『英国王のスピーチ』はざっくりいうと、王位継承権第2位の王子が名だたる専門家でも治せなかった吃音症の治療を平民の矯正師にお願いすることになって、タメ口に驚いたり型破りな治療法に戸惑ったり思わず本音を漏らして和んだりしているうちに王室がごたごたして王位に就いちゃって、戦争が始まるという演説を国民に向かって行う王としての重大なミッションを努力と友情で乗り越える話。 オスカー獲得は納得の優等生的な良質の映画。子供のころからの積もりに積もったコンプレックスを抱える、のちのジョージ6世ことヨーク公と売れない役者でもあるローグ、2人の人物の人間的な魅力と気の利いたやりとりが素晴しい。やんごとない身分の人々のうちわの事情だとか戴冠式の裏側だとかがかいま見られて、庶民的な野次馬根性も満足。ただ、監督賞はやっぱり『ソーシャル・ネットワーク』のフィンチャーに与えるべきだったんじゃ……と思ってしまってごめんねロ