵画のタイトルになってる。登場人物たちは、親の介護や病気などなど悩みを抱えていて、気になっている絵画をみることで、癒されたり決断したりと前に進めていくようなストーリー。
絵画の描写もすてきだし、絵画が何かしらの影響を与えるってことがあるんだなと思った。
この2冊の本を読んだことと実生活で気が付いたことなどが重なり美術展に行ってきました。
続く。