本研究は、人文系の学会誌(日本語教育学、日本語学、日本文学)に掲載された論文60本を対象に、係助詞の「は」の直後に読点を打つ要因を明らかにし、日本語教育、特にアカデミックライティングにおいて、「は」直後の読点の打ち方をどのように指導すればいいかを考察することを目的とするものである。分析では、一文中の読点数、一文の長さ(文字数)、「は」直後の文字種、「は」の段落内の位置、論文の書き手の5つの要因をそれぞれ組み合わせた一般化線形モデルを作成、モデル評価を行い、読点を打つ要因を検討した。その結果、「は」直後に読点を打つ確率は4割弱であり、基本的には「は」直後の読点は打たなくてもいいことを明らかにした。そして、一文中の読点数が2個程度の場合、一文が70字程度の長さがある場合、形式段落の冒頭(一文目)で「は」が使用されている場合という3つの条件が揃うさいには読点が打たれやすいということを示した。本研