近年、ヒトの多能性幹細胞(ES細胞※1、iPS細胞※2)から三次元の脳組織(ヒト脳オルガノイド)を作製する研究が進んでいます。この研究について様々な倫理的問題の検討が進んでいますが、法的問題の検討はこれまで十分に行われてきませんでした。 本研究ではヒト脳オルガノイドが、法律的な「人」に相当するのかどうかを検討しました。法律上の「人」は通常、私たちのような人間(「自然人」)と「法人」とに分けられます。現状、ヒト脳オルガノイドは自然人、法人のいずれにも分類されませんが、将来的には両者どちらの意味でも法的に「人」と見なされうることを指摘しました。 ヒト脳オルガノイドが自然人という意味で法的に人と見なされる場合、それを作製することはクローン個体を作製することを意味するため、法的な観点からも重大な問題を提起する可能性があります。その意味でも、ヒト脳オルガノイド研究に関しては、倫理的な観点だけでなく、