「日本的雇用慣行」として知られる企業と従業員の長期的な関係は、1940年前後の戦時経済下に形成され、高度成長期に普及・定着をみた。離職率や雇用調整速度から長期雇用の程度を比較した文献※1からも、戦前は日米で差はみられず、日本の労働市場も流動的であったことが明らかにされている。 それでは、なぜ「日本的雇用慣行」は高度成長期に普及したのか。森口(2013)は、以下の表にある7つの相互補完的な人事政策※2が高度成長期において全てそろい、安定的な均衡が成立したため、とみる。高度成長期は、日本のGNPは世界2位となり、世界経済におけるプレゼンスは高まっていた時期である。その時期においては、家電の三種の神器に代表されるように、人々の嗜好は画一的であり、経済はキャッチアップの過程にあった。企業としては、安価で質の高い労働力が正確な仕事をできることで競争力を高める方向を重視し、その結果として企業内として長
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