防衛力の在り方について議論していた政府の有識者会議が岸田文雄首相に報告書を提出した。五年以内に防衛力を抜本的に強化するため、増税の必要性に言及しているが、国民に幅広く税負担を求めるのなら、衆院解散・総選挙で信を問うべきだ。 二〇二二年度の防衛費は国内総生産(GDP)比1%弱の約五・四兆円。自民党が主張する「五年以内にGDP比2%以上」に増やすには、毎年五兆円を超す財源が新たに必要になる。 報告書は具体額には言及していないが、防衛費を増やす財源に充てるため、社会保障費以外の歳出を改革した上で「国民全体で負担することを視野に入れなければならない」として「幅広い税目による負担」を求めた。 防衛力を着実に強化するには安定財源が必要との理屈だろうが、物価や光熱費が高騰する一方で賃金は上がらず、社会保障負担も増え続ける状況で、いくら防衛のためとはいえ多くの国民が増税に納得するとは思えない。国民を守るた