古川安 (2022年1月19日刊行,東京大学出版会,東京, ii+198+12 pp., 本体価格2,800円, ISBN:978-4-13-023078-0 → 目次|版元ページ) 【書評】※Copyright 2022 by MINAKA Nobuhiro. All rights reserved 「世の女子たちのためにも道を拓きなさい」津田梅子が発生学者・遺伝学者 Thomas H. Morgan の最初の共同研究者として経歴を積んだことはワタクシはずいぶん前から知っていたが,一般にはほとんど知られていないということか.本書は津田梅子の二度にわたるアメリカ留学と帰国後の日本での足跡について,広範な資料を踏まえて書かれている.ワタクシ的には “生物学者” としての梅子の経歴がわかってよかった. 第1章「アメリカに渡った少女」(pp. 9-42)では,1871年に欧米視察を目的とする岩倉