6月の発売から10刷7万5000部と、ノンフィクション書籍としては異例の部数を売り上げる「紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている」(早川書房)。国際霊柩送還士をテーマにした「エンジェルフライト」で開高健ノンフィクション賞を受賞した作家佐々涼子が、東日本大震災で壊滅的な被害を受けた日本製紙石巻工場が、わずか半年で奇跡的に成し遂げた再生の過程を描いた。日本の出版用紙の4割を担う日本製紙。その主力工場の「紙職人」たちが9月中旬、本を読者に届ける最終走者の書店員を工場見学に招き、紙をつなぐ「たすき」が本当につながった。 工場見学のきっかけとなったのは、「紙つなげ!」を売る書店員から早川書房を通じて工場に届いた熱いファクスだった。「この本で返本は出しません」「わたしが一番この本を売る書店員になってみせます」。日頃から紙の本を扱う書店員ですら、本の紙がどこで造られているのかを知らなかった。そのルーツに興
