これまでアセット・アロケーションという概念は不動産投資に関して、日本ではそれほど重要視されてこなかった。しかしながら、アセット・アロケーションという考え方を軸にして、機関投資家の行動をみることにより不動産投資市場の見通しを描く上で重要な示唆が得られる場合も多くある。本稿ではアセット・アロケーションという視点を通じて、不動産投資市場をみる有意性について言及する。 投資パフォーマンスの大半はアセット・アロケーションで決まる 過去多くの学者によってアセット・アロケーション(資産配分)で投資パフォーマンスの大部分が決定されると指摘されてきた(Brinson,Hood,Beebower(1986), Ibbotson and Kaplan(2000)等)。特にIbbotson and Kaplan(2000)の研究では、米国のバランス型投信94ファンド(1988-98年)および年金大手58基金(19