完成品の『TK-80』を掲げる、開発者の渡邊和也氏。 1996年に刊行した『計算機屋かく戦えり』という本を再構成して、新書として出すことになった(アスキー新書『日本人がコンピュータを作った!』)。新書編集部のHさんから最初に企画を聞いたときには、「なぜ?」と思ったが、原稿を校正しているうちに「いまこそ読んでほしい本だ」と気がついた。 日本のコンピュータは、米国よりも10年遅れて動き出す(ENIACが1946年、日本のFUJICが1956年である)。その間に、米国プリンストン高等研究所の「ISA計算機」の設計が公開されて、世界中でそのコピー機が作られる。しかし、オキュパイド・ジャパンの日本だけは蚊帳の外だった。 そんな状況で、日本はどうやって「コンピュータ」というまったく新しい技術をものにしたのだろうか。 『計算機屋かく戦えり』は、日本のコンピュータのパイオニアたちのインタビュー集だが、どち