一流デパート・白木屋の大炎上と女性用下着の発展 「白木屋」と聞いて何を思い出すだろうか。若者向きの居酒屋チェーンを別にすれば、映画「男はつらいよ」の「寅さん」(車寅次郎)のこのセリフくらいではないか。「角(かど)は一流デパート、赤木屋、黒木屋、白木屋さんで、紅おしろいつけたおねえちゃんから……」。「タンカバイ」と呼ばれる、縁日などで物を売る香具師(やし)の口上だが、その通り、かつて白木屋は一流デパートとして東京・日本橋の目抜き通りに存在した。そこで87年前の1932年、歳末商戦のさなかに起きた火事がいまも人々の記憶に残るのは、死者14人という規模や、日本初の高層ビル火災ということだけでなく、そこから1つの伝説が生まれたためだ。 「当時の女性は着物で下着を着けておらず、地上に下りるのを恥ずかしがって墜落死した。女性が下着を着けるようになったのはそれからのことだ」。当時は女性用のパンツをズロー