「メモを取らないでください」。裁判員裁判の法廷では、裁判長がそんな注意を裁判員に促すことになりそうだ。「見て聞いて分かる裁判」のはずだからメモは不要というのがその理由。裁判官と裁判員が評議の場で被告や証人らの発言内容を確かめる手段も収録映像に限られ、文字情報は提供されないという。「あいまいな記憶だけでは、公正な判断はできない。正確に記録した文字情報が不可欠だ」との声が弁護士から出ている。 最高裁によると、全国で行った模擬裁判を検証したところ、裁判員が法廷でメモを取ることについて消極的な裁判官が大半を占めた。理由は、(1)目の前のやりとりに気が回らなくなる恐れがある(2)やりとりを忘れても評議の際に映像で確認できる−だった。 法廷には、カメラとマイクで発言内容とその様子を録音・録画する音声認識システムが設置される。キーワードや発言者を入力して検索すると、知りたい発言部分が映像と文字で再生でき