衆院選前に共産党機関紙「しんぶん赤旗」を配布して国家公務員法違反に問われた元社会保険庁職員と元厚生労働省課長補佐に対する上告審判決で最高裁判所は上告を棄却、一方は無罪で他方は罰金10万円の有罪という高裁判決が確定した。 これはおかしい。公のために奉仕するという公務員の義務は、地位や身分、時刻を問わず、管理職か否かも関係ないというのが法の趣旨のはずだ。結果的に政治活動をなし崩し的に許しかねず、禍根を残す判決と言わざるを得ない。 判決は政治活動を制限した国家公務員法の規定は合憲としたが、禁じられる行為は「政治的中立性を損なう恐れが実質的に認められるものを指す」という新たな解釈を示した。その上で被告は管理職でなく、休日の私的な行為で、公務員と明らかにしていないなどとして、一般職の元社会保険庁職員を無罪とした。 だが、最高裁は昭和49年の猿払事件判決で、郵便局に勤める組合員が特定候補の選挙運動をし