世に名競走馬は多いが、「このレースで最後である」というレースを明示し、そのレースで圧倒的な人気を得て臨むことが出来る馬は多くはない。有馬記念をキャリアの最後とした近年の最もエモーショナルな事例は言うまでもなくオグリキャップとトウカイテイオーであるが、前者は引退レースではあったが、既に衰えた存在としてターフを去ることが予定されていたものだし、後者は有馬の後も現役に拘りながら、遂に再びターフに姿を見せる機会を逸して終わった。スペシャルウィークは*グラスワンダー、*シンボリクリスエスは*タップダンスシチーというライバルへの再戦としての意味合いを残していたし、テイエムオペラオーやゼンノロブロイはそれほど負けてはいなかったものの、文脈としてオグリに近かったように思う。やはり、ディープと重なるのは*タイキシャトルくらいのものである。 その意味では、ジャパンCの勝利の意義は限りなく大きかった。ある意味こ