(第10回「新徴組 -もう一つの浪士組-」) 今年のNHK大河ドラマは「新選組!」。 つい先日その放映が始まったばかりであるが、視聴率も上々ということらしい。 新選組と言えば、池田屋への斬り込みをはじめ、数多くのエピソードと多彩な人物に彩られ、現代においても、幕末という時代の中で非常に人気の高い集団となっている。 しかし、この新選組と出自を同じくして誕生したもう一つの浪士組のことについては、ほとんど語られることが無いばかりか、今では歴史の闇の中にその存在自体が葬り去られている。 そのもう一つの浪士組の名は、「新徴組」(しんちょうぐみ)と言った。 新選組と新徴組の誕生のきっかけとなったのは、出羽庄内の志士・清河八郎(きよかわはちろう)が考案した浪士組結成によることは周知の事実である。 文久3(1863)年1月、幕府によって募集された浪士組は、表向きは将軍上洛のための警護兵としての役目を背負う