中国共産党幹部が出版した『平安経(ピンアンジン)』という本が、人民の心をざわつかせている。本の内容は、さまざまな名詞の後ろに「平安」という言葉を加え列挙しただけのものだ。 なぜ、奇妙キテレツと言っても過言ではない同書が、厳しい言論統制の敷かれている中国で出版されたのか。そこには中国独自の新たな出版ビジネスモデルがあった。 「眼平安、耳平安、鼻平安、唾液腺平安…」?? 中国語の「平安」は、日本語と同じ「心が安らぎ、大事無く穏やか」の意味。日本では「平安経」と言えば「平安時代に書かれた仏教経典」の意味でも用いられる。 『平安経』はどんな本か。総合ニュースメディアの「澎湃新聞(ザ・ペーパー)」などによると、2019年にハードカバー版が定価299元(約4450円)で主にオンライン書店で販売された。版元は、哲学・社会科学系の中国共産党を代表する国営総合出版社「人民出版社」とマイナーな「群衆出版社」の
