ツイート 昔、京から美濃、尾張へ下ろうとする下級役人がおりました。男は翌朝の日の出と共に出発するつもりでしたが、まだ夜が明けない時間に目が覚めたのでそのまま出発する事にしました。月明かりの中男は辻道に差し掛かると大路に青っぽい着物を着た女が裾を取り一人で立っていた。 どんな女であろうか?このような時刻に一人でいるわけがない、何処かに男もいるだろうなどと考えながら通りすぎようとすると女が「そこのお方、何処へ行かれるのですか?」と問いかけてきた。 「美濃、尾張にまかり下ります」と男は答えると女は「それはさぞお急ぎの所でしょう。ですが、折り入ってお願いがあります。しばしお付き合いを」という申すものですから男は足音とめて「いったい何事ですか?」と女に問います。 「この辺り民部の大夫の某という人の家はどちらでしょうか?そこに行こうと思って、道に迷ってしまったのです。私をその場所に案内しては頂け