実際、頑迷なアウシュビッツ否定論者はどんな反論にも納得しない。 しかし問題なのは、自分に知識が不足しているがために、寛容な態度や 公平な見方をしているつもりで、彼らの言うことにも一理あるかも知れ ない、と動揺する人々のほうである。そうした者たちには、 −ドイツの劇作家ベルトルト=ブレヒトの有名な文章を借りれば− もう一度言っておけば良かったと後で後悔しないように、何千回も言 われ尽くしたようなことでももう一度言わねばならない。 「アウシュビッツとアウシュビッツの嘘」 (ある者たちが抱く)愚かしい空想について学問的に研究すること、しかもそれに必要な時間と労力を惜しみなく注ぎ込むこと、そんな仕事の仕方に意味があると認めるのは難しいかも知れない。 (中略) しかし読む価値のある本とは、教養ある正気の者がまじめに受け止めることのできるものだけだ、と考えるのはとんでもない間違いだ。なぜなら